らしくない、ハイティンクの最初のブルックナー交響曲第8番録音(1960年)

ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管 ブラームス/ブルックナー/マーラー交響曲全集

このアルバムの3つのポイント

ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管 ブラームス/ブルックナー/マーラー交響曲全集
ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管 ブラームス/ブルックナー/マーラー交響曲全集
  • ベルナルト・ハイティンクの最初の交響曲第8番の録音
  • 若かりしハイティンクのシャープな切れ味
  • コンセルトヘボウ管の厚みあるシンフォニックな演奏

オランダ出身の名指揮者、ベルナルト・ハイティンクは若い時から頭角を現し、32歳という若さでアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)の首席指揮者に就任しました。1961〜1964年の間は補助役として、オイゲン・ヨッフムも首席指揮者を務める二頭制でしたが、それ以降は単独で首席指揮者を務め、1988年までの長期に渡ってそのポジションにいました。

ハイティンクはレパートリーも幅広く、レコーディングも非常に多い指揮者ですが、ベートーヴェンやマーラーも上手かったですが、私の中ではブルックナーを最も得意にした指揮者だと思っています。

指揮者のキャリアの初期からブルックナーに取り組んでいましたし、最晩年の2019年の90歳でのフェアウェル・コンサートでもブルックナーの交響曲第7番で締め括っていました。

ブルックナーの交響曲第8番については、コンセルトヘボウ管の首席指揮者時代に20回以上演奏し、コンセルトヘボウ管と3回(1960年、1981年、2005年)、ウィーンフィルと1回(1995年)、シュターツカペレ・ドレスデンと1回(2002年)と、何回も録音してきました。

コンセルトヘボウ管との最初の交響曲第8番の録音は、交響曲全集CD BOX(2005年のPhilpsの#4756740や2013年のDeccaの#4808286)では1960年9月でしたが、新全集(2019年のDeccaの#4834660)では1969年となっています。

1960年だとハイティンクがコンセルトヘボウ管の首席指揮者に就任する前の録音となり、交響曲全集の最初の録音となっています。

どちらが正しいかは分かりませんが、私は#4808286のCD BOXで聴いているので、ここでは1960年9月としておきます。

ハイティンクはブルックナーの交響曲第8番については、ヘルベルト・フォン・カラヤンと同じく、ずっとハース版を使用しています。稿についてはCD情報に書かれないときもあるのですが、第2稿(1890年版)です。

ハース版だと演奏時間が80分をゆうに超えるので、CDだと2枚に分かれることも珍しくありません。ハイティンクも再録音ではCD2枚組になっています。

しかし、この最初の録音ではCD1枚に収まっています。演奏時間は第1楽章が14分03秒、第2楽章が13分39秒、第3楽章が25分24秒、第4楽章が20分46秒です。トータルで74分。ハース版を使っているのに、スコアが少し短くカットされたノーヴァク版よりも速い演奏なんです。

例えば、ノーヴァク版で速かったオイゲン・ヨッフム/ベルリンフィル(1964年)ゲオルグ・ショルティ/ウィーンフィル(1966年)でも75分でした。ハイティンク/コンセルトヘボウ管(1960年)はハース版なのに74分ですよ。ちなみにハイティンク/コンセルトヘボウ管の1981年の再録音ではテンポがぐっとゆっくりになって85分になりました。

まだ若いときのハイティンクなので、音楽にも切れがあります。第1楽章も少し早目のテンポで空気を作っていきますし、クライマックスのスケールと言ったらハイティンク史上最強だと思います。第4楽章のフィナーレでもとても勢いがあります。これは後の再録音では聴けないアプローチです。次第にハイティンクのブルックナーは肥大化して、音楽もゆっくりになっていきますので。

またコンセルトヘボウ管のハーモニーも非常にシンフォニックです。ハイティンク時代の後半にはまろやかになってくるハーモニーですが、この1960年代は前任の首席指揮者エドゥアルト・ファン・ベイヌムの影響も残っていましたし、オイゲン・ヨッフムも活躍していました。

この演奏はハイティンクが指揮していますが、ハイティンクらしくない演奏とも言えます。オーケストラに勢いがあって、力強い。第2楽章のスケルツォでも結構な速さで突っ走り、トリオに移っても減速せずに突っ込んでいきます。後に弛緩していく再録音とは全く違う表情を見せます。

このスリリングな気分は再録音では味わえないので、本当に貴重です。

ベルナルト・ハイティンクが何度も録音したブルックナーの交響曲第8番の最初の1960年代の録音。ハイティンクらしくない切れ味鋭くて勢いのある演奏で、再録音では味わえないスリルがあります。私の中ではハイティンクのブル8の中で最も好きな演奏です。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:ベルナルト・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1960年9月, コンセルトヘボウ

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iTunesで試聴可能。

特に無し。

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