このアルバムの3つのポイント

マリス・ヤンソンス グレート・レコーディングズ
マリス・ヤンソンス グレート・レコーディングズ
  • マリス・ヤンソンスとバイエルン放送響の2004年6月のライヴ
  • 師であるカラヤンが得意としたレパートリー
  • バイエルン放送響の研ぎ澄まされた繊細なハーモニーと、カラヤン美学を彷彿とさせる美しさ

マリス・ヤンソンスはソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)で学んだ後、ウィーンに留学しました。そこでヘルベルト・フォン・カラヤンに師事したこともあり、ヤンソンスの指揮には美しさを極限まで引き出すところにカラヤンの影響が感じるところもあります。

今回紹介するディスクは、ヤンソンスの没後にソニー・クラシカルからリリースされた「マリス・ヤンソンス グレート・レコーディングズ」の中の1枚。マンソンスが2003年から2009年にかけてバイエルン放送響とソニー・クラシカルに残したライヴ盤7枚がBOXとして再発売されたもので、そのうちラヴェルとバルトークのディスクは国内盤としては未発売のものでした。

以前の記事で2008年3月16日のヴァーグナーの管弦楽曲のライヴ録音を紹介しましたが、今回紹介するのは、2004年6月23-25日にミュンヘンのフィルハーモニー・ガスタイクでおこなわれたヤンソンス指揮バイエルン放送響とのライヴ録音。

曲目はチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」と、シェーンベルクの「浄夜」です。

チャイコフスキーの「悲愴」と言えば、カラヤンの代名詞とも言える作品でしたし、録音も多く遺されています。

また、カラヤンはシェーンベルクについてしょっちゅう演奏したわけではありませんが、「浄夜」に関しては以前の記事で紹介した1973年のベルリンフィルとの録音があり、カラヤン美学をとことん追求した美しさが引き出されていました。

どちらもカラヤンが得意とした作品ですが、弟子でもあるヤンソンスがどのような指揮をおこなうのか楽しみですね。

チャイコフスキー交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」は極限まで溶け合うようなまろやかなハーモニーが絶妙です。さすがヤンソンス。

ライヴ演奏で適度な熱さもありますが、じっくりと引き出されていく熟成された音楽には、脱帽しかありません。

第4楽章はきめの細かい織物のような美しさのハーモニーです。

シェーンベルクの「浄夜」は「浄められた夜」とも言いますが、Op.4の弦楽合奏版です。ヤンソンスとバイエルン放送響は、たたみかけるような感情のうねりを生み出しつつも、クライマックスでは花が次々に咲いていくように、こぼれ落ちるほどの美しさを聴かせてくれます。贅沢で最高に幸せな気分になります。

どちらもヤンソンスとバイエルン放送響が生み出す緻密なアンサンブルで聴ける極上のハーモニーで、最高の贅沢でしょう。

ヤンソンスが師事したカラヤンが得意とした作品ですが、カラヤンを彷彿とさせる美しさもありつつ、カラヤンとは違うアプローチでまろやかな演奏に仕上げたヤンソンスの手腕はすごいです。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団
録音:2004年6月23-25日, フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)

ソニー・ミュージック・ショップで試聴可能。

特に無し。

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