このアルバムの3つのポイント
- ヴァント、晩年のミュンヘンでのライヴ
- ブルックナーを得意とするミュンヘンフィル
- 慈愛に満ちた調べ
ブルックナーを語る上で欠かせないミュンヘンフィル
ブルックナーを語る上で欠かせないオーケストラの一つがドイツ・ミュンヘンのミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。ブルックナーの弟子だったフェルディナント・レーヴェが首席指揮者を務めた他、1979年から96年はセルジュ・チェリビダッケが首席指揮者の座に就き、録音嫌いだったため生前のレコーディングは少ないですが、ブルックナーの交響曲第8番については、104分の長大なストーリーを描いた1993年9月のガスタイクでのライヴ録音を紹介しました。さらにヴァレリー・ゲルギエフはミュンヘン初のブルックナーの交響曲全集を2017年から19年にかけてブルックナーが眠る聖フローリアン修道院でライヴ録音しました。
今回紹介するのはチェリビダッケ亡き後のミュンヘンに客演したヴァントの2000年9月15日のライヴ録音です。
澄み切った音色とまろやかさ
ヴァントのブル8については2000年4月~5月の北ドイツ放送交響楽団とのムジークハレ・ライヴ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との2001年1月のライヴ録音を紹介しました。今回紹介するのはオーケストラがミュンヘンフィルになったことで、澄み切った美しい音色が特徴です。金管もうるさすぎず、程よい華やかさがあります。ヴァントの晩年のタクトで慈愛に満ちた音楽になっています。
惜しまれるのはトラック2の9分57秒、トリオの終わりあたり(ハース版の第2楽章80小節目)で、トランペットがミスってしまうのですが、フォルテッシモ(ff)の箇所なので強烈に印象に残ってしまいます。第3楽章のアダージョはそれを忘れさせるような素晴らしい出来ですが、165小節目のフォルテッシモ(ff)でも15分16秒でホルンの音色がちょっと怪しくなってしまいます。これもライヴならではでしょう。
フィナーレは雄大に描いていて、これぞヴァントのブルックナー。685小節のRuhig (静かに、穏やかに)からテンポをゆっくりにしていよいよクライマックスを描いていくのですが、トラックの25分22秒あたり、725小節のフォルテフォルテッシモ(fff)でもトランペットが滑ってしまうので、ちょっと目立ちます。
まとめ
ヴァントが晩年にミュンヘンへ客演したときのブルックナーの8番。北ドイツ放送響、ベルリンフィルとのオーケストラの違いを楽しめます。
オススメ度
指揮:ギュンター・ヴァント
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2000年9月15日, フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
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試聴
特に無し。
受賞
特に無し。
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