ベルリン芸術週間で話題となったアバド/ベルリンフィルのマーラー交響曲第9番(1999年)

マーラー交響曲第9番 クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1999年)

このアルバムの3つのポイント

マーラー交響曲第9番 クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1999年)
マーラー交響曲第9番 クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1999年)
  • アバド×ベルリンフィルのベルリン芸術週間のライヴ
  • ほとばしるアバドの情熱
  • 第4楽章の美しさとベルリンフィルの厚み

近代を代表する指揮者の一人、クラウディオ・アバド。マーラーを得意とし、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団シカゴ交響楽団、そしてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を振り分けてマーラーの交響曲全集を完成させましたが、1990年から首席指揮者を務めたベルリンフィルがよほど気に入ったのか、ウィーンフィル、シカゴ響と録音した曲を再録音しています。

またベルリンフィルのポストを退任した後も、客演として古巣に戻ってきて指揮した2004年6月の交響曲第6番「悲劇的」のライヴ録音は英国グラモフォン賞を受賞する快挙。

また、晩年のアバドの活動の中心となったルツェルン祝祭管弦楽団ともマーラーの演奏をおこない、2003年から2010年のルツェルン音楽祭での映像によるマーラーの交響曲選集のライヴ録音があります。

アバドのマーラーの交響曲全集のCD BOXではベルリンフィル(第1番、第3番〜9番)とルツェルン祝祭管(第2番)の録音が含まれており、これがドイツ・グラモフォンにおけるアバドの最終的な結論のように思えます。シカゴ響とウィーンフィルの録音は個別に分売されています。

ただ、私はCDにこだわる必要はないと思っていて、映像で観られるルツェルン音楽祭のマーラー交響曲選集がアバドの境地だと思っています。

今回紹介するのは1999年9月のベルリン芸術週間で話題となった、ベルリン・フィルハーモニーでのマーラーの交響曲第9番のライヴ。この20年前の1979年のベルリン芸術週間では、レナード・バーンスタインが最初で最後のベルリンフィルの指揮をおこない、一期一会とも言うべきマーラーの交響曲第9番を演奏し、その録音はこちらで紹介してしました。

このアバドとベルリンフィルの演奏もなかなか情熱的です。アバドとベルリンフィルは1999年の5月にライプツィヒ、ハンブルクで、そして8月にザルツブルク、ルツェルンで、さらに9月にベルリン、10月にニューヨーク、そして2000年5月にブエノスアイレス、サンパウロとこの第9番を演奏したようですが、アバドが首席指揮者に就いて9年が経ちアバド時代の集大成を迎えていました。

第1楽章は穏やかな曲想から徐々にアバドの熱さがこみ上げてきます。ベルリンフィルにしては演奏がちょっと怪しい箇所もあるのですが、いかにもライヴらしいです。少し音が曇ったり、割れたりするところもあるので、音質はイマイチ感はありますが。

第2楽章はファゴットの落ち着いた演奏から、ゆっくりと溜めを効かせながら弦がシンコペーションで入っていくのが印象的です。多彩な楽器が同じリズムを刻んでいくのがよく分かります。

第3楽章のロンド・ブルレスケは冷静に始まりますが、アバドらしくどんどん熱を帯びてヒートアップしていきます。クライマックスはテンポが一気に加速し、カオスのまま突っ切っていきますが、音質がもっと良ければより臨場感が出たのになぁと。

そして第4楽章。ここは一番の聴きどころですね。永遠に続くような、天上の世界にいるような美しさが何とも美しいです。ただ美しいだけでなく、しっかりと厚みを持たせたハーモニーがベルリンフィルらしいです。

ベルリン芸術週間で話題になったのも頷ける、アバドとベルリンフィルのマーラー第9番のライヴ録音。音質がもっと良ければきっと名盤になっていただろうに、と思える一枚です。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:クラウディオ・アバド
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1999年9月6-7日, ベルリン・フィルハーモニー(ライヴ)

iTunesおよびドイツ・グラモフォン公式ページから試聴可能。

特に無し。

「ベルリン芸術週間で話題となったアバド/ベルリンフィルのマーラー交響曲第9番(1999年)」への1件のフィードバック

  1. 年末になると何となく聴きたくなる曲として、マーラーの第9も自分の中では定番化してきました。まさに師走であわただしい中ですが、この曲を聴くと心が浄化されます。こちらのライブ録音の最終トラックに拍手と歓声が収められていましたが、その場にいたとしたら自分もブラボーと叫んでいたことでしょう。録音は少しだけ靄がかかった感と、ダイナミックレンジが狭めに感じることもありましたが、最終楽章ではそんなことは忘れて曲の世界に浸りきってしまいました。また、第2楽章の最初の弦の入りの溜めのフックには、まんまと引っかかってしまい、そのあと第2楽章を通じて新しい発見が多い展開で楽しめました。

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