クリスチャン・ツィメルマンの名盤5選 アイキャッチ画像

現代最高峰のピアニスト、クリスチャン・ツィメルマン

今日紹介するのは、現代最高峰のピアニスト、クリスチャン・ツィメルマン (Krystian Zimerman)。1956年ポーランド生まれで現在69歳。日本語での呼び方は、Wikipedia でもクリスティアン・ツィマーマンと書かれることもありますが、私はジャパン・アーツの表記に従っています。

親日家で日本に別荘を持ち、毎年のように公演に来てくれますが、今年は11月にサー・サイモン・ラトル指揮バイエルン放送交響楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏する予定です。

私もかれこれ20年以上ツィメルマンのリサイタルに聴きに行っているので、ソリストとしては一番多く聴いていることに。ちなみに指揮者では最多がアンドリス・ネルソンスです。

そんなツィメルマンはレコーディングに慎重なので、キャリアの長さに対してはアルバムがそこまで多くはないですが、その分録音がどれも素晴らしいもの。その中でも私が個人的にオススメするアルバム5つを紹介します。

アルバムを5つ選ぶなら

ツィメルマンのレパートリーはJ.S.バッハからレナード・バーンスタインのような現代曲まで幅広いですが、百科事典のように網羅するというよりは、深く納得の行くまで熟考するこだわるタイプ。ただ、ツィメルマンが一躍音楽界で名が知られたのは1975年のショパン国際コンクールで史上最年少の18歳で、ポーランド人としては26年ぶりの優勝が原点でしょう。

ショパン国際コンクールについて語るクリスチャン・ツィメルマン (c) NHK
ショパン国際コンクールについて語るクリスチャン・ツィメルマン (c) NHK

キャリアの初期から、そして今でもショパンはツィメルマンにとって大事なレパートリーとなっています。

それではアルバムを5つ、年代順に紹介します。

ショパン ピアノ協奏曲第1番、第2番 with ジュリーニ&LAPO (1978, 79年)

まずはイタリアの指揮者カルロ・マリア・ジュリーニ、アメリカのロサンゼルス・フィルハーモニックと協演したショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番のアルバム。

ショパンピアノ協奏曲全集 ツィメルマン/ジュリーニ/ロスフィル(1978-1979年)
ショパンピアノ協奏曲全集 ツィメルマン/ジュリーニ/ロスフィル(1978-1979年)

後にツィメルマンはショパンのアニバーサリー・イヤーのために結成したポーランド祝祭管弦楽団を弾き振りして協奏曲を2曲とも録音しますが、私はジュリーニとの旧録のほうが好きです。まだツィメルマン20代前半でショパンが協奏曲を書いた年に近く、繊細で甘く切ない青春が詰まっています。ツィメルマンが希望したベルカントの指揮者に応えるようにジュリーニ&ロスフィルの歌に満ちた伴奏も素晴らしいです。

こちらの記事で詳しく紹介しています。

ショパン バラード全集 (1987年)

そしてショパンで外せないのが、このバラード全集のアルバム。

クリスチャン・ツィメルマン ショパン バラード全集(1987年)
クリスチャン・ツィメルマン ショパン バラード全集(1987年)

テクニックと詩情が揃った完璧な演奏で、バラードの定盤アルバム。ツィメルマンの透明感ある打鍵で堪能できます。

こちらの記事で詳しく紹介しています。

ラヴェル ピアノ協奏曲第1番 with ブーレーズ&CO, LSO (1994, 96年)

そしてピアノ協奏曲ではフランツ出身の指揮者、ピエール・ブーレーズとの協演も外せません。バルトークのピアノ協奏曲第1番も定評ありますが、ここではラヴェルのピアノ協奏曲です。

ラヴェル ピアノ協奏曲集 クリスチャン・ツィメルマン/ピエール・ブーレーズ/クリーヴランド管弦楽団他(1994, 96年)
ラヴェル ピアノ協奏曲集 クリスチャン・ツィメルマン/ピエール・ブーレーズ/クリーヴランド管弦楽団他(1994, 96年)

ツィメルマンはドビュッシーやラヴェルも得意としていますが、鮮やかな色彩と音色の重なりが織り成すとんでもない世界を描いてくれます。このアルバムはブーレーズと協演したもので、協奏曲ト長調はクリーヴランド管弦楽団、左手のための協奏曲はロンドン交響楽団との演奏です。

こちらの記事で詳しく紹介しています。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 with ラトル&BPO (2003年)

ピアノ協奏曲の録音が多いツィメルマンですが、ラトルとは相性が良く、ベルリンフィルとはこのブラームスのピアノ協奏曲第1番(2003年)やバーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」(2018年)、そしてロンドン響とのベートーヴェン・ピアノ協奏曲全集 (2020年)をリリースしています。

中でもブラームスはラトル&ベルリンフィルのダイナミクスとツィメルマンの完全無欠のピアノが奇跡のコラボ。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 クリスチャン・ツィメルマン/サー・サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (2003年)
ブラームス ピアノ協奏曲第1番 クリスチャン・ツィメルマン/サー・サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (2003年)

シューベルトの後期ピアノ・ソナタ (2016年)

そしてソロ録音で比較的新し目のもので、2016年のシューベルトのピアノ・ソナタ第20番と21番が素晴らしいです。

柏崎での録音で、日本を、日本のホールを愛してくれているツィメルマンの想いが感じます。演奏も熟慮に熟慮を重ねた解釈です。

シューベルト ピアノ・ソナタ第19番、20番 クリスチャン・ツィメルマン(2016年)
シューベルト ピアノ・ソナタ第19番、20番 クリスチャン・ツィメルマン(2016年)

こちらの記事で詳しく紹介しています。

ただ、レコーディングはツィメルマンのほんの一部

ただ、こうして5つのアルバムを紹介したのですが、ツィメルマンにとってはレコーディングは活動のほんの一部に過ぎません。例えばベートーヴェンやショパンのピアノ・ソナタやJ.S.バッハ、ラフマニノフのソロ曲などはまだ録音していませんが、私はリサイタルでショパンのピアノ・ソナタ第2番、第3番やベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番〜32番、そしてJ.S.バッハのパルティータ、ラフマニノフの前奏曲などを実際に耳にして「こんな完璧な演奏でも録音はしないんだな」とツィメルマンの録音への慎重さを感じています。

ツィメルマンを聴きたいと思ったら、ぜひ演奏会で聴いてください。本当にすごいです。

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