日英で受賞! アルゲリッチの一期一会の演奏 ショパン ピアノ協奏曲全集 デュトワ/モントリオール響(1998年)

ショパン ピアノ協奏曲全集 マルタ・アルゲリッチ/シャルル・デュトワ/モントリオール管弦楽団(1998年)

このアルバムの3つのポイント

ショパン ピアノ協奏曲全集 マルタ・アルゲリッチ/シャルル・デュトワ/モントリオール管弦楽団(1998年)
ショパン ピアノ協奏曲全集 マルタ・アルゲリッチ/シャルル・デュトワ/モントリオール管弦楽団(1998年)
  • アルゲリッチの一期一会の演奏
  • デュトワとモントリオール響の完璧なエスコート
  • 日本のレコードアカデミー賞と英国のグラモフォン賞を受賞!

現代を代表するピアニストの一人、マルタ・アルゲリッチ。自由奔放で情熱的な演奏で人気のピアニストですが、もう彼女も今年6月で80歳を迎えるというので驚きです。先週4月3日の日経新聞朝刊の「交遊抄」で、ピアニストの海老彰子さんがアルゲリッチとのエピソードを書いていましたが、1997年に癌の再発が発覚し、手術をしたときのエピソードが語られています。

1997年初め、フランス・リヨンでマルタ・アルゲリッチさんが弾くショパンのピアノ協奏曲を聴いた。
(中略)
素晴らしい演奏に賛辞を送ると「人生最後だと思って弾いたのよ」。がんの再発を知らされた。
(中略。ここでアルゲリッチの癌の手術のエピソードが語られています)
その後の彼女のご活躍は周知の通り。「マラソンではテープを切るときにテンポを上げるでしょう。人生も同じよ」とおっしゃっている。

【日経新聞】女神様 海老彰子 (2021/04/03朝刊)

今回紹介したいのは、マルタ・アルゲリッチがシャルル・デュトワ指揮のモントリオール交響楽団と1998年に録音したショパンのピアノと2つのアルバムで、1999年のショパン没後150周年のアニバーサリーに合わせてリリースされたもの。先程紹介した癌の手術の1年後で、人生の最後も考えたアルゲリッチが一曲入魂で演奏しています。

このアルバムはEMIクラシックス(現在ワーナー・クラシックス)レーベルからリリースされ、日本の1999年度のレコードアカデミー賞と1999年の英国のグラモフォン賞を受賞した名盤です。

私はショパンのピアノ協奏曲の録音だと、他にはクリスティアン・ツィメルマン/カルロ・マリア・ジュリーニ/ロサンゼルス・フィルハーモニックの演奏をよく聴いています。ツィメルマンは弾き振りによる再録もありますが、旧録の20代前半の若さ溢れる多感な演奏がショパンの作品にマッチしていると思います。

アルゲリッチの1998年の録音は既に大ベテランの域に入ったといの演奏ですが、デビュー時から変わらない情熱と、癌の手術を終えてより演奏に生命力がみなぎっているような唯一無二の演奏になっていると思います。また、デュトワ指揮モントリオール響のオーケストラも見事なエスコートで、ピアノとの息もぴったりです。余談ですが、アルゲリッチとデュトワは1969年に結婚し1973年に離婚していますが、その後も音楽面でのパートナーとして度々共演しています。この演奏を聴くと、やはり相性の良いコンビなんだなと思いますね。

アルゲリッチは1968年にクラウディオ・アバド指揮のロンドン交響楽団ともショパンのピアノ協奏曲第1番を録音していて、そちらはドイツ・グラモフォンレーベルでの録音でした。こちらのFC2ブログ記事で紹介していますが、若かりし頃の情熱と奔放さが遺憾なく発揮されていて、それにアバドの情熱が掛け合わさり劇的な演奏に仕上がっていました。今回の再録では奔放さは少し丸くなっていますが、相変わらずの情熱さと、デュトワの癖のないオーケストラの演奏でピアノを良い意味で引き立てています。私は1998年の再録のほうが好みです。

アルゲリッチとデュトワによる息ピッタリのショパンのピアノ協奏曲。日本と英国での音楽賞を受賞したのも頷ける、情熱的で生命力を感じる名演奏でしょう。

オススメ度

評価 :5/5。

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
指揮:シャルル・デュトワ
モントリオール交響楽団
録音:1998年10月, サン・トゥスタッシュ教会(モントリオール)

iTunesで試聴可能。

1999年の英国グラモフォン賞の「Concerto」部門を受賞し、マルタ・アルゲリッチが「Artist of the Year 」も受賞。
2000年の英国Classic Brit Awardsでマルタ・アルゲリッチが「Female Artist of the Year」を受賞。
1999年度の日本のレコードアカデミー賞の「協奏曲部門」を受賞。

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