10年間のクリスマス・マチネでのライヴ録音 マーラー交響曲選集 ハイティンク/コンセルトヘボウ管(1977-87年)

マーラー交響曲選集 ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1977-1987年)

このアルバムの3つのポイント

マーラー交響曲選集 ハイティンク/コンセルトヘボウ管(1977-1987年)
マーラー交響曲選集 ハイティンク/コンセルトヘボウ管(1977-1987年)
  • 10年間にわたるクリスマス・マチネコンサートでのライヴ録音
  • ライヴならではのハイティンクらしからぬ「気迫」溢れる演奏
  • コンセルトヘボウ管の整ったハーモニーと滑らかなサウンド

2016年7月6日にタワーレコードより発売された、ハイティンクとコンセルトヘボウ管のクリスマス・マチネのマーラー録音集(型番PROC-1952)。これまでオランダローカルでのみ発売されていた幻の録音が、タワーレコードの限定販売で日本でも日の目をあびることになった。ハイティンクのマーラー録音は数多いが、ここでは第6番と第8番、大地の歌を除く7つの交響曲と、さすらう若人の歌と子供の不思議な角笛が収録されている。特に第9番は1987年12月25日の演奏で、ハイティンクが首席指揮者として最後のマチネ・コンサートだったもの。コンセルトヘボウ管への別れを告げるためにこの作品を選んだとのことだが、同時期のベルリンフィルとの交響曲選集の録音では含まれなかった第9番の演奏は貴重だ。

第1番はこのアルバムでも最も古い1977年12月25日のライヴ。ハイティンクとコンセルトヘボウ管の「巨人」は全集に収録されている1962年の録音もあり、そちらはまだ30代の若きハイティンクの瑞々しさと、地面が轟くような迫力が素晴らしかったが、この1977年のライヴ録音も似たような印象を受ける。音質が若干イマイチな感じがするが、ズンと響くシンバル・ティンパニーの大スケールが感じ取れる。

第2番は1984年12月25日のライヴ。コンセルトヘボウ管ならではの滑らかなハーモニーも絶妙だが、ライヴならではの気迫が良い。

第3番は1983年12月25日のライヴ。これまでに聴いたハイティンクのマーラー第3番の中でも最も良い出来に思える。ライヴならではの気迫もあるし、少し速めのテンポで最後まで進み、音楽に淀みがない。また、1990年のベルリンフィルとのスタジオ録音も以前のブログで紹介しているが、その時は大幅に遅くしたテンポ設定で、個々の奏者の演奏が前面に出てくる感じがしたものだったが、この1983年のクリスマスマチネ盤は、そういったやりすぎ感が少なく、コンセルトヘボウ管の一団に整ったハーモニーがクセがなくて聴きやすい。またハイティンクらしからぬ情熱も感じられ、なかなか良い。この交響曲集の中でも一押しの一曲。

第4番は1982年12月25日のライヴ。第4番はハイティンクも多く取り上げられている作品で、録音も数多い。彼の十八番と言えるだろう。バランスの取れたハーモニーが良い。スタジオ録音の時とは違うスリリングさもあり、聴き比べると色々な違いがあって面白い。若干音質がイマイチなのが残念なところ。

第5番は1986年12月25日のライヴ。ライヴ演奏で高い集中力を保っている。ライヴでも冷静なハイティンクにしては「熱い」演奏で、コンセルトヘボウ管のビロードのような金管でも、この曲では破裂寸前の爆発するようなフォルテを聴くことができる。第5番についてはかなりの名演だろう。音質はやや劣るが、スケール感も文句なしである。

第7番は1985年12月25日のライヴ。第1楽章はテンポを少し揺らしつつ、激しさとアドリブさが出ている。音質はあまり良くないのが残念。。

これまで聴いたハイティンクの演奏と比べて違いがあって面白い。第4楽章だけ比べても、新旧のハイティンクの録音と演奏時間を比較してみると、

1969年(コンセルトヘボウ管) 24’42
1987年(コンセルトヘボウ管=本録音) 28’15
1993年(ECユース管) 26’08
1999年(ロンドンフィル) 22’56
2011年(バイエルン放送響) 23’10

ダントツにテンポが遅いことがわかる。1988年に主席指揮者を退くハイティンクが最後のマチネ・ライヴで演奏したマーラー第9番はこれまでの歴史を噛みしめるかのようにゆったりとしている。静寂の美が何とも言えず絶妙。

ライヴ録音であるため、全曲を通じて音質はややイマイチではあるが、この時期(1970年代〜80年代)のハイティンクにしては珍しいライヴ録音でありスタジオ録音とは違う気迫が実に良い。

オススメ度

評価 :4/5。

ソプラノ:ロベルタ・アレクサンダー(第2番)
ソプラノ:マリア・ユーイング(第4番)
アルト:ヤルド・ヴァン・ネス(第2番)
アルト:キャロリン・ワトキンソン(第3番)
バリトン:ベンジャミン・ラクソン(さすらう若人の歌)
バリトン:トム・クラウゼ(不思議な子供の角笛)
オランダ放送合唱団(第2番)
オランダ放送女声合唱団(第3番)
ノールト・ホラント少年合唱団(第3番)
指揮:ベルナルト・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1977年12月25日(第1番), 1978年12月25日(さすらう若人の歌), 1981年12月25日(子供の不思議な角笛),
1982年12月25日(第4番), 1983年12月25日(第3番), 1984年12月25日(第2番), 1985年12月25日(第7番), 1986年12月25日(第5番), 1987年12月25日(第9番), コンセルトヘボウ(ライヴ)

【タワレコ】マーラー: 交響曲集~クリスマス・マチネ・ライヴ(第1番-第5番, 第7番, 第9番), 他<タワーレコード限定>

特に無し。

特に無し。

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