このアルバムの3つのポイント

バイエルン放送交響楽団と「新世界より」を指揮するマリス・ヤンソンス(2014年)
バイエルン放送交響楽団と「新世界より」を指揮するマリス・ヤンソンス(2014年)
  • クーベリック生誕100年記念コンサートの2014年ライヴ。クーベリックが得意とした2作品のプログラム!
  • 相性抜群のマリス・ヤンソンスとバイエルン放送響の豊かな響き
  • 華やかながら香り引き立つハーモニー

指揮者マリス・ヤンソンスは、首席指揮者を務めたバイエルン放送交響楽団と2014年11月14日に本拠地ミュンヘンのヘラクレス・ザールで演奏会をおこないました。

ラファエル・クーベリックの生誕100周年記念コンサートとして、彼が得意とした曲、ドヴォルザークの「新世界より」と、ムソルグスキーの「展覧会の絵」を並べたプログラム。このときの映像がBelvedereレーベルからリリースされています。

「展覧会の絵」はBR-KlassikからCDがリリースされていますが、映像で見られるのはとても価値があります。私も既にCDを持っていましたが、ヤンソンスの指揮姿を見たくてこのBlu-rayを買いました。

11月14日のヘラクレス・ザールでの演奏会の翌週、ヤンソンスとバイエルン放送響は来日公演をおこなって、日本の聴衆にもこの「新世界より」を披露しています。

「新世界より」はドヴォルザークがアメリカに滞在していた時に、黒人霊歌や、新しい文明である蒸気機関車にインスピレーションを湧かして、故郷ボヘミアを振り返って作った作品と言われていますが、特に第2楽章は故郷の様子がよく描かれています。

愛おしくてどこか哀しみが込められているのは、故郷ではなくアメリカから故郷を思い出して作曲しただからだと私は思います。ドヴォルザーク自身の内省が描かれている気がするのです。

そしてこの第2楽章でヤンソンスがバイエルン放送響から引き出したハーモニーが実に美しいこと。

この「新世界より」の演奏について南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)が「音楽のごちそう(musical feast)」と表現したのも頷けます。

バイエルン放送交響楽団と「新世界より」を指揮するマリス・ヤンソンス(2014年)
「新世界より」の第2楽章でオーケストラから極上のハーモニーを引き出すマリス・ヤンソンス。
(C) Bayerischer Rundfunk 2015

ハーモニーの美しさは第4楽章でも顕著で、緻密なアンサンブルがきめ細やかな織物のようで、個々の楽器の美しい響きが合わさり、より次元の高い美しさへ昇華しているようです。

「展覧会の絵」も、バイエルン放送響の特徴である透明感ある柔らかな響きだなと感じます。ヤンソンスとバイエルン放送響はストラヴィンスキーの「春の祭典」も2009年にライヴ録音していますが、ロシア物でも透明感あるハーモニーで演奏しています。

この映像を観て、ヤンソンスがどうしてあれほど豊かな響きを引き出せるのか、なるほどと思いました。演奏が熱くなっても決して大騒ぎするようなことはないヤンソンスの指揮の下では、アンサンブルやバランスも崩れません。

また、バイエルン放送響には女性演奏者が意外と多いことに気付きました。ベルリンフィルやウィーンフィルではまだまだ男性演奏家が大多数ですが、バイエルンでは女性演奏家も当たり前ですね。

オーケストラや指揮者によっては派手なパフォーマンスを取るところもありますが、その点ではバイエルン放送響は地味と言えるでしょう。「新世界より」でも第1楽章後半のフルートのソロや、第2楽章前半のイングリッシュ・ホルンのソロ、第4楽章のホルンやトロンボーンの聴かせどころでも、はたまた「展覧会の絵」の冒頭のトランペットも、奏者が淡々と演奏しつつ良い音を出しているのです。うわべではなく、「中身」で勝負しているオーケストラだと感じました。

相性抜群のマリス・ヤンソンスとバイエルン放送響の演奏を映像で観られる幸せ。このコンビの蜜月ぶりを表す素晴らしいコンサートでした。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団
演奏:2014年11月14日, ヘラクレス・ザール(ライヴ)

特に無し。

特に無し。

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