ブッフビンダー&東京春祭オーケストラ 20260406 アイキャッチ画像

クラシック音楽ファンにとって春の東京の楽しみといえば、東京・春・音楽祭。略して東京ハルサイ。2026年も3月13日から4月19日に掛けて開催されています。

今回の私の最大の楽しみは、旧チェコスロバキア出身でウィーンで学んだ名ピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダーの来日。現代最高のベートーヴェン弾きであるブッフビンダーが、音楽祭のために編成された東京春祭オーケストラと、指揮とピアノを兼任した弾き振りでベートーヴェンのピアノ協奏曲5曲全曲を演奏しました。東京文化会館にて、4月4日(土)がピアノ協奏曲第2番、3番、4番、そして4月6日(月)が第1番、第5番『皇帝』の演奏会。

【東京・春・音楽祭】ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ) ベートーヴェン ピアノ協奏曲 全曲演奏会 I
【東京・春・音楽祭】ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ) ベートーヴェン ピアノ協奏曲 全曲演奏会 II

ブッフビンダーのピアノ協奏曲はこちらの記事で紹介していますが、いつかは生で聴きたいと思っていました。私は4/6の回に行ってきました。月曜からコンサートというのも珍しいですが、5月から大規模な改修に入る東京文化会館の見納めでもあります。4月になって日が長くなってきましたが、開演前はブルーアワーの空が鮮やかな青色でした。

音楽祭はホールもいつもと違う華やかな雰囲気に包まれています。

前半はベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番ハ長調Op.15。弾き振りだとオケから手が見やすくするためにグランドピアノの蓋を取り外してしまうことが多いですが、今回のブッフビンダーはリサイタルと同様に蓋を開けて演奏していました。席からだとチェロの前方や木管の演奏者は見えなかったですが、蓋によって反射されることでピアノの音響が観客席に美しく届いていたように感じました。

アンドリス・ネルソンスやクリスティアン・ティーレマンと共演したピアノ協奏曲第1番では、スケール大きなオーケストラと対峙していたピアノですが、弾き振りによって室内楽のような密接さ。指揮をするときは椅子の左端に寄ってオケから見えるように手振りをしていました。国内外の若手の日本の演奏家で構成される春祭オーケストラはブッフビンダーとの息もぴったり。コンマスの豊嶋 泰嗣を始め、身体を使ってダイナミックな弾き方で、ブッフビンダーと最高のベートーヴェンを作り上げてくれました。ブッフビンダーのピアノは軽やかに、ウィーンらしい粋を感じさせてくれます。

オケはステージ右手にヴィオラがいる「標準配置」。第1ヴァイオリンも5列10人 (目視で見る限り)と規模は小さめです。

プログラム後半の第5番『皇帝』はオーケストラに開始のタイミングを任せたブッフビンダー。オケが始めると、ピアノを合わせていきます。オケだけの演奏になるとブッフビンダーは両手を使って指揮をし、立ち上がって手を突き上げると、火山が噴火するかのような大音量をオケから引き出していました。

ピアノとヴァイオリンだけでなく、ピアノとホルン、ピアノとティンパニがお互いを見ながら演奏をするという場面もあり、これぞ弾き振りによる真骨頂。ピアノとオケが溶け合うような名演奏でした。現在79歳のブッフビンダーですが、弾き慣れたベートーヴェンは両曲とも暗譜で演奏していましたし、右手だけで打鍵して左手は式をするという器用な一面も。そして第2楽章のフィナーレで主題が生まれようとしてアタッカで第3楽章に入るとやや速めのテンポで華麗に舞い踊るようでした。

ベートーヴェンの『皇帝』を演奏したルドルフ・ブッフビンダーと東京春祭オーケストラ (2026/04/06)
ベートーヴェンの『皇帝』を演奏したルドルフ・ブッフビンダーと東京春祭オーケストラ (2026/04/06)

上着を脱いじゃったけどカーテンコールに

カーテンコールでオケが解散した後も拍手が続き指揮者だけがステージにやってくる、というのが最近は当たり前のようになっていますが、ブッフビンダーは上着を脱いでしまっていたようで、拍手に応えてステージに戻りながらジャケットを着直していました。

カーテンコールに応えるルドルフ・ブッフビンダー (2026/04/06)
カーテンコールに応えるルドルフ・ブッフビンダー (2026/04/06)

サイン会も

さらに指揮とピアノでお疲れのところを、サイン会も実施してくれました。私はピアノ・ソナタ全集を買ってサインしていただきました。一生の宝ものにします!

ピアノと指揮:ルドルフ・ブッフビンダー
東京春祭オーケストラ
演奏:2026年4月6日, 東京文化会館

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