オススメのマーラー交響曲全集・選集

Gustav Mahler, 1860-1911; 3/4, seated, facing left. Copyright was registered in 1909-03-16 under H 124096–124098.

グスタフ・マーラーは、ユダヤ人だったいうことで戦時中は彼の作品の演奏が禁止されていたぐらいでした。1960年代に2人の指揮者レナード・バーンスタインとゲオルグ・ショルティの録音や演奏によって理解が広まり、1970年代にはついにあのヘルベルト・フォン・カラヤンも指揮するほどになりました。

マーラーの作品は難解で長大なので、一般ウケはしないのですが、一度味わってしまうともうマーラーの無い音楽は有りえないほどになってしまいます。作品の解釈の深さも求められますし、技巧的にも難易度も高いので、今では指揮者やオーケストラの力量が試される作品となって、主流なレパートリーとなっています。

マーラーには人生に対する絶望や悲しさを表した作品も多いのですが、私もペシミストなので、マーラーの旋律が心に突き刺さります。

クラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団によるマーラーの交響曲集
クラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団によるマーラーの交響曲集

アバド/ルツェルン祝祭管 〜マーラー交響曲選集 (2003-2010年)〜

比較的最近だと、クラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団のライヴ映像作品がダントツでオススメです。全集ではなく、第8番「千人の交響曲」だけが無いですが、それ以外は高解像度の映像で見ることができます。マーラーの交響曲を映像で見ることで、楽譜に指示にある楽器を持ち上げている様子なども見ることができます。アバドの深い解釈と、ルツェルン祝祭管との息のあったコンビで演奏も素晴らしいです。

マーラー交響曲第4番を演奏後、鳴り止まない拍手に応えて再びステージに現れたクラウディオ・アバド (c) EuroArts
マーラー交響曲第4番を演奏後、鳴り止まない拍手に応えて再びステージに現れたクラウディオ・アバド (c) EuroArts
マーラー交響曲選集 リッカルド・シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団  タイル画像
マーラー交響曲選集 リッカルド・シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団  タイル画像

シャイー/ゲヴァントハウス管 〜マーラー交響曲選集 (2011-2015年)〜

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターに就任してから、目をみはる活躍をしたのがリッカルド・シャイー。

ベルリン放送響やコンセルトヘボウ管とのマーラー交響曲全集もありますが、2011年のマーラー生誕100周年のコンサートから始めたゲヴァントハウス管とのマーラー・チクルスは全くの別物。

かつてゲヴァントハウス管で指揮をし、マーラーとも親交の厚かったブルーノ・ワルターの楽譜を研究し、早目のテンポで重厚な演奏を聴かせてくれます。

第3番だけ急病のため演奏できませんが、それ以外の交響曲第1番から第9番までが映像で堪能できます。

マーラーの交響曲第2番「復活」を指揮するリッカルド・シャイー (c) Accentus Music
マーラーの交響曲第2番「復活」を指揮するリッカルド・シャイー (c) Accentus Music

ショルティ/シカゴ響 〜マーラー交響曲全集 (1970-1983年)〜

サー・ゲオルグ・ショルティは第1回目のマーラー交響曲全集を、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、シカゴ交響楽団を振り分けて完成させましたが、シカゴ響との出来栄えに大満足で、シカゴ響とだけで全集を完成させています。オーソドックスな解釈で、スーパーオーケストラの力量を惜しみなく出し切った名演の数々です。

シャイー/ゲヴァントハウス管のライヴ

ライヴ録音。

アバド/ルツェルン祝祭管

私が一番好きな交響曲がこの第3番。6楽章もあり、全曲で演奏時間が90分も掛かる大作ですが、最後の楽章は天にも昇るような美しさ。長大な作品と声楽、合唱も含まれるので指揮やオーケストラにとっても演奏するのが大変ですが、名演を聴いたときの感動もひとしおです。

マーラー交響曲第3番を演奏するクラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団
マーラー交響曲第3番を演奏するクラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団。(c) EuroArts

アバド/ルツェルン祝祭管 (2007年)

クラウディオ・アバドは晩年にルツェルン祝祭管弦楽団との関係を深め、じっくりと作品と向き合ってルツェルン音楽祭で披露していました。マーラーの交響曲第3番の映像もEuroArtsからリリースされていますが、最後の音が終わってから22秒も沈黙が続いた後に、アバドの指揮棒が下りると聴衆から「ブラボー」と温かい拍手。演奏者だけではなく、聴衆も音楽作りに参加しているような印象でした。

ヤンソンス/コンセルトヘボウ管弦楽団(2010年)

ショルティ/シカゴ響 (1983年)

ショルティ/シカゴ響の録音で、ソプラノ独唱はキリ・テ・カナワ。

ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の動機に似たファンファーレから始まる交響曲。これまでの東洋的な作品と異なり、荒々しさも感じられる野心作。声楽を含まない管弦楽だけの作品です。

ショルティ/シカゴ響 マーラー交響曲第5番(1970年)
ショルティ/シカゴ響 マーラー交響曲第5番(1970年)

ショルティ/シカゴ響 (1970年)

サー・ゲオルグ・ショルティは1969年にシカゴ交響楽団の首席指揮者に就任し、最初の演奏でマーラーの交響曲第5番を、そして最初の録音でもこの曲をレコーディングしました。ボルテージが高い圧倒的な演奏です。

アバド/ルツェルン祝祭管

ほとばしる情熱。

番外編

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリンフィル マーラー交響曲第5番(1973年)
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリンフィル マーラー交響曲第5番(1973年)

カラヤンがマーラーを初録音!

ヘルベルト・フォン・カラヤンはマーラーの作品を積極的には演奏しませんでしたが、ついに1973年に第5番を録音しました。マーラーに慣れていない感じがプンプンするカラヤンとベルリンフィルのぎこちない演奏ですが、「アダージョ・カラヤン」にも収録された第4楽章のアダージェットだけは格別。カラヤンならではの美学が現れた演奏になっています。

ショルティ/シカゴ響 (1970年)

ショルティ/シカゴ響の圧倒的な演奏。

アバド/ルツェルン祝祭管

アバド/ルツェルン祝祭管のライヴ。

アバド/ルツェルン祝祭管

ショルティ/シカゴ響

この曲は名曲だけに名演揃いです。

マーラー交響曲第9番 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2016年)
マーラー交響曲第9番 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2016年)

ヤンソンス/バイエルン放送響 (2016年)

マリス・ヤンソンスはバイエルン放送交響楽団を指揮して、2016年10月にマーラーの交響曲第9番をライヴ録音しています。ヤンソンスらしくまろやかでじっくり考えられた音楽で、マーラーの傑作を最高の形で表現しています。

マーラー交響曲第9番 ハイティンク/バイエルン放送響(2011年)
マーラー交響曲第9番 ハイティンク/バイエルン放送響(2011年)

ハイティンク/バイエルン放送響 (2011年)

マリス・ヤンソンスの代役で、バイエルン放送響を指揮した2011年12月、ミュンヘンのフィルハーモニー・ガスタイクでのライヴ録音。

ドイツECHO Klassik2013の最優秀管弦楽録音(Sinfonische Einspielung des Jahres)と、マーラー賞(Toblacher Komponierhäuschen)2012を受賞しています。

ジュリーニ/シカゴ響のマーラー交響曲第9番
ジュリーニ/シカゴ響のマーラー交響曲第9番

ジュリーニ/シカゴ響 (1976年)

ジュリーニ/シカゴ響の録音は忘れてはいけないでしょう。世界各国の音楽賞を受賞した、名盤中の名盤です。マーラーの作品から毒々しさを取り除き、ピュアな美しさを引き出したジュリーニの名演です。

番外編

レナード・バーンスタイン/ベルリンフィル マーラー交響曲第9番(1979年)
レナード・バーンスタイン/ベルリンフィル マーラー交響曲第9番(1979年)

レナード・バーンスタインがベルリンフィルを指揮!

帝王ヘルベルト・フォン・カラヤンが警戒したとも言われるレナード・バーンスタイン。1979年に1度だけ、バーンスタインがベルリンフィルの指揮台に立つことがあり、マーラーの交響曲第9番が演奏されました。ベルリンフィルがいつもより熱く、濃厚な演奏を行ったライヴでした。

マーラーの交響曲第10番は第1楽章だけがマーラー自身がオーケストレーションをほぼ完璧に施し、演奏できるレベルになっていますが、第2楽章以降は部分的に草稿が遺されています。国際グスタフ・マーラー協会は第1楽章の「アダージョ」だけを正式と認めていますが、近年ではデリック・クックなどの音楽学者が補筆した全楽章版で演奏することも多くなってきました。

サー・サイモン・ラトル指揮ベルリンフィル

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