マリス・ヤンソンス ラジオ・レコーディングズ
マリス・ヤンソンス ラジオ・レコーディングズ
  • 2008年のヤンソンス/RCOの運命
  • RCOのベートーヴェン交響曲全集にも採用
  • ヤンソンスなのに、ほとばしる!

指揮者マリス・ヤンソンスは2015年3月にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者の任を終えた。その引退記念として、コンセルトヘボウ管の自主レーベルRCO Liveから、ヤンソンスとコンセルトヘボウ管の1990年から2014年までのライヴ、ラジオ音源を13枚のCD+1枚のDVDに収録したのが「Mariss Jansons Live – The Radio Recordings 1990-2014」(日本語名はラジオ放送録音集)。今では入手困難となってしまったが、初CD化で特に好評だった演奏のラフマニノフの交響曲第2番、プロコフィエフの交響曲第5番の録音は、後日、別売としてCD化されるほどであった。

また、この中にはベートーヴェンの交響曲第5番「運命」のライヴ録音もある。2008年5月29日のコンセルトヘボウでの演奏で、ラジオ音源はオランダの放送局AVROである。

2020年11月にRCO Liveレーベルからリリースされた、コンセルトヘボウ管による9人の指揮者とのベートーヴェン交響曲全集。1978年~2008年のライヴ放送録音をCD5枚組としてリリースしたのだが、その中にはダニエレ・ガッティ、リッカルド・シャイー、ベルナルト・ハイティンクの演奏が含まれていない。歴代の首席指揮者との演奏を差し置いて、客演指揮者との演奏が選出されているのだ。ただし、一人だけ、マリス・ヤンソンスが首席指揮者時代の演奏として唯一選ばれている。それがこの2008年の交響曲第5番「運命」の録音なのだ。

マリス・ヤンソンスと言えばまろやかで音楽が特徴だと思っていた。2012年のバイエルン放送交響楽団との「運命」のライヴ録音では、軽やかなサウンドながら室内楽のような緻密なハーモニーを作っていたが、このコンセルトヘボウ管とのライヴは全く違う。ヤンソンスなのに、ほとばしっているのだ。

解釈はオーソドックスなのだが、第1楽章からきしむ弦から始まり、ティンパニーが炸裂している。コンセルトヘボウ管の高いレベルの演奏で、重厚感があり、個々の楽器のバランスも素晴らしく、ビロードのように滑らかなハーモニーで、ツヤのある金管も聴きどころ。

第2楽章でもティンパニーが弾むように演奏される。穏やかな曲想では、弦と木管の豊かな響きが魅力的。第3楽章ではツヤが滑らかなホルンの音色が良い。この楽章でも情熱がほとばしっているのだが、さすがはヤンソンス。感情が突っ走らずに知的にコントロールしている。

終楽章も力強く輝かしい運命を手にしたかのような幸福感がある。勢いで突っ走るのではなく、円熟した響きで気品の高い演奏に仕上げている。

ヤンソンスなのに力強く、ほとばしっている「運命」のライヴ録音。ティンパニーが爆発するような力強さも臨場感がある。久しぶりに素晴らしい「運命」を聴いた。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:マリス・ヤンソンス
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:2008年5月29日, コンセルトヘボウ(ライヴ)

iTunesで試聴可能。

特に無し。

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