このアルバムの3つのポイント
- シャイー唯一のプロコフィエフの交響曲録音
- 10年ぶり、2回目の録音
- アヴァンギャルドな響き
まだまだ未開拓の余地あるプロコフィエフ
ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフ。バレエ音楽「ロメオとジュリエット」が有名で、特に「モンタギュー家とキャピュレット家」は「のだめカンタービレ」でもよく使用されたのでご存じの方も多いと思います。あとはピアノ協奏曲も完成したのは5曲あり、第2番や第3番は難易度が高くヴィルトゥオーソ・ピアニストがよく演奏する作品です。
ただ、交響曲はどうでしょうか。番号付きで7曲、習作も1曲あるのですが、第1番「古典」は演奏頻度が多いとしても他の交響曲になると少ないのが否めません。中でも第7番はコンテンポラリーな感じもして雄大な大地を描いているようで、私は一番好きなのですが、もっと聴き比べたいところです。
第3番ハ短調Op.44はプロコフィエフの中では比較的演奏されている交響曲で、ヴァレリー・ゲルギエフなどのロシア出身の演奏家の他、今回紹介するリッカルド・シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団、ジャン・マルティノン/パリ国立管弦楽団、そして交響曲全集を完成させた小澤征爾/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などもあります。
ただ、最近になって充実してきたショスタコーヴィチに比べるとプロコフィエフはまだまだ開拓の余地があるなと感じます。
シャイーによる唯一のプロコフィエフの交響曲
今回紹介するシャイー指揮コンセルトヘボウ管の録音は1991年5月(3月1日説もあり)のもの。実はシャイーは1981年9月にユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニーとドイツ・グラモフォン・レーベルで録音していたので、10年ぶりの再録音になります。この新旧の演奏を含むCDが2010年にタワーレコード限定で販売されていたのですが、現在は廃盤になって入手困難に。私は2018年にリリースされたCD55枚組の「リッカルド・シャイー シンフォニー・エディション」で聴いています。
録音の多いシャイーですが、プロコフィエフの交響曲ではこの第3番だけが唯一の録音。こちらの記事で紹介した2017年のルツェルン祝祭管弦楽団とのストラヴィンスキーの「春の祭典」のライヴ録音を聴くと、近年ますます充実している指揮者なだけに、今後もプロコフィエフを演奏してくれるかな、と期待しています。
アヴァンギャルドな響き
さてシャイーとコンセルトヘボウ管によるこの演奏。出だしから非常にアヴァンギャルドです。フォルテッシモ(ff)から始まる序奏を、シャイーとコンセルトヘボウ管は非常に強烈に叩きつけるかのような音を出しています。メシアンのトゥランガリラ交響曲で名演をおこなったこのコンビらしく、モダンな響きでビビッドな色を出していきます。録音の質も良く、コンセルトヘボウ管のスケールの大きなサウンドも余すことなく伝わっています。
ただ、この曲はゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団の映像でのライヴ録音を聴くともっとストーリー性を感じるので、シャイーは大スケールのサウンドとアヴァンギャルドな響きで勝負したようにも聴こえます。
まとめ
シャイーが現時点で唯一録音しているプロコフィエフの交響曲第3番の再録音。アヴァンギャルドで現代的な響きです。
オススメ度
指揮:リッカルド・シャイー
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1991年5月, コンセルトヘボウ
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廃盤のため無し。
試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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