ショパン ピアノ・ソナタ第2番、第3番他 ラファウ・ブレハッチ (2021年)

今年1月末に来日公演をおこなうポーランド出身のピアニスト、ラファウ・ブレハッチ。私も彼がショパンコンクール(2005)で優勝した翌年からリサイタルに行っているので長く追いかけているピアニストの一人なのですが、今年や家庭の事情で1月以降は2月前半までコンサートに行けないのでブレハッチのリサイタルにも行けないのです。あと2週間後だったら確実に行けたのですが、こればかりは仕方ないです。

ということで、今回はまだ紹介していなかったブレハッチのアルバムについて書いて、リサイタルに行った気持ちになってみようと思います。※こちらの2023年のリサイタルのときに少し紹介してますが…

ショパンのピアノソナタを中心としたアルバム

収録されているのは、ショパンのピアノ・ソナタ第2番『葬送』、夜想曲Op.48-2、ピアノ・ソナタ第3番、舟歌の4作品。2021年9月から10月にベルリン、テルデックス・スタジオでのセッション録音です。リサイタルでも披露してきたショパンの名作を、満を持して録音してくれました。

日本語盤だと高音質のUHQCD x MQA-CD のフォーマットで、さらにAmazon で2023年の発売時の初回限定のものを買ったのでフォトパネルも付いていました。

ラファウ・ブレハッチのショパンのピアノソナタの新譜CD
ラファウ・ブレハッチのショパンのピアノソナタの新譜CD

元々ブレハッチのピアノには情熱で突っ走るところはなかったですが、このアルバムで感じるのは深み・渋みを増していること。ピアノ・ソナタ第2番『葬送』は冒頭から広がる音響に驚かされます。音質がこんなに良いのですね。まるでリサイタルで目の前で弾いているように一音一音がくっきり聴こえます。

馬が駆け巡るギャロップのように軽快さもありつつしっかりとした足取りで進みます。ブレハッチのピアニズムに重厚感が増したなと感じます。色彩もよりビビッドになり、濁らない絶妙なペダリング。第1楽章のフィナーレですごすぎてふぅと息を吐いてしまいました。第2楽章スケルツォではゆったりとした間合いがあり、テンポを上げて煽ることはせずに正確なリズムで進みます。驚くのはトリオ。ブレハッチは大胆に、スケルツォからの雰囲気をガラッと変えてきます。まるで星空が見守ってくれているかのような温かさ。夜想曲とのつながりも感じます。そしてスケルツォに戻り、再び大きな渦を生み出していきます。第3楽章の葬送行進曲は味わい深くて心打たれます。第4楽章のフィナーレは打鍵をはっきりと粒を立てて激流を作っていきます。

続くノクターンOp.48-2は深みを増したブレハッチのピアノにただただ聴き入ってしまいます。

そして流れを断つかのような毅然とした打鍵で始まるピアノ・ソナタ第3番。よりまろやかさとカラフルさを増していますね。以前リサイタルで聴いたときよりも確実に深化しています。「ショパンらしい」演奏をするのがブレハッチのショパンでしたが、これを聴くと完璧と表現したくなります。演奏だけでなく音響の解像度が高いのも理由でしょう。第3楽章では内声部が共鳴し合うようで、最後の一音では長めのフェルマータ。そして第4楽章では一音一音をはっきりと立たせ、間合いもたっぷりと。黒い渦のようにどっしりとした大伽藍で聴く者を呑み込んできます。

最後の舟歌。この曲とバラード第3番はリサイタルで聴いて「早くレコーディングして欲しい」と願っていたので夢が叶いました。柔らかい低音の後に星が煌めくかのように光を放ちます。そして舟を漕ぐリズムの上にベルカントの旋律が浮かびます。私も舟歌はショパンの中で一番好きな作品なので、このアルバムの最後を繊細さと大胆さのピアニズムが両立するブレハッチの演奏で聴けるのは感動を通り越して泣けてきます。

次の来日公演は必ず行こうと思いました。

オススメ度

評価 :5/5。

ピアノ:ラファウ・ブレハッチ
録音:2021年9月27日-10月1日, ベルリン・テルデックス・スタジオ

Apple Music で試聴可能。

ドイツ・グラモフォンの公式YouTube でピアノ・ソナタ第3番第2楽章の一部を閲覧可能。

特に無し。

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