
ミケランジェリの名盤が2025年にリマスター
今日紹介するのは、イタリア出身の名ピアニスト、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの新しいアルバム。ミケランジェリといえば鬼才で、完璧主義で録音嫌い。限られたレパートリーで唯一無二の演奏を聴かせてくれました。師匠としてもあのマルタ・アルゲリッチ、マウリツィオ・ポリーニを教えたことでも有名ですね。気に入らないことがあるとコンサートや録音を中止することもあったキャンセル魔だった彼が遺したレコーディングはそれだけでも貴重ですが、ショパンの作品をまとまて録音したアルバムがあります。
それが1971年にミュンヘンでセッション録音された「ショパン・リサイタル」。タワーレコードの企画盤で英国のオリジナルテープからリマスターされ音質が改善したものが2025年9月にリリースされました。
曲目は全てショパンの作品で、以下のとおりです。
- マズルカ第43番 ト短調 作品67の2
- マズルカ第34番 ハ長調 作品56の2
- マズルカ第45番 イ短調 作品67の4
- マズルカ第47番 イ短調 op.68の2
- マズルカ第46番 ハ長調 作品68の1
- マズルカ第22番 嬰ト短調 作品33の1
- マズルカ第20番 変ニ長調 作品30の3
- マズルカ第19番 ロ短調 作品30の2
- マズルカ第25番 ロ短調 作品33の4
- マズルカ第49番 ヘ短調 作品68の4
- 前奏曲第25番 嬰ハ短調 作品45
- バラード第1番 ト短調 作品23
- スケルツォ第2番 変ロ短調 作品31
サロンで聴くかのような心に響くショパン
ここで聴けるミケランジェリのピアノはサロンで目の前で演奏しているかのように親近感があって心に響きます。10曲のマズルカは人の内面を映す鏡のようで、ピアノという楽器がこれほどまでに心の琴線に触れることにただただ驚かされるばかりです。マスターテープからリマスターされたことで、ミケランジェリの繊細なタッチと澄み切った音色が鮮やかに蘇っています。ミケランジェリといえばドビュッシーの前奏曲や映像の録音が最高と言われますが、ショパンも録音は少ないもの唯一無二の良さがありますね。
極端なテンポ・ルバートは皆無で、自然と湧き出るような音楽の流れがミケランジェリの魅力。続く前奏曲第25番でも冒頭で溜めを効かせる演奏もありますが、ミケランジェリはサラサラと流れていきます。まるで心の全てを吐露するかのような、深い深い解釈です。
バラード第1番はミケランジェリのオハコとする作品。4つのバラードの中で勇敢なこの曲を、ミケランジェリは優しいタッチで語り始め、クリスタルのような澄み切った音色で奏でていきます。完璧主義で打鍵もペダリングもこれ以外考えられないほどの解釈。そしてショパンが楽譜に込めた内声部も、ミケランジェリの手によって穏やかに引き出されていきます。名演の多いこのバラードですが、ミケランジェリの演奏は絶品です。
そして最後のスケルツォ第2番。こちらもミケランジェリが得意とする曲ですが、リマスターによってさらに磨きが掛かった気がします。50年以上前の録音とは思えないほどの明瞭さで迫ってきます。冒頭の動機は圧倒されますが、その後の主題は少しテンポを落としてベルカントで聴かせてくれます。しっかりと内声部も出てこの曲の奥深さも。そして中間部ではマズルカのように内省的。人生とは何かを色々と考えてしまいます。そしてコーダからはすごすぎて息も付きません。
ミケランジェリのショパンが鮮やかに蘇った、大満足の最新リマスターでした。
オススメ度
ピアノ:アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ
録音:1971年10月, 11月, ミュンヘン
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試聴
Apple Music で試聴可能。
受賞
特に無し。







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