早逝したハンガリー出身の指揮者、フリッチャイ
今日紹介するのは、ハンガリー出身の指揮者フェレンツ・フリッチャイ (1914-1963年)のアルバム。
白血病のため48歳で早逝したので、サー・ゲオルグ・ショルティ (1912-1997年)、セルジュ・チェリビダッケ (1912-1996年)、カルロ・マリア・ジュリーニ (1914-2005年)、ラファエル・クーベリック (1914-1996年)、レナード・バーンスタイン (1918-1990年) などの同年代の指揮者に比べると知名度が低いですが、ベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン・ドイツ・オペラ、バイエルン国立歌劇場の首席指揮者や音楽監督を歴任しています。
そのフリッチャイがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とベートーヴェンの交響曲第5番『運命』と第7番をセッション録音したアルバムが今回紹介するもの。

2019年にタワレコから最新リマスター
ドイツ・グラモフォン・レーベルの録音ですが、日本のタワーレコードが企画盤として2018年に最新リマスタリングしたものを2019年1月にSACD ハイブリッド盤でリリースしています。
私は元々買うつもりはなかったのですが、あと少し購入すれば送料無料になるので、いつか聴くだろうと思って買っておいたのがこのアルバム。
それが素敵な巡り合わせとなりました。
生きるということ
ベートーヴェンの交響曲第7番が1960年10月、そして第5番『運命』が1961年9月の録音ですが、その前の1958年秋から療養したフリッチャイは白血病と闘っていました。さらに1961年8月にはベルリンの壁ができるのですが、第5番はその直後の録音です。1961年12月のロンドン・フィルハーモニー管弦楽団に客演しベートーヴェンの交響曲第7番を指揮したのが最後の演奏会となり、1963年2月に亡くなります。
大きな病を経験すると、遺された人生で何をするのか考え直し音楽の解釈がより深くなります。このフリッチャイの第5番では、冒頭の運命の動機からながら「タラララー」ではなく、「タンタンタンターン」とマルカートで演奏し、p (弱音) ながら重たい同期を提示してくれます。そして第1楽章の繰り返しも守り (トラック1の1:52あたり)、この動機を再び提示してから展開していきます。ベートーヴェンの音符を一音たりとも粗末にせずに、最晩年のフリッチャイはこの曲に自分の残りの人生を捧げているように感じます。
第5番の第2楽章では気品があって濃厚。同い年のジュリーニが後にウィーンフィルとブラームスの交響曲で極限まで引き延ばして旋律を再構成していましたが、ここでのフリッチャイは音楽に自省も込めたようで、聴いていると励まされます。
交響曲第7番もゆったりとしたテンポで格式ある演奏。第2楽章は美しくも儚くて、生命の尊さを認識させてくれます。
驚くのは1960年代前半の録音なのに、音質が非常に良いこと。ベートーヴェンのこの2つの交響曲は名盤も多いですが、表面的な激しさや、圧倒的なスピードで聴かせる演奏とは一線を置き、生きることを考えさせてくれるフリッチャイとベルリンフィルの名演を今聴く意義は大きいのではないでしょうか。
オススメ度
指揮:フェレンツ・フリッチャイ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音プロデューサー:オットー・ゲルデス
バランスエンジニア:ギュンター・ヘルマンス, ヴェルナー・ヴォルフ
録音:1960年10月3-5日(第7番), 1961年9月25, 26日(第5番), ベルリン・イエス・キリスト教会
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試聴
受賞
特に無し。







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