ウィーン・フィルが2024年も来日
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が今年2024年も来日しています。
【サントリーホール】ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2024
昨年はフランツ・ウェルザー=メストの代役としてトゥガン・ソヒエフが指揮をおこないまして、私も横浜公演を聴いてきました。(紹介記事)
今年はアンドリス・ネルソンスのコンビでの来日。ニューイヤー・コンサートにも登壇し、夏のシェーンブルン・サマーナイト・コンサートにも2度登場しているネルソンスとのコンビで期待が高まります。ネルソンスは昨年はカペルマイスターを務めるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と来日し、私も11月22日のサントリーホール公演に行きました (紹介記事)。2022年はボストン交響楽団と日本に来てくれ、毎年の来日は嬉しいですね。
ミューザ川崎へ
6月2日の記事でサントリーホールのチケットが取れなくてミューザ川崎の公演に行くことを書きましたが、あれからあっという間に5ヶ月が経ってついに11月7日(木)に本番の日を迎えました。今回のウィーンフィル・ウィーク・イン・ジャパンでも初日がこの川崎。
こちらが川崎駅直結のミューザ川崎。アクセス抜群です。
対向配置で
演奏が始まる前のホールを見て、オヤっと思いました。指揮者の右手の席にヴァイオリンが置かれているのです。そう、第1ヴァイオリンが左手、第2ヴァイオリンが右手の位置にくる「対向配置 (両翼配置)」の体制を取っていました。
指揮者の左から右に向かって第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン。コントラバスは第1ヴァイオリンの左奥にいました。
コンサートマスターはフォルクハルト・シュトイデさん。ニューイヤー・コンサートの解説にも出ていたチェロのベルンハルト・直樹・ヘーデンボルクもいましたね。
ムソルグスキー、ショスタコーヴィチ、ドヴォルザーク
川崎公演はプログラムCで、プログラム前半がムソルグスキー (ショスタコーヴィチ編曲)の歌劇「ホヴァンシチナ」より「モスクワ河の夜明け」、そしてショスタコーヴィチの交響曲第9番。後半がドヴォルザークの交響曲第7番でした。
モスクワ河の夜明けでは、冒頭から魔法に掛かったかのようで、モヤの中をパーっと明るくなっていくのが音で表現されました。昨年もウィーンフィルはすごいなと思ったのですが、ソヒエフが代役だったこともあり制御しきれなかったところも見られました。今回はネルソンスとのコンビで同じオケでもこんなに違うのと思うぐらいウィーンフィルのパフォーマンスを引き出していました。
ショスタコーヴィチの交響曲ではネルソンスの本領発揮。この曲では木管セクションがソロもあり際立つのですが、本当にうまいです。ピッコロはフルート奏者も務めるヴォルフガング・ブラインシュミットさんが担当。第1楽章で特に大活躍していました。ちなみにプログラム後半のドヴォルザークではフルートに戻られていました。指揮棒を使うネルソンスも第2楽章では手だけで描くように指揮をしていました。主要主題のクラリネットが憂いがあり、第3楽章ではプレストで駆け巡りトランペットが加わり大団円に。そして小太鼓連打で軍隊行進曲のように移っていくのですが一糸乱れないアンサンブルは見事。第4楽章ではファゴットのモノローグが聴きどころですがソフィー・デルヴォーさんが務めました。ネルソンスもここでは指揮を止め、独奏にじっと耳を傾け全幅の信頼を寄せて任せていました。
後半のドヴォルザークの交響曲第7番はやや速めのテンポを取りながらも旋律あり、舞踊ありの作品の魅力をドラマティックに引き出していました。第1楽章での主要主題の提示や展開部ではアドレナリンがみなぎり、第3楽章のスケルツォではネルソンスが指揮台の手すりをしっかり掴みながら舞うような指揮をしていたのが印象的でした。
ティンパニはおヒゲを生やしていてプロフィール写真と雰囲気が違いましたが、おそらくエルヴィン・ファルクさん。このドヴォルザークでは圧巻でした。ホルンは右の一番奥でしたが、首席のロナルド・ヤネツィクさんもいました。
アンコールにウィンナ・ワルツとポルカを
アンコールにはウィーンフィルらしくウィンナ・ワルツとポルカを。ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「我が人生は愛と喜び」Op.263、続いてヨハン・シュトラウス2世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」 Op.214。日本の聴衆を沸かせてくれました。
コンサート情報
指揮:アンドリス・ネルソンス
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2024年11月7日, ミューザ川崎・シンフォニーホール
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