このアルバムの3つのポイント
- これがリストだ!超絶的な技巧と溢れるインスピレーション
- 強靭なタッチで弾きこなすリストとシューマンのソナタ
- 激しすぎるパッション
リストのピアノソナタはピアニストの腕試し
リストのピアノソナタは高度な技術を要求され、ピアニストの力量が試される1曲である。これまで数々のピアニストが録音も行ってきて、20世紀の著名なピアニストでもヴラディーミル・ホロヴィッツ、スヴャトスラフ・リヒテル、アルフレート・ブレンデル、マウリツィオ・ポリーニ、マルタ・アルゲリッチ、クリスティアン・ツィメルマンなどが録音を行っている。冒頭の弱音から研ぎ澄まされた集中力を要求され、全楽章およそ25分間をノンストップで弾きこなさなければならない。楽章によって雰囲気が異なり、野性的な激しさ、尋常でないほどの速いテンポ、強打での連続打鍵といったヴィルトゥオーソだけではなく、エレジーのような穏やかなメロディで感受性も求められる音楽である。
マルタ・アルゲリッチの1971年の録音
その中で、マルタ・アルゲリッチは29歳の1971年2月にこのリストのピアノソナタを録音している。これがとてもアルゲリッチならではで、情熱の赴くままに奔放に弾き乱れている。さらに速いテンポのフレーズを尋常ではないぐらいの速さで弾きこなし、麻薬的な魅力のある演奏。ホロヴィッツの演奏が「悪魔が乗り移っている」と評されることもあるが、このアルゲリッチの演奏は「リストが乗り移っている」ように思える。
単なるヴィルトゥオーソの魅力だけではなく、クアジ・アダージョのところではみずみずしく、詩情豊か。
カップリングはシューマンのピアノソナタ第2番
カップリングはシューマンのピアノソナタ第2番。こちらも激しく情熱的に演奏しているアルゲリッチだが、冒頭からちょっとけばけばしい感じがする。シューマンの謝肉祭だったらこういう演奏が合うのだろうが、このソナタでこれだけどぎついとシューマンの内面の詩情があまり表れてこない。
まとめ
両曲ともアルゲリッチらしいほとばしる情熱と、高度な技術が詰まった演奏に仕上がっている。リストらしいピアノソナタロ短調を聴きたいなら、このアルゲリッチの演奏はオススメだ。ただ、シューマンのピアノソナタ第2番は他の演奏に譲りたいところ。
オススメ度
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
録音:1971年6月, バイエルン科学・人文学アカデミー会議ホール
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試聴
iTunes及びドイツ・グラモフォンのWebカタログで試聴可能。
受賞
特に無し。
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