- バーンスタインとベルリンフィルの一期一会のコンサート
- 濃厚で白熱のライヴ
- レコードアカデミー賞&米国グラミー賞受賞
ベルリンフィルに呼ばれなかった指揮者
帝王ヘルベルト・フォン・カラヤンが音楽監督に就いていた時代、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団には、カラヤンが好まない指揮者は呼ばれることがなかった。特にカラヤンとともに20世紀後半のクラシック音楽界をリードしていたサー・ゲオルグ・ショルティ、レナード・バーンスタインはライバル関係にもあり、ベルリンフィルの指揮台に立つ機会がなかなか無かった。ショルティは自伝で「なぜベルリンフィルを指揮しないのかと尋ねられるが、それは呼ばれないからだ」、という旨を書いていた。ショルティは晩年になってベルリンフィルの客演指揮を務め、1994年3月にベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」、1996年1月にR.シュトラウスの「ツァラトゥストラ」などを演奏し、それぞれCDとしてもリリースされている。
バーンスタイン没後にリリースされたライヴ音源
一方で、バーンスタインは1979年10月にベルリン芸術週間のために初めてベルリンフィルを指揮している。指揮したのはマーラーの交響曲第9番。バーンスタインは1990年10月に逝去したが、没後の1992年になってベルリンRIAS放送局が放送用に収録していた音源からドイツ・グラモフォンがリマスターしてCD2枚組としてリリースされた。
私は2010年に再発売されたCDを購入したが、技術の進歩により収録時間が長くなっているので、4楽章まで合わせてトータル82分4秒のこの録音がCD1枚に収まっている。
音楽賞を受賞
このレコードは、日本のレコード・アカデミー賞大賞、米国のグラミー賞の最優秀オーケストラ・パフォーマンス及び最優秀アルベムを受賞した名盤となった。バーンスタイン屈指の演奏で、マーラーの交響曲第9番のベスト盤としてあげる人もいる。
濃厚でキズも唸り声もあり…
この演奏は一言で言えば、濃厚。ベルリンフィルなのに結構演奏をミスしているのが驚きだが、そういうキズもライヴならでは。同じくグラミー賞を受賞したカルロ・マリア・ジュリーニとシカゴ交響楽団の演奏では毒々しさを取り除き美しさへと浄化していたが、このバーンスタインは真逆のアプローチだ。イバラの道を歩んでボロボロになりながらも前へ進んで行く。そんな痛ましさを感じる。第4楽章ではバーンスタインの唸り声もたまに聞こえる。
まとめ
厚塗りの演奏で好みも別れるだろうし、マーラーの演奏・録音が充実している現代においては、もっと良いと思う交響曲第9番の名演も多くある。ただ、白熱とした唯一無二の演奏で、必ずや一聴に値する録音だろう。
オススメ度
指揮:レナード・バーンスタイン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1979年10月4, 5日, ベルリンフィルハーモニー(ライヴ)
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受賞
1992年度の日本のレコードアカデミー賞の「交響曲部門」及び「大賞」を受賞。
1992年の米国グラミー賞の「BEST ORCHESTRAL PERFORMANCE」及び「BEST CLASSICAL ALBUM」を受賞。
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