- ヤンソンス得意のR.シュトラウス
- NHK音楽祭2008で大喝采を受けた「ティル」
- ハイクオリティの映像と音声
NHK音楽祭2008にヤンソンス/コンセルトヘボウ管が登場
2008年のNHK音楽祭では「魅惑のバイオリン 魂のコンチェルト」という副題でヴァイオリン協奏曲を含むプログラムでN響と世界の一流オーケストラの4回に渡る演奏会を行った。最も注目の高かったのは第3夜の11月12日。マリス・ヤンソンス指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が出演し、ヴァイオリン独奏にジュリアン・ラクリンを招いて以下のプログラムを演奏した。
- ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
- (アンコール) バッハ 無伴奏ヴァイオリン パルティータ第2番 BWV1004からサラバンド
- ブラームス 交響曲第3番 ヘ長調
- R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
- (アンコール) ブラームス ハンガリー舞曲第1番
- (アンコール) ヨハン・シュトラウス ポルカ「ハンガリー万歳!」
参考:NHK音楽祭2008公式
参考:NHK音楽祭2008でのヤンソンス/コンセルトヘボウ管のプログラム
世界最高峰のオーケストラであるコンセルトヘボウ管に、首席指揮者のマリス・ヤンソンスがタクトを取る。しかも曲目はブラームスやR.シュトラウス。これは楽しみしかないだろう。
ハイティンク80歳記念でNHKが生放送した番組で
ただ、私がこのNHK音楽祭2008の映像を見たのは、2009年3月8日(日)のこと。ベルナルト・ハイティンク(1929年3月4日生まれ)が80歳記念として、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とのコンサートが衛星中継で世界同時配信され、日本のファンもNHKのBS hi (今はBSプレミアム)の音楽番組でライヴで見ることができた。その時の曲目はシューマンのピアノ協奏曲とブルックナーの交響曲第9番であったが、番組の枠で、最初にコンセルトヘボウ管の紹介として放映されたのが、マリス・ヤンソンスとのNHK音楽祭2008の「ティル・オイレンシュピーゲル」であった。なので私はNHK音楽祭2008のコンセルトヘボウ管の演奏はティルしか知らないのだが、これが強烈な名演なので紹介しておきたい。
マリス・ヤンソンスがレニングラード・フィルと来日した1986年、1989年のコンサートの音源がNHKに保存されており、それをALTUSレーベルがリマスタリングして2020年11月中旬にリリースするのだが、同じようにNHKに保存されている映像作品をBlu-rayでリリースしてくれたら嬉しい。
「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の熱演
R.シュトラウスは一般的には「ツァラトゥストラはこう語った」の序奏だけが有名になっていて、映画「2001年宇宙の旅」やテレビ番組「ナニコレ珍百景」でBGMとして使用されているので聴いたことが多い方もいるだろう。ただ、他の作品も一度ハマると癖になる魅力がある。「アルプス交響曲」は音楽から壮大な風景が想像されるし、「ツァラトゥストラはこう語った」は序奏以外も文学と融合した奥深さがあるし、「英雄の生涯」はR.シュトラウス自身の自伝を音楽で感じる楽しさがあり、「ドン・ファン」は大胆でスッキリする快感があり、「死と変容」は何とも深い。オペラだって混沌とした中に麻薬のような中毒性のある美しさがある「サロメ」、「ばらの騎士」、「ダフネ」など、一般的には有名でなくても、クラシック音楽の通が一度知ってしまうとやめられない、止まらない。そんな音楽である。
さて「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は、おとぎ話を音楽にしたものだが、R.シュトラウスの作品の中では親しみやすい作品だろう。「昔々、あるところに」とナレーションが語るようなテーマで始まり、ホルンがティルのテーマを奏でる。楽章ごとにいたずら好きのティルが町で様々なトラブルを起こして、終いには絞首刑で息も絶え絶えになり、処刑されてしまう。また「というお話でした」とナレーションが言わんばかりに最初のテーマが流れ、ティルの笑い声の動機で幕を閉める。演奏時間で15分ぐらいの短めの音楽だが、中間部にはうっとりするような美しい踊りのフレーズもあり、オーケストレーションの魔術師とも言うべきR.シュトラウスのすごさが表れた1曲である。
コンセルトヘボウ管の演奏能力もすごいのだが、それを最大限に引き出すマリス・ヤンソンスの指揮も素晴らしい。
演奏後には日本の聴衆にしては珍しく、大声で「ブラァボー」の声が。
まとめ
ヤンソンス得意のR.シュトラウスでNHKホールを沸かせた1曲。
オススメ度
指揮:マリス・ヤンソンス
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
演奏:2008年11月12日, NHKホール(ライヴ)
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試聴
特に無し。
受賞
特に無し。
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