マウリツィオ・ポリーニは1960年のショパン国際コンクールで優勝してから一度表舞台から姿を消しましたが、1968年にフランスでおこなわれたリサイタルのレコーディングはその研鑽を経た後の演奏。緊迫感漂う演奏で、ポロネーズ第5番から暗黒の世界に引きずり込まれます。
ヘルベルト・フォン・カラヤン最初のベートーヴェンの交響曲全集は、1951年から1955年にかけてイギリスのフィルハーモニア管弦楽団を指揮しておこなわれました。後のベルリンフィルとの再録では見られないフレッシュでスリリングな演奏で、貴重な演奏です。
ゲオルグ・ショルティは1960年代にウィーンフィルとブルックナーの交響曲を2つ録音し、1979年から90年代にシカゴ響と全集を完成させています。特集記事として、ショルティが描いたスケールの大きなブルックナーの演奏を録音順にレビューしていきます。
イタリア出身の名指揮者カルロ・マリア・ジュリーニは首席客演指揮者だったシカゴ交響楽団と名演を数多くおこなってきました。1969年10月に録音されたブラームスの交響曲第4番では、グイグイと進んでいく推進力が魅力。後のウィーンフィルとのジュリーニの再録にはない特徴です。ここでも旋律が引き出されています。
20世紀を代表する指揮者の一人、カール・ベーム。ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を1961年に録音しており、重厚な響きが残るベルリンフィルと足しも引きもしない質実剛健な「英雄」を演奏しています。ウィーンフィルとの全集とは一味違うベーム&ベルリンフィルの貴重な録音です。
ブルックナーを得意とした指揮者ベルナルト・ハイティンクは、首席指揮者を務めていたシカゴ交響楽団とブルックナーの交響曲第7番をライヴ録音しました。さらにゆっくりになった演奏で、シカゴ響の技量を持って丁寧にブルックナーの音楽を演奏しています。
20世紀を代表する指揮者の一人、ヘルベルト・フォン・カラヤンはR.シュトラウスを大変得意にしていました。ただ、アルプス交響曲については1980年の録音が初めてのレコーディングとなっています。ゆっくりと噛み締めていくように進んでいく音楽と、美しい響きが特徴的です。
ヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は2度目となるベートーヴェンの交響曲全集を1970年代に録音しています。1976年の「田園」の録音では、 カラヤン の研ぎ澄まされた響きが細部までこだわっています。
サー・ゲオルグ・ショルティはブラームスの交響曲全集を1回だけ録音しています。1978年から1979年にかけてシカゴ交響楽団を指揮した演奏で、贅肉の無い引き締まった演奏で劇的な音楽を生み出しています。米国グラミー賞の最優秀クラシカルアルバムとオーケストラ録音の2冠を受賞した名盤です。
リッカルド・シャイーはマーラーの交響曲全集をデッカ・レーベルで録音。その最初となった第10番は1986年にベルリン放送交響楽団を指揮したもので、他の9曲はロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と演奏でした。クック補筆版を使った全楽章の交響曲第10番で、シャイーとベルリン放送響はどのような演奏をおこなったのでしょうか。
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