
30年ぶりのマーラー・フェスティバル2025
今日紹介するのは、クラウス・マケラとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の新譜。11月の来日公演に合わせてリリースされたアルバムです。私は行けなかったのですが来日公演はすごかったらしいですね。
作曲家マーラーと縁が深いオランダ・アムステルダム。マーラーから「私の作品を安心して任せられるほど信用できる人間は他にいない」と言われた指揮者ウィレム・メンゲルベルクは24歳にしてコンセルトヘボウ管の2代目首席指揮者に就任。以来、メンゲルベルク、エドゥアルド・フォン・ベイヌム、ベルナルト・ハイティンク (最初はオイゲン・ヨッフムと2人体制)、リッカルド・シャイー、マリス・ヤンソンス、ダニエレ・ガッティと、歴代のコンセルトヘボウ管の首席指揮者もマーラーを得意としてきました。それに続くマケラも20代の若さでマーラーを振っています。
マーラーの生誕150周年を記念した2009年〜11年のコンセルトヘボウ管と9人の指揮者による11の交響曲全集 (こちらの記事で紹介) も素晴らしい出来でしたね。
アムステルダムのコンサートホール、コンセルトヘボウでは、メンゲルベルクがマーラーの死後、彼の作品を広めようと1920年5月6日から21日にかけて第1番〜9番と『嘆きの歌』、『大地の歌』、さらに3つの歌曲集という全ての管弦楽作品を演奏。これがマーラー・フェスティバルの始まりです。
その75年後の1995年に第2回マーラー・フェスティバルが開催され、コンセルトヘボウ管の他にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、そしてグスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団も加わってマーラーの作品を演奏しました。
3回目のフェスティバルは2020年予定でしたが新型コロナウィルスのために中止、それが2025年に実施することとなりました (公式アナウンス)。マケラ&コンセルトヘボウ管が交響曲第1番(5/9、10)、第8番(5/16、18)の2つの交響曲を担当し、イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団が第2番 (5/10, 11)、第5番(5/13の夕・夜公演)、ファビオ・ルイージ&NHK交響楽団が第3番(5/11)、第4番(5/12)、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン&シカゴ交響楽団が第6番(5/14)、第7番(5/15)、ベルリンフィルはキリル・ペトレンコ指揮で第9番(5/17)、サカリ・オラモ指揮で第10番 (5/18)を演奏するという贅沢な2週間。
マケラ&コンセルトヘボウ管が第8番をライヴ録音
そしてこのCD アルバムは、マケラ&コンセルトヘボウ管のマーラーフェスティバルでの交響曲第8番のライヴ録音。マケラ初のライヴ録音になります。
演奏会のカレンダーを見ると、5月16日、18日が実際の演奏会で、18日はマーラーの命日にも当たります。録音日に5月15日も含まれていますが、こちらはゲネプロでの収録も含まれているためです。
コンセルトヘボウ管の公式YouTube に演奏会の動画の抜粋が上がっていますが、チェロが右手前にいます。最近の名門オケは右手前に第2ヴァイオリンが来る対向配置が増えていますが、このオケの伝統的な標準配置ですね。

徹底した透明感
CD ブックレットに「リハーサルで私たちは徹底して透明度の追求に意を注ぎました。」と語っていたマケラですが、聴き始めると驚くほどの透明感ある響きです。オスロ・フィルハーモニー管弦楽団とのシベリウスの交響曲全集で北欧ならではの透明性を追求したサウンドでしたが、コンセルトヘボウ管との演奏でもそうした特徴が出ています。各楽器と独唱、コーラスの色を混ぜるのではなく、それぞれの色をアラベスクのように織り重ねていきます。
生き生きと
「マーラーの第8番を指揮したことは人生最大の瞬間の一つで、生涯忘れることはありません。あの2公演には特別な勢いが宿っていたと感じていますし、それはステージ上の私たちだけでなく、聴衆にも伝わったはずです」と語るマケラ。映像で観ると第1部で音楽をする喜びに溢れた楽しそうな表情です。

ゲーテの『ファウスト』を音楽化した第2部に入るとマケラは一転して内省的で偲ぶような音楽へと変化させていきます。弱音でも美しいコンセルトヘボウ管の響き。「神秘の合唱」で心を洗われ、聴き終わると生きる希望を取り戻す。そんなマーラーの音楽の力強さを感じます。
オススメ度
指揮:クラウス・マケラ
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ヘイリー・クラーク(ソプラノ1: いと罪深き女)
ゴルダ・シュルツ(ソプラノ2: 贖罪の女)
ミリアム・クトロヴァッツ(ソプラノ3: 栄光の聖母)
ジェニファー・ジョンストン(アルト1: サマリアの女)
オッカ・フォン・デア・ダメラウ(アルト2: エジプトのマリア)
ジョルジョ・ベッルージ(テノール: マリア崇拝の博士)
ミヒャエル・ナジ(バリトン: 法悦の教父)
タレク・ナズミ(バス:瞑想の教父)
オランダ放送合唱団(合唱指揮: ベンジャミン・グッドソン)
パリ管弦楽団合唱団(合唱指揮: リチャード・ウィルバーフォース)
ローレンス交響合唱団(合唱指揮: ヴィーハー・マンデメーカー)
オランダ国立児童合唱団&国立少年合唱団(合唱指揮: イレーネ・フェルブルフ)
録音:2025年5月15, 16日, 18日, コンセルトヘボウ (ライヴ)
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試聴
Apple Music で試聴可能。YouTube のコンセルトヘボウ管の公式チャンネルでGloria! Gloria!とハイライトを閲覧可能。
受賞
新譜のため未定。






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