米グラミー賞受賞!バーンスタイン37年ぶりのシカゴ響 ショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」(1988年)

ショスタコーヴィチ交響曲第7番 レナード・バーンスタイン/シカゴ交響楽団(1988年)

このアルバムの3つのポイント

ショスタコーヴィチ交響曲第7番 レナード・バーンスタイン/シカゴ交響楽団(1988年)
ショスタコーヴィチ交響曲第7番 レナード・バーンスタイン/シカゴ交響楽団(1988年)
  • バーンスタイン×シカゴ響のライヴ録音
  • 自分の音楽のような感情の豊かさ、圧巻の勝利の宣言
  • グラミー賞受賞

ドミトリ・ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」は、第2次世界大戦中に作られた交響曲で、いわゆる「戦争交響曲」の一つ。1941年6月にドイツ軍がソ連を一方的に侵入してから、1ヶ月後に作曲を開始し、それから3ヶ月ほどで完成させた。後に彼は、戦争に突入した祖国ソ連のイメージを創造し、それを音楽で表現したかったと言っているが、「ショスタコーヴィチの証言」という回想録では、ショスタコーヴィチが以下のように話していたと書かれている。

(交響曲)第7番がレニングラード交響曲と呼ばれるのに、私(ショスタコーヴィチ自身)は反対しないが、それは包囲下のレニングラードではなくて、スターリンが破壊し、ヒトラーがとどめの一撃を加えたレニングラードのことを主題にしているのである。

ショスタコーヴィチの証言

第1楽章を10分ほど聴くと、「侵略の主題」が出てくる。これは同時期の作曲家、ベラ・バルトークが「管弦楽のための協奏曲」にパロディとして登場させてバカにしたメロディだ。ラヴェルの「ボレロ」のように、最初は楽器が少なくて音も小さいのだが、フレーズが繰り返されるうちに楽器も増え、音のスケールも増加する。まるで軍隊が行進して、激しい銃撃戦になっている情景が思い浮かぶ。

20世紀後半を代表する指揮者の一人、レナード・バーンスタイン。1969年までニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督を務めた後は、作曲の時間を取るために特定のポストに就かず、客演指揮者としてヨーロッパやアメリカなどのオーケストラで活躍した。特にウィーンフィルとの蜜月関係を築き、多くの録音も残している。

一方で、シカゴ交響楽団は録音数としては多くないが、1988年6月にショスタコーヴィチの交響曲第1番と第7番「レニングラード」をライヴ録音している。ユニバーサルミュージックのCDの説明によると、このコンビの演奏は何と37年ぶりだったらしい。この録音は、米国の1990年のグラミー賞「BEST ORCHESTRAL PERFORMANCE」を受賞した名盤。

曲全体は遅めのテンポで、丁寧に仕上げている。第1楽章はスケールたっぷりだし、第2楽章は叙情的。中間部は気だるい感じが出ている。

第3楽章は特に良い。出だしの音からハッとさせられる。美しいだけではなく、どこか悲痛な叫びにも聞こえる。複雑な音色が絡み合って、この作品が作られた当時のショスタコーヴィチの一筋縄ではいかない心情が表れている感じだ。バーンスタインはまるで自分の音楽のようにこの作品を手の内に入れているのだが、非常に感情豊かな演奏である。

第4楽章では圧巻だ。シカゴ響は音楽監督のゲオルグ・ショルティと黄金時代を迎えていたときで、オーケストラのレベルも非常に高い。金管もビビッドに入ってくる。勝利の宣言のフレーズではよりテンポを落として、偉大な勝利を高らかに演奏している。ここまで圧巻のフィナーレは他の演奏では聞いたことがない。

「レニングラード」の録音は、2006年のマリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のライヴ録音も好みだが、このバーンスタイン盤も素晴らしい。

バーンスタインが珍しくシカゴ響を指揮して録音した「レニングラード」。単なる戦争交響曲ではなく、感情豊かに表現している。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:レナード・バーンスタイン
シカゴ交響楽団
録音:1988年6月23日, シカゴ・オーケストラ・ホール(ライヴ)

iTunesで試聴可能。

1990年米国グラミー賞BEST ORCHESTRAL PERFORMANCEを受賞。

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