このアルバムの3つのポイント
- マリス・ヤンソンスとコンセルトヘボウ管のライヴ
- ヤンソンス3度目のラフマニノフ・交響曲第2番
- とろけるような美しいハーモニー
マリス・ヤンソンス3度目のラフマニノフ交響曲第2番の録音
マリス・ヤンソンスはラフマニノフの交響曲第2番を1986年にフィルハーモニア管弦楽団と、1993年にサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団と録音しており、3度目となる録音が、当時首席指揮者を務めていたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と2010年1月31日に録音したもの。アムステルダムのコンセルトヘボウでのライヴ録音で、音源はオランダの放送局のAVRO。
同じ時期にマーラーの交響曲もライヴ録音しているヤンソンスとコンセルトヘボウ管。壮大と美しさを併せ持ったマーラーの演奏に対してラフマニノフではどうなるのか楽しみなところ。
CD BOXから単独で分売
AVROの音源を、コンセルトヘボウ管の自主レーベルRCO LiveからCD BOXとしてリリースされたが、好評につき、このラフマニノフの録音だけで単独で分売もされている。
ラフマニノフはコンセルトヘボウ管で
世界最高峰のオーケストラの一つである、オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。レパートリーは幅広く、どれもうまいのだが、特にブルックナー、チャイコフスキー、マーラー、R.シュトラウスあたりの後期ロマン派の輝かしくてうっとりするような美しさの作品がうまいと思う。ラフマニノフについても、ヴラディーミル・アシュケナージがピアノ独奏、ベルナルト・ハイティンク指揮のコンセルトヘボウ管のピアノ協奏曲全集や、アシュケナージ指揮の交響曲全集もいぶし銀のような渋い音色がラフマニノフのメランコリーな作品によく似合っていた。今でもラフマニノフに関してはコンセルトヘボウ管が一番だと思う。
これぞラフマニノフ
さて、この録音について。
第1楽章の冒頭から良いサウンドだ。まろやかでこれぞヤンソンスの音楽。ロシアの演奏家が行うような悲痛な美しさではなく、うっとりとさせるような美しさで、ラフマニノフの旋律が綺麗に引き出されている。
第2楽章では躍動感があって、ヤンソンスとオーケストラのアンサンブルもぴったり。
そして最高潮は第3楽章。最初の小節からふわっといい香りが漂ってきて、少しずつ花開いていく。ヤンソンスが引き出すコンセルトヘボウ管の響きは熟成されていて、この美しさは格別。まろやか。極上。色んな言葉で賛辞を贈りたい。ロシアらしさよりもヨーロッパテイストのする音楽で、美しさに溺れることなく、過度な演出も皆無だ。
第4楽章はきらびやかに華々しく、祝祭風の響き。寄せては返す大波を、ゴージャスなコンセルトヘボウ・サウンドで魅了する。
この録音について、ガーディアン誌のレビューもネットで見られるが、以下のとおり冷静なレビューを書いている。
「耽溺することはなく、たくさんの興奮が詰まっている」
ガーディアン誌のレビュー
まとめ
コンセルトヘボウ・サウンドで聴く、まろやかで極上のラフマニノフ。聴けば聴くほど魅了されていく。
オススメ度
指揮:マリス・ヤンソンス
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:2010年1月31日, コンセルトヘボウ(ライヴ)
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試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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