ベーム壮年期のブラームス交響曲第1番! みなぎる重厚感と推進力 ベルリンフィル(1959年)

ブラームス交響曲第1番 カール・ベーム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1959年)

このアルバムの3つのポイント

ブラームス交響曲第1番 カール・ベーム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1959年)
ブラームス交響曲第1番 カール・ベーム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1959年)
  • ベーム壮年期の引き締まったブラームス
  • みなぎる重厚感と推進力
  • 個々の楽器の音がクリアに聴こえる、ステレオ初期の良好な音質

オーストリア出身の指揮者、カール・ベームは20世紀を代表する指揮者の一人だが、皆さんはどんな印象をお持ちだろうか。

「教科書どおり」
「ゆっくり」
「素朴」

こうした印象は、1894年生まれのベームが70代〜80代の1970年代以降の録音を多く耳にするからであろう。確かに晩年のベームの指揮はゆっくりとして、楽譜に忠実な教科書どおり演奏で、ウィーンフィルやべルリンフィルを指揮して、素朴なモーツァルトやブルックナーなどを得意としていた。そんなイメージが、今回紹介する1959年のブラームスの録音を聴くと覆される。

ベルリンのイエス・キリスト教会は、ベルリン・フィルハーモニーができるまではベルリンフィルが多くの録音を行ってきたが、1959年10月に録音されたベームとのブラームスの交響曲第1番はその中でも格別なものだろう。

第1楽章の序奏から、ベルリンフィルから重厚感ある響きを引き出し、そして内声もよく表れている。
「これがベーム!?」と驚いてしまうのだが、当時65歳でまだ壮年期といえる時代。後年のベームと明らかに違うのはキビキビとしたテンポと、ぐいぐいと勢いある推進力。

オーケストラもベルリンフィルということもあり、個々の楽器のレベルがものすごく高い。弦も木管も金管も打楽器も、全てが絶妙なバランスで溶け合っている。この第1楽章を聴いていると「怒涛の渦」と表現したいほど、エクスタシーに浸れる。

1961年に同じくベーム&ベルリンフィルの演奏でベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を録音しているが、そのときも推進力があった。

その一方で、第2楽章になると「あぁ、ベームだ」という印象。このゆったりとしたテンポで牧歌的で美しい音楽を、ベームは慈愛に満ちたオブラートのように、表現している。ヴィルトゥオーソ揃いのベルリンフィルが、ここではまるでウィーンフィルばりに官能的な美しさを生み出しているところも注目だろう。

優しい雰囲気の第3楽章も見事だが、意外にも速めのテンポで演奏されていく。ここも音質の良さが活きている。

そして迎える第4楽章は圧巻と言える出来栄え。ベルリンフィルの集大成を聴いている気分だ。ぐいぐいと進む勢いと、それに応えるオーケストラの名技のコンビネーションが見事。それでいて休符の長さはしっかり守っているのが、いかにもベームらしい。

このディスクの驚くところは、今から61年も前の1959年というステレオ初期のレコーディングなのに、音質がものすごく良い。私は2006年に再発売された「20世紀の巨匠シリーズ」のCDでこの演奏を聴いているが、それでも全然古い演奏を聴いているという感じはせず、音がこもることもなくクリアに聴こえる。さらに2018年に再発売されたディスクでは音質が良いSACD(SHM仕様)になっているので、もっと良い録音になっているのではないか。

なお、この録音は作家、百田尚樹氏のクラシック音楽本でもブラームスの交響曲第1番のオススメ録音として紹介されているものである。
参考: 作家・百田尚樹さんのクラシック紹介本(FC2ブログ記事)

半世紀以上前の録音だが、現在でも不変の価値を持つ名演だろう。このCDを初めて聴いたときの感動は未だに忘れられない。音質が良いのもこの名演を後世に残すのに一役買っているだろう。数あるカール・ベームの録音の中でもベスト盤と言えるレコーディング。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:カール・ベーム
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1959年10月, ベルリン・イエス・キリスト教会

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試聴

iTunesで試聴可能。

受賞

特に無し。

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