このアルバムの3つのポイント
- ヴァント&北ドイツ放送響の初の来日公演
- サントリーホールでのブル8の「伝説的な大演奏」
- 演奏も音質も全てがパーフェクト
1990年秋、ヴァントと北ドイツ放送響の初の来日公演
1990年秋にギュンター・ヴァントは手兵の北ドイツ放送交響楽団とのコンビとしては初の来日公演を果たします。そして11月3日にサントリーホールで演奏されたのがブルックナーの交響曲第8番。これがレーベルの説明では「伝説的な大演奏」となっていて、NHK が放送用に撮影した映像の音源からAltus (アルトゥス)レーベルがCD 化をおこなっています。Altus は2000年に発足した日本のレーベルですが、販売はキングインターナショナルがおこなっています。
【キングインターナショナル】手兵 北ドイツ放送響を率いた初の来日演奏会1990年秋、サントリーホールにおける伝説的大演奏ブルックナー交響曲第8番!
1つ前の記事でも2000年4月のムジークハレでの北ドイツ放送響とのブル8のライヴ録音を紹介しましたが、今回も同じコンビの演奏を紹介します。
チェリビダッケ&ミュンヘンと続いた1990年秋
CD の舩木 篤也さんによる解説では、この演奏の2週間前の1990年10月20日のサントリーホールではセルジュ・チェリビダッケ&ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演もあり、同じくブルックナーの交響曲第8番が演奏されました。チェリビダッケとヴァントの両方の演奏会を聴いた感想として、「前評判も含め、話題をさらったのはチェリビダッケのほうだった」と書いていますが、「この東京ライヴは、その後1996年あたりまで続くヴァント絶頂期のとば口に立つ演奏といえそうである」と表現しています。
演奏も音質も全てがパーフェクト
ヴァントはブルックナーの交響曲第8番の演奏ではハース校訂版による第2稿(1890年稿)を使っていますが、こちらも同じ版を使用しています。
1987年8月のリューベック大聖堂でのライヴ録音では残響が長く、漂うような浮遊感がありましたが、サントリーホールに代わったことで音質が柔らかく滑らかに聴こえます。2000年4月のムジークハレ・ライヴでは晩年の悟りの境地のようなで第1楽章も、このサントリーホール盤ではエネルギッシュで生命力がありつつも奥行きがあります。第1楽章のコーダは高い集中力でゆっくりと消え入るように音が静まり返ります。そして第2楽章になってからのクレッシェンドで広がる音響。サントリーホールの残響が心地よく、アンサンブルも柔らかいです。
第3楽章は筆舌に尽くしがたいほどの出来で、第4楽章のクライマックスはゆっくりとゆっくりと頂点を築いていきます。ライヴ録音なので聴衆の反応がどうだったのか気になるのですが、拍手の部分は録音からはカットされているので、分かりません。
ヴァントのブルックナーの第8番は、英国グラモフォン賞を受賞した2001年1月のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とのライヴ録音や、1993年12月のハンブルクのムジークハレでの北ドイツ放送響とのライヴ録音が評判が高いですが、この1990年11月の北ドイツ放送響とのサントリーホール・ライヴも甲乙つけがたい名演だと思います。
まとめ
ヴァントと北ドイツ放送響の初来日公演でおこなわれた伝説的なサントリーホール・ライヴ。この第8番はヴァントの中でも格別でしょう。
オススメ度
指揮:ギュンター・ヴァント
北ドイツ放送交響楽団
録音:1990年11月3日, サントリーホール(ライヴ)
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試聴
特に無し。
受賞
特に無し。
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