- ヤンソンス得意の「レニングラード」
- コンセルトヘボウ管の美しさと弩級のサウンド
- 壮大なクライマックス
マリス・ヤンソンスとショスタコーヴィチ
マリス・ヤンソンスは旧ソ連のレニングラード音楽院で学んでいるし、プロデビューした後はレニングラード・フィルハーモニー交響楽団(現サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団)の副指揮者となった。ショスタコーヴィチは得意とする作曲家で、交響曲全集も完成させている。
ヤンソンスはショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」についても録音が多い。全集に含まれているレニングラード・フィルとの1988年録音(EMI、現ワーナー)、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との2006年1月のライヴ(RCO Live)、バイエルン放送交響楽章との2016年2月のライヴ(BR Klassik)などがある。レニングラード・フィルの録音では、個々の楽器ののレベルの高さや第3楽章の美しさ、第4楽章の戦いへの勝利を感じさせるような圧巻さが見事であった。
コンセルトヘボウ管との「レニングラード」のライヴ
今回紹介する「レニングラード」は、マリス・ヤンソンスがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮して2006年1月19日と22日に本拠地コンセルトヘボウでライヴ録音したもの。レコード販売元の説明によると、この「レニングラード」は2006年の演奏シーズンで注力した作品で、アムステルダムをはじめ世界各都市で成功を収めたようだ。
穏やかなヤンソンスがショスタコーヴィチのときは厳しい
マリス・ヤンソンスと言えば、穏やかで謙虚な性格で聴衆からもオーケストラのメンバーからも愛された指揮者だったが、ヤンソンスが引き出す音楽にもそれが伝わってきた。
ただ、ショスタコーヴィチの作品を指揮するときは印象が異なる。容赦なく、厳しいのだ。これもショスタコーヴィチに思い入れが深いからだろう。
コンセルトヘボウ管の美しさと弩級の迫力
この演奏は、コンセルトヘボウ管のすさまじさを物語っている。ヤンソンスらしくハーモニーは実にまろやかだし、コンセルトヘボウ管も豊かな響きで理想的な演奏を聴かせる。これはレニングラード・フィルとの1988年の旧録を上回る出来であろう。第1楽章の「戦争の主題」は、小太鼓が銃撃戦のように聴こえるし、オーケストラの精緻さと、暴力的なギリギリでのスケールの大きさが、ただただ、すごい。第3楽章も、この美しさと来たら。透明感があり冷んやりとした空気の中で、哀愁を込めた美しさが現れては、はかなく消えていく。
まとめ
躍動感と壮大さがあって、第3楽章の破格の美しさ。コンセルトヘボウ管を見事に鳴らしきったマリス・ヤンソンスの名演だろう。
オススメ度
指揮:マリス・ヤンソンス
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:2006年1月19, 22日, コンセルトヘボウ(ライヴ)
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試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
2007年オランダのエジソン賞「管弦楽曲」部門を受賞。
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