モーツァルト交響曲集 カール・ベーム/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 (1955年)

オランダの名門、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。世界トップクラスのオーケストラで、多くの名指揮者が指揮台に上がってきました。

一方でオーストリア出身の名指揮者カール・ベーム (1894-1981年)はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、バイロイト祝祭管弦楽団、ロンドン交響楽団などヨーロッパの名門オーケストラを度々指揮してきましたが、意外にもベーム×コンセルトヘボウ管の演奏は聞かないですよね。

それもそのはず。コンセルトヘボウ管の公式HP のコンサートアーカイブの検索によると、ベームが指揮した演奏会は1959年にベートーヴェンのプログラムで10回、そして1977年にシューベルトとブラームスの曲目で3回。合計13回のみなんです。

ただ、フィリップス・レーベルにセッション録音でモーツァルトの交響曲を遺しています。こちらの記事で紹介したデッカ・フィリップス録音全集は、ベーム没後40周年を記念して2021年9月にリリースされたCD 38枚、Blu-ray Audio 1枚の計39枚のBOX。このBOX でまだ聴いていないのを取り出してみたのが今回紹介するベームとコンセルトヘボウ管 (当時はアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の名前でした)によるもの。

1955年9月にモーツァルトの交響曲を5曲、第26番K184 (161a)、32番K318、39番K543、40番K550、41番「ジュピター」K551を録音しています。

音源はフィリップス・レーベルで、これ以外にもBnF コレクションなどの別音源のライヴ録音もありますが、こちらは全てコンセルトヘボウでのセッション録音。

モノラル音源をステレオ化しているので音質はそこまで良いとは言えないですが、例えば第39番の冒頭を聴いただけでコンセルトヘボウの豊かな残響が感じられます。第4楽章では降りてくる響きを待たずに矢継ぎ早に音を繰り出すのが新鮮。

演奏時に61歳だったベーム。晩年のゆったりとしたテンポとは違い、壮年期のベームは厳格です。さらにコンセルトヘボウ管の演奏が実に生真面目。このシナジーには不思議と他の指揮者とオケには無い魅力がある気がします。第40番の冒頭も怖さを感じる薄暗さです。

CD としては廃盤になってしまったので、Apple Music などの配信で聴いていただきたいのですが、ベーム×コンセルトヘボウ管のユニークなモーツァルトをどうぞ。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:カール・ベーム
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1955年9月19-22日, コンセルトヘボウ

Apple Music で試聴可能。

特に無し。

Tags

コメントはまだありません。この記事の最初のコメントを付けてみませんか?

コメントを書く

Twitterタイムライン
カテゴリー
タグ
1976年 (21) 1977年 (16) 1978年 (19) 1979年 (14) 1980年 (14) 1985年 (14) 1987年 (17) 1988年 (15) 1989年 (14) 2019年 (21) アンドリス・ネルソンス (22) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (85) ウィーン楽友協会・大ホール (59) エジソン賞 (19) オススメ度3 (80) オススメ度4 (121) オススメ度5 (155) カルロ・マリア・ジュリーニ (28) カール・ベーム (29) キングズウェイ・ホール (15) クラウディオ・アバド (24) クリスティアン・ティーレマン (18) グラミー賞 (29) コンセルトヘボウ (38) サー・ゲオルグ・ショルティ (55) サー・サイモン・ラトル (23) シカゴ・オーケストラ・ホール (23) シカゴ・メディナ・テンプル (16) シカゴ交響楽団 (53) バイエルン放送交響楽団 (36) フィルハーモニー・ガスタイク (16) ヘラクレス・ザール (21) ヘルベルト・フォン・カラヤン (33) ベルナルト・ハイティンク (38) ベルリン・イエス・キリスト教会 (22) ベルリン・フィルハーモニー (33) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (67) マウリツィオ・ポリーニ (17) マリス・ヤンソンス (43) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 (18) リッカルド・シャイー (21) レコードアカデミー賞 (26) ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 (46) ロンドン交響楽団 (14) ヴラディーミル・アシュケナージ (28)
Categories