3年ぶりのボストン出張へ
今週は米国ボストンに出張で行ってきました。以前は毎年行っていたのですが、新型コロナウイルスの影響で2020年以来、3年ぶりの渡米となりました。
私のようなクラシック音楽ファンにとってボストンと言えばボストン交響楽団とボストン・シンフォニー・ホール。ボストンの中心地から近く、シェラトンやマリオットのホテルからも徒歩5分ぐらいの近さ。観光客にも行きやすい好立地です。
1月は定期公演があります。せっかくなら首席指揮者のアンドリス・ネルソンスが指揮する演奏会にしたかったのですが、今週マエストロはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とオーストリアのウィーンとハンガリーのブダペスト、そしてドイツ・ケルンでマーラーの交響曲第7番を演奏しているので、ボストンには不在。
客演指揮者カリーナ・カネラキス (Karina Canellakis) による演奏会で、1月19日の夜のコンサートに行ってきました。
私は演奏会は12月7日にサントリーホールでクリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ベルリンに行った以来(紹介記事)、1ヶ月ぶり。
Twitter でも紹介しましたが、本当に素晴らしかったです。
ボストン響の演奏会のチケット
ボストン響の来日公演では予約をすぐにしないと満席になってしまいますが、地元ボストン開催で定期公演だと、ぎりぎりでもチケットを買えます。私は1週前に予約しましたが、そのときもまだまだ60%ぐらいが空席の状態だったので、良い席を選べました。チケットの予約はボストン交響楽団の公式HP (https://www.bso.org/)からUpcoming Performances から各演奏会のリンクがあるのでそこから買えます。
1月19日の演奏会はS席で131ドル、手数料が6.5ドルで計137.5ドル。日本円では18,837円でした。
モバイル e チケットにしておくと便利です。スマートフォンでWeb ブラウザから開くとQRコードが表示されるので、それを会場の入口で見せれば入れます。
開場後、演奏が始まる前のステージではボストン響のメンバーが練習をしています。来日公演のような演奏旅行ではメンバーが一斉に登場すると思いますが、定期公演ではこうして自席で事前練習をしているところを見ることができます。
この演奏会のプログラムは
- ドヴォルザークの野ばと
- シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番 (ヴァイオリン独奏:ニコラ・ベネデッティ)
(休憩) - ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
という曲目。
ニコラ・ベネデッティのボストン・デビュー
話題になったのは、ヴァイオリンのニコラ・ベネデッティ (Nicola Benedetti) のボストン響デビュー。1987年のスコットランド出身で2020年のウィントン・マルサリスのヴァイオリン協奏曲のアルバムで米国グラミー賞の最優秀器楽部門を受賞した実力者。さらにファッションモデルのようなスタイルと存在感で人気のヴァイオリニストですが、ボストンには意外にも初めてだったとのこと。
プログラムの2つ目でシマノフスキのヴァイオリン協奏曲第2番を演奏しましたが、超絶技巧を要求される作品を軽々と演奏してしまうヴィルトゥオーソぶりに驚きました。特にカデンツァでのヴァイオリンと垂直にガシガシとボーイングするテクニックがすごかった…
ドヴォルザークの野ばととルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲
指揮のカリーナ・カネラキスはボストン響とは3シリーズ目の演奏。細部まで正確にコントロールし、ボストン響のスケールも存分に引き出していました。
ドヴォルザークの野ばとでは繊細さと大胆さが感じられましたし、後半のルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲では、ボストン響ならではの金管の力強さとオーケストラ全体の集中力とパワーが見事でした。
サントリーホールのような温かみのある音響ではなく、ボストン・シンフォニー・ホールはドライな感じのする響き。ルトスワフスキのオケコンのような近代作品にはこのホールとの相性がすごい良かったと思います。
マスク事情
最後にCOVID対策について。日本の演奏会ではまだまだマスク着用が義務ですが、ボストン・シンフォニー・ホールでは任意でした。
そもそも、ボストンの方たちは屋外でも屋内でもマスクはしていないです。ぱっと見た感じ、全体の1〜2%しかマスクをしていません。人と多く接するローガン国際空港の入国審査・出国審査の担当官もしていませんし、タクシーやバスの運転手もレストランの店員さんもしていません。日本との考え方の違いに驚きました。立ち寄った日本料理屋では店員が全員マスク着用して日本らしいと思ってしまいました。
元旦のウィーンフィルのニュー・イヤー・コンサートをテレビで見たときも聴衆が全くマスクしていないことに驚いたのですが、ボストン・シンフォニー・ホールの1月19日の演奏会でも、マスクをしていたのは各列に1人いるかいないかぐらいだったので、着用率は5%もなかったと印象です。ボストン響の演奏者のマスク着用は2人ぐらい。マスクをするかしないかは本当に個人の意思で決められる感じでした。また、演奏前の手笛による歓迎や演奏後のブラボーも普通にやっていましたね。
日本の演奏会でマスク着用無し・歓声の自粛が解除になるのはまだまだ先でしょうから、コロナ前の生活を早くも取り戻しているボストンでカルチャーショックも受けました。
まとめ
ヴァイオリン:ニコラ・ベネデッティ (シマノフスキ)
指揮:カリーナ・カネラキス
ボストン交響楽団
演奏:2023年1月19日, ボストン・シンフォニー・ホール (ライヴ)
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