ドイツ出身の名ピアニスト、ヴィルヘルム・バックハウス (1884-1969年)。「鍵盤の獅子王」と称され、ベートーヴェン弾きとして知られました。

バックハウスはピアノ・ソナタ全集をデッカ・レーベルに2回録音していて、1回目が1950年〜54年のモノラル時代、2回目が1958年〜69年のステレオ録音。32あるピアノ・ソナタのうち、2回目はバックハウスの逝去のため第29番『ハンマークラヴィーア』だけが収録されず31曲の未完。

私もベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴こうとだいぶ前にバックハウスの2回目の全集の四大ソナタのアルバムを買って聴いてみたのですが、1958年の録音とあって、曇った音質が気になってあまり真価を理解できなかったのが正直な感想。

それが、先ほど久しぶりにApple Music でバックハウスのピアノ・ソナタ集を聴いてみると、今までのイメージと全く違うので驚きました。低音がダイナミックに響き、クリスタルのような高音までピアノの音色が鮮やかになっています。

クレジットを見ると2020年にリリースされています。CD としても新たにリマスタリングされたSACD が2019年にリリースされていますね。こちらのCD ではハンマークラヴィーアは1回目のモノラル版を含めて「全集」にしていますが、Apple Music では29番は含まれていません。

評価が高いのは知りつつ、音質のために積極的に聴いてこなかったバックハウスのベートーヴェン。新リマスター版でようやく魅力に気付けました。

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