全集とは別テイクのブルックナーが2026リマスターで登場
今回紹介するのは、ヘルベルト・フォン・カラヤンのブルックナー。
カラヤンのブルックナーはドイツ・グラモフォンでのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との交響曲全集がありますが、ベストとは言いづらく、1950年代や60年代の壮年期の録音や1980年代の晩年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とのを評価する方もいます。私もカラヤンのブルックナーがどれが最善なのか追い求めている日々。壮年期のは勢いだけでストレート過ぎるし、晩年は弛緩していて世間の評価と私の好みがズレているのは重々承知していますが、映像だけでCD化しないですが、交響曲第8番はウィーンフィルとの1979年の聖フローリアンでのライヴ録音、第9番はベルリンフィルとの1985年の万霊節ライヴが一番良いと思っています。
一方で交響曲第7番。1989年4月のウィーンフィルとのカラヤン最後の録音が名盤と言われますが、ベルリンっ子で子供のときからカラヤンを聴いているクリスティアン・ティーレマンが「どんどん明るくなっていった」というように高音域に寄りすぎて低音のがっしりと支えがなくなっているのも事実。かと言ってベルリンフィルとの全集ではブルックナーを聴くというよりはカラヤン編曲版のようになってしまってこれまた私の中でしっくり来ません。
そんな中、旧EMI (現ワーナー)での交響曲第4番「ロマンティック」と第7番のアルバムが2026年6月に最新リマスターでSACDハイブリッドで登場しました。

発売当初にレコード・アカデミー賞を受賞した名盤で、交響曲第7番はApple Music でもハイレゾロスレスで配信されているのでじっくり聴いていましたが、第4番は探しても見つからなかったので、CD で改めて購入しました。
一つに溶け合うロマンティシズム。交響曲第7番
どちらもベルリンにあるイエス・キリスト教会での録音で豊かな残響が特徴。
第7番は1970年10月の後に翌年2月にまたがったセッション録音。冒頭から澄み切ってチェロの旋律が心地良いです。14:27あたりからは巨大なオーケストラが一つに溶け合うロマンティシズム。19:19あたりのコーダ前の金色のような輝きには驚かされます。
ハース版でもシンバルとトライアングルは有り
第2楽章はブルックナーがヴァーグナーの訃報を受けて葬送行進曲を書いたと言われていますが、カラヤンのこの演奏には悲しみはなく、祈りのような崇高さがあります。ハース版のスコアを採用しているカラヤンですが、第2楽章でのシンバルとトライアングル、打楽器はノーヴァク版同様に「有り」です。
第3楽章は推進力が見事で一部のレビューではチャイコフスキーの序曲1812年と揶揄されていますが、第4楽章での急激な終わり方とか、カラヤンのブルックナーにはこうした性質があります。スケルツォ最後の休符での余韻はキリスト教会の残響ならではでしょう。
猛々しくてロマンティックでない第4番「ロマンティック」
ロマンティックは1970年9月と10月の2日間だけでのセッション録音。カラヤンは全集でもそうでしたが、この曲の第1楽章の冒頭第47小節、1:52あたりで第1ヴァイオリンを1オクターブ上げています。弦がそれほど起伏がないフレーズなので急に山がそびえるようで初めて聴いたときに驚いたものですが、これがカラヤンの解釈。1880年ハース版を使用していて、第4楽章のシンバルは無しです。
第1楽章の展開部からの地鳴り、コーダは怒り狂うようで、カラヤンはこの曲をちっともロマンティックに演奏しません。
第2楽章はホルンのふくよかな響きやオケの溶け合うハーモニー。コラールで轟くような金管。第3楽章では第7番スケルツォ同様にけたたましく、第4楽章ではさらに大団円。ティンパニの連打が地響きのようで、カラヤンは第8番かのように猛々しく演奏していきます。
交響曲第4番は全集もこの録音も私は苦手ですが、第7番は何度もリピートしているほどオススメのアルバム。
オススメ度
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
プロデューサー:ミシェル・グロッツ
バランスエンジニア:ヴォルフガング・グーリッヒ
録音:
第4番 1970年9月25日, 10月16日
第7番 1970年10月19日, 1971年2月3, 4日,
ベルリン・イエス・キリスト教会
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試聴
Apple Music で試聴可能。
受賞
日本の1971年度第9回レコード・アカデミー賞の交響曲部門を受賞。








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