このアルバムの3つのポイント
- カラヤンのあまり多くないシューベルトの録音
- 「未完成」と「ザ・グレート」で魅せるカッコよさ
- 60年代のベルリンフィルの良き響き
カラヤンの多くないシューベルトの録音
オーストリア出身で20世紀を代表する指揮者の一人、ヘルベルト・フォン・カラヤン。オペラや管弦楽曲、協奏曲といった膨大なレパートリーを有し、レコーディングも数多、チャイコフスキーの交響曲「悲愴」のように同じ曲を何度も録音することもありました。
ただ、意外にも同じくオーストリア出身の作曲家フランツ・シューベルトの作品はそこまで録音していません。
なお、シューベルトの交響曲の番号は第7番以降が昔と今とで混同していますので、Wikipediaの「フランツ・シューベルト 交響曲の番号づけ」にあるように、繰り上げて第7番を「未完成」、第8番を「ザ・グレート」で呼ぶことにします。
カラヤンの「未完成」や「ザ・グレート」の録音は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との1957年や1966年の来日公演のライヴ録音や、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との1959年の来日公演のライヴ録音もあります。ただ、正規のものだと今回紹介するベルリンフィルとの1964年、65年の「未完成」と68年の「ザ・グレート」(ドイツ・グラモフォン・レーベル)と、旧EMI (現ワーナー・クラシックス)での1975年の「未完成」と77年の「ザ・グレート」のセッション録音があるぐらいです。
意外にもカラヤンの交響曲録音は少ないのです。
ベルリンフィルのシューベルトと言えば
ベルリンフィルは1951年に当時の音楽監督のヴィルヘルム・フルトヴェングラーと「ザ・グレート」のセッション録音をおこない、この記事で紹介したように緩急を極端に付けながらも怒涛のような演奏をおこなっていますし、さらにカール・ベームとともに1963年から71年にシューベルトの交響曲全集も完成。「ザ・グレート」はこちらのFC2ブログ記事に紹介しています。
ベームがベルリンフィルと「ザ・グレート」を録音したのが1963年6月、「未完成」を録音したのが1966年3月ですので、このカラヤンとの録音は1〜2年後。同じドイツ・グラモフォンのベームとの録音がカラヤンに影響を与えたようですね。
カッコよいスタイリッシュな演奏
フルトヴェングラーが個性的、ベームが教科書的だったのに対し、カラヤンはその中間を行くスタイリッシュな演奏。「未完成」の冒頭の始め方を聴くと、カラヤンらしいですね。低音を物静かに奏で暗さを演出し、その上にオーボエとクラリネットがたっぷりと鳴らして彩りを添えます。初めてこの「未完成」を聴く方でもとても聴きやすいでしょう。60年代のベルリンフィルの重厚感ある響きがあるのも良いです。第2楽章でも木管の音色をかなり引き立てています。
そして「ザ・グレート」ではゆったりとしたテンポで雄大に語っています。こちらはベルリンフィルらしい機動力の高さがよく表れています。
まとめ
カラヤンがあまり積極的に録音しなかったシューベルトの交響曲。60年代のベルリンフィルとの演奏は、初心者にも聴きやすいスタイリッシュな演奏でしょう。
オススメ度
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1964年9月, 1965年10月(D759)、1968年9月(D944), ベルリン・イエス・キリスト教会
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廃盤のため無し。
試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
コメント数:1
確かにカッコよかったです。未完成はメロディーの美しさにうっとりしました。コントラバスがかなりしっかりと効いていて響きが重厚でした。ザ・グレートは曲がネアカで深刻にならずにいいですね。4楽章などノリノリで楽しくなりました。