シカゴ響の名技に圧倒されるカルロ・マリア・ジュリーニとのシューベルト交響曲第7番「未完成」(1978年)

マーラー交響曲第9番、シューベルト交響曲第7番「未完成」 カルロ・マリア・ジュリーニ/シカゴ交響楽団(1976年, 78年)

このアルバムの3つのポイント

マーラー交響曲第9番、シューベルト交響曲第7番「未完成」 カルロ・マリア・ジュリーニ/シカゴ交響楽団(1976年, 78年)
マーラー交響曲第9番、シューベルト交響曲第7番「未完成」 カルロ・マリア・ジュリーニ/シカゴ交響楽団(1976年, 78年)
  • シューベルトを頻繁に演奏したカルロ・マリア・ジュリーニによる「未完成」
  • シカゴ響の名技に圧倒
  • 引き締まった中にある穏やかさ

イタリア出身で個性的な名演を数多くおこなった指揮者カルロ・マリア・ジュリーニ

1969年からシカゴ交響楽団の首席客演指揮者に就任し、音楽監督を務めたゲオルグ・ショルティとともにこの楽団の第二黄金期を支えました。

シカゴ響とは名盤と呼ばれる録音も多く、中でも1976年4月のシカゴ交響楽団とのマーラーの交響曲第9番の録音は世界各地で音楽賞を受賞しました。The OriginalsシリーズのCDではそれとカップリングされているのが、1978年3月のシューベルトの交響曲第7番D759「未完成」。シカゴ・オーケストラ・ホールでのセッション録音です。

シューベルトの「未完成」はその名の通り未完成の作品で、第1楽章と第2楽章しかありません。全体でも25分程度です。ただ、シューベルトの魅力が凝縮されているとも言える作品で、交響曲第8番D944「ザ・グレート」と並んで人気がある交響曲です。

シューベルトを得意とした指揮者はもちろん、シューベルトを普段レパートリーに入れていない指揮者でも演奏することがあるので、「未完成」の録音としては多い印象です。

私も結構この曲の録音を聴いてきましたが、ヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の英雄的な演奏や、レパートリーが極めて少なくて録音嫌いだったカルロス・クライバーがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したゾクゾクする演奏、そしてシューベルトを得意としたカール・ベームのベルリンフィルとのオーソドックスな演奏や晩年のウィーンフィルとの味のある演奏など、指揮者の個性が出ていて興味深かったです。

そしてジュリーニとシカゴ響の「未完成」の録音も、私の中では印象的な一枚です。

ジュリーニは晩年にバイエルン放送交響楽団を指揮した録音も遺していますが、その慈愛に満ちた演奏に比べると、このシカゴ響との1978年の録音は圧倒的な名技で聴くものを黙らせてしまうような演奏。

シューベルトに求める「ワビサビ」は感じられないかもしれませんが、とにかく第1楽章の冒頭からハッとさせられました。マーラーの音楽に比べるとシューベルトの曲は演奏難易度としては高くないのかもしれませんが、それでもシカゴ響の高い集中力と圧倒的な名技をこの曲でも感じます。まるで抗えない運命が巨大な波として押し寄せてくる、そんな印象です。

第2楽章では一転して穏やかになるのですが、ここでもジュリーニとシカゴ響は奇をてらわないオーソドックスな演奏ながら納得感のある仕上がりになっています。ロマンに流されないで音楽にしっかりとした構築を持たせているのは、後の1988年のウィーンフィルとのブルックナーの交響曲第9番の録音とも共通したジュリーニの特徴でしょう。

シューベルトを頻繁に取り上げたカルロ・マリア・ジュリーニによる、シカゴ響の黄金期での「未完成」の録音。名技に圧倒されます。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
シカゴ交響楽団
録音:1978年3月, シカゴ・オーケストラ・ホール

iTunesで試聴可能。

特に無し。

「シカゴ響の名技に圧倒されるカルロ・マリア・ジュリーニとのシューベルト交響曲第7番「未完成」(1978年)」への3件のフィードバック

  1. お世話になります。なにを聴こうか、という時の参考に、こちらのサイトを拝見しています。ジュリーニのシカゴのマーラー9番に衝撃を覚えて、ジュリーニの他の演奏も聴いてみようと思っています。こちらのサイトの記事で気になったのが、シューベルトの後期の交響曲の番号です。8番が未完成で、9番がザ・グレートのように思っていますが、、、いずれにしても「未完成」聴いてみたいと思います。

    1. ムジカじろう

      XIZEさま
      コメントありがとうございます。
      私はオーケストラのレコーディングをショルティからの聴き始め、同時期のシカゴ響との録音でジュリーニを知り、そして晩年までのレコーディングも聴いていて思い入れのある指揮者の一人です。
      シューベルトの交響曲の番号なのですが、今でも交響曲第8番が「未完成」、交響曲第9番が「ザ・グレート」と書かれているものもありますが、Wikiにもあるとおり、シューベルトの7番以降の交響曲は1978年に番号が見直されていて、第7番が「未完成」、第8番が「ザ・グレート」というのがスタンダードな呼び方になっています。

      【Wikipedia】フランツ・シューベルト#交響曲の番号づけ

      「国際シューベルト協会(Internationale Schubert-Gesellschaft)が1978年のドイチュ目録改訂で見直し、交響曲第7番『未完成』、第8番『大ハ長調』とされた」

      このサイトでもそれに従っていますが、今でも過去の録音では交響曲第8番、第9番で書かれているものも多く、交響曲の番号で呼ぶと誤解を生むので、なるべくニックネーム(「未完成」、「ザ・グレート」)やドイチュ番号(D759、D944)を使うようにしています。

      1. ムジカじろうさま、返信ありがとうございました。

        シューベルトの交響曲のナンバリングの件、知りませんでした。。。興味深いです。

        先ほど、ジュリーニ、シカゴの未完成を聴き終わったところです。未完成は小中学生のころにベーム、ウィーンか、カラヤン、ベルリンか、どちらか忘れましたが、当時カセットテープで何度も聴いていたのに、それからずっとご無沙汰だった曲です。なつかしさと新鮮さの両方の感情が湧いてきました。演奏は美しく響きがまろやかで、私の聴きなじんでいるショルティによるシカゴ響とはまた違った趣が感じられました。おすすめありがとうございました。

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