ボストンに出張があったので、恒例であるボストン・シンフォニーに行ってきました。

1月はベートーヴェンの交響曲9つを作品順に演奏するというベートーヴェン・チクルスをおこなっているボストン交響楽団と音楽監督のアンドリス・ネルソンス

【ボストン交響楽団】Boston Symphony Orchestra and Andris Nelsons Present Beethoven & Romanticism in January 2025

2024年11月7日のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演@ミューザ川崎 (感想記事)、2023年11月22日のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の来日公演@サントリーホール (記事)、ただ前回ボストンに行った2023年1月ではネルソンスがウィーンフィルに客演していた週だったのでカリーナ・カネラキスの指揮でボストン響を聴いてきました (記事)。ネルソンスとボストン響を生で聴くのはコロナ前の2020年1月の公演以来 (FC2ブログの記事)です。

今回は1月21日(火)の交響曲第6番「田園」と第7番の演奏会に行ってきました。

昼間でも最高気温がマイナス5℃の日もあるボストン。現地の人によると6年ぶりの寒さらしく、最低気温はマイナス15℃になることも。外に出ると耳が痛くなるほどの冷気の中、「BSO」の赤い照明が輝くシンフォニー・ホール。

日本だと平日だと演奏会の開演が19時からのところが多いですが、このコンサートは19時半から。ちょっと遅めの始まりです。

この日のプログラムは、

  • ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調 Op.68 『田園』
  • (休憩)
  • ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調 Op.92

で、1月18日の公演と同じ曲目。

オーケストラの配置はアメリカ式で指揮者から見て左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、そして右にチェロ、その奥にコントラバスが並びます。ネルソンスは2023年のゲヴァントハウス管の来日公演、2024年のウィーンフィル来日公演でも対向配置を取っていましたが、ボストンでは米国流。

ウィーンフィルとの交響曲全集を完成させているネルソンスですが、この日も解釈はオーソドックス。『田園』では田園にいるときの様々な感情や見えた情景を丁寧に描いていきます。機動性の高いボストン響ですがドイツのオケのポストも兼任しているネルソンスなので、ボストン響でもチェロとコントラバスの低音をよく響かせてシンフォニックな響きがしました。

ネルソンスらしさが現れたのは第4楽章から第5楽章。ティンパニが連打して雨が打ち付けるような荒れ狂さを出した後にアタッカで続く第5楽章では太陽の光が差し込むようで神々しさすら感じました。明けない夜はないように、冬の後は春が来るように、厳しい辛さがあってもいつか晴れるときが来る、そんなメッセージを感じました。プログラム前半にも関わらずスタンディングオベーションをしている方々もいるのも頷けました。

そしてプログラム後半の交響曲第7番。ヴァーグナーが「舞踏の権化」と評したほど4楽章通じてリズムがあるこの曲ですが、ボストン響の機動力が抜群にうまいです。第4楽章が終わるやいなや、「ブラボー」「ワー」と聴衆が一気に立ち上がるほど。ボストン・シンフォニー・ホールには何度も来ているのですが、スタンディングオベーションの速さは今までで最速でした笑

私は隣の席の年配の女性に話しかけられて演奏会の前後に話し込んでいたのですが、定期会員だというこの方は今回のベートーヴェンの演奏会は全部聴きに来ているけど、「今回は素晴らしいものを聴けたわね」と満足そうに語っていました。

音楽監督として12年目を迎えたネルソンス。多彩なレパートリーで特にショスタコーヴィチをボストンに紹介した功績は大きいのですが、今回ベートーヴェンで改めてネルソンスとボストン響のすごさを感じた一夜でした。

指揮:アンドリス・ネルソンス
ボストン交響楽団
演奏:2025年1月21日, ボストン・シンフォニー・ホール

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