カラヤン最初のスリリングでフレッシュなベートーヴェン交響曲全集 フィルハーモニア管(1951-55年)

ベートーヴェン交響曲全集 ヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1951-1955年)

このアルバムの3つのポイント

ベートーヴェン交響曲全集 ヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1951-1955年)
ベートーヴェン交響曲全集 ヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1951-1955年)
  • ヘルベルト・フォン・カラヤン初のベートーヴェン交響曲全集
  • 設立間もないフィルハーモニア管弦楽団との演奏
  • スリリングでフレッシュなカラヤンのベートーヴェン

今日はベートーヴェンの交響曲全集を紹介したいと思います。3週間前の記事「安すぎて良いの!?ワーナー・クラシックスの輸入盤BOX」で紹介したように、ワーナー・クラシックスの半額セールで購入したものなのですが、安さと聴きたさがあいまってベートーヴェンの交響曲全集を3つも購入してしまいました。ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、アンドレ・クリュイタンス、そして3つ目がヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団の全集です。繰り返し聴いて感想がまとまってきたのでようやく記事に起こせるのですが、やはり全集だと聴き込むのに1週間は掛かりますね。

ヘルベルト・フォン・カラヤンはベートーヴェンの交響曲全集を4回レコーディングしていて、映像作品も合わせるとさらに増えます。CDとしてリリースされている4回の全集のうち、2回目から4回目はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との録音ですが、1回目は1951年から1955年にかけてのイギリスのフィルハーモニア管弦楽団と、でした。この少し後の1957年からアンドレ・クリュイタンスがベルリンフィルとの初のベートーヴェン交響曲全集を完成させています。またヴィルヘルム・フルトヴェングラーがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して交響曲全集を録音したのも同時期です。

2種類の第九

今回紹介するアルバムは、2014年3月にワーナー・クラシックスからリリースされた6枚組のCD BOXで、2013~2014年 にロンドンのアビイ・ロード・スタジオでリマスターされた音源です。1955年に録音された交響曲第9番はモノラル録音でリリースされていたのですが、今回ステレオ録音されていたマスターテープが発見されたとのことで、この音源もCDで初出となりました。なので第9番が2種類含まれているのがこの交響曲全集の特徴です。

今回カラヤンが指揮しているのは、イギリスのフィルハーモニア管弦楽団。EMIレーベルと深く関係があるオーケストラで、1945年にEMIのプロデューサーだったウォルター・レッグによってEMIレーベルで録音するためのオーケストラとして創設されたのが起源です。Wikipediaによると、レッグは第二次世界大戦の敗戦国となったドイツやイタリアから一流の指揮者をフィルハーモニア管の公演に招くことに成功し、オットー・クレンペラー、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤンが定期公演で指揮することで設立間もないフィルハーモニア管のレベルアップに向上したようです。

このカラヤンとフィルハーモニア管のベートーヴェン交響曲全集も1951年から1955年にかけての録音ですが、このアルバムの解説によるとカラヤンはフルトヴェングラーの後任として1955年からベルリンフィルの首席指揮者を務めることになり、また1959年にドイツ・グラモフォン・レーベルとの長期のレコーディング契約を結んだため、EMIレーベルでの録音は1960年で一区切りしてしまいます。

ベートーヴェン交響曲全集 ヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1951-1955年)
ベートーヴェン交響曲全集 ヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1951-1955年)

ここに聴くベートーヴェンは、とてもフレッシュで、スリリング。私も1970年代と1980年代のベルリンフィルとの交響曲全集は聴いていますが、そこにはスマートで聴きやすさを重視したカラヤンのこだわりが詰まっていましたが、このフィルハーモニア管との演奏では本当にあのカラヤンなのか、と思うぐらいに新鮮さがあります。特に交響曲第5番「運命」の勢いや、交響曲第3番「英雄」の弓のような鋭さはこの時期ならではでしょう。交響曲第8番はイキイキとしていて、弦も美しいです。「エグモント」序曲ではせっかちな感じがするぐらいに速いテンポですし、スリリング。

1950年代前半の録音なので、音質も良いとは言えませんが、リマスターされて十分聴くに耐えうるデキになっていると思います。新しく初出となった第9番「合唱付き」はステレオ録音とは言え音質が一段落ちますが、しょうがないですね。

第九の第4楽章では嵐のような激しいオーケストラの響きの後に、「おお友よ、このような旋律ではない!」の独唱が加わる辺りからテンポがゆっくりとなり、丁寧に演奏されていきます。この第九だけは合唱団の都合もあり、ウィーンの楽友協会・大ホール(ムジークフェライン・ザール)での演奏となっています。

1950年代前半の、ヘルベルト・フォン・カラヤン初のベートーヴェン交響曲全集。後のベルリンフィルとの再録では聴かれないスリリングさとフレッシュさが特徴的な演奏です。第九は再録のほうが良いものがありますが、他8曲については再録より良いと思う演奏も多々あります。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
フィルハーモニア管弦楽団
ソプラノ:エリーザベト・シュヴァルツコップ
アルト:マルガ・ヘフゲン
テノール:エルンスト・ヘフリガー
バス:オットー・エーデルマン
ウィーン楽友協会合唱団
録音:1951年11月28-30日(第7番), 1952年11月22日(第3番), 1953年6月20日 & 7月15日(コリオラン序曲, エグモント序曲), 1953年7月9-10日(第6番), 1953年7月13-14日(レオノーレ序曲), 1953年11月12, 13 & 23日(第2番), 1953年11月13, 16 & 19日(第4番), 1953年11月21日(第1番), 1955年5月20日(第8番), 1954年11月9-10日(第5番), キングズウェイ・ホール
1955年7月24-29日(第9番), ウィーン楽友協会・大ホール

iTunesで試聴可能。

特に無し。

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