このアルバムの3つのポイント
- これはすごい!ブラームスの交響曲第4番の究極の名演!
- カルロス・クライバー渾身のブラームス!
- 雅なウィーンフィルがほとばしっている!
鬼才、カルロス・クライバー
鬼才の指揮者、カルロス・クライバーは録音嫌いで有名で、現役時代の名声に比べて残されたレコーディングはあまり多くありません。ただ、遺された録音はどれも逸品で、音楽評論家からの評価も高いです。
こちらの記事に紹介していますが、カルロス・クライバーのムック本が最近も出ていまして、日本の音楽評論家の間でもいまだに伝説の指揮者の扱いです。
1980年に録音されたブラームスの交響曲第4番
そんなカルロス・クライバーが1980年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して録音したのが、ブラームスの交響曲第4番ホ短調Op.98。名曲だけに名演が多いこの曲ですが、このクライバー盤は格別でしょう。私も音楽之友社の「不滅の名盤1000」でこの録音を知ったのですが、最初聴いたときは自分も尖っていたのでしょう、素直に受け入れられなくて、「ジュリーニとシカゴ響の録音のほうが良いな」とか「アバドとベルリンフィルのほうが情熱的だ」とか思ったものです。こちらのFC2ブログに感想を書いていたのですが、「これもうまい。名演だ。」と書きながらも評価は星4つにしていました。強がりだったなぁと思います。先ほど更新して星5つにしておきました。
あれから十数年が経って自分の感性も丸くなってきたのか、多様性をすっと受け入れられるようになってきました。そして久しぶりにこの録音を聴いてみたら、「あれ、前聴いたときと印象が違うな。これ、良いな」と思うように。
名盤なので、過去に何度も再発売されている録音ですので、これを読んでいる皆さんももうとっくに聴いているよ、という方も多いかもしれませんが、改めて紹介したいと思います。
ウィーンフィルらしい豊かな響きと、らしくない情熱
冒頭から哀愁を漂わせ、厭世感があります。ウィーンフィルだけに弦も木管も豊かな響きをしていて、フレーズごとにレガートに滑らかにつなげられています。驚くのは、第1楽章のクライマックスではウィーンフィルなのに情熱がほとばしっているんです。あの、雅なウィーンフィルが、ですよ。
第2楽章ではウィーンフィルらしい穏やかな響き、そして第3楽章でも明るくてハキハキとした演奏。楽章ごとの性格がはっきりと出ています。
そして第4楽章はとりわけ素晴らしいです。オーケストラが一つになって、クライバーのタクトにグイグイと引き込まれるように演奏していくのです。細かいトレモロも見事ですし、クライマックスでは重ね織りしたかのような彩りな色彩。最後もテンポで煽るようなことはせず、イン・テンポのまま突き進んでいくのも好感が持てます。いやぁ、すごい。
まとめ
カルロス・クライバーが遺した紛れもない名盤で、ブラームスの交響曲第4番の筆頭に挙がる演奏でしょう。
オススメ度
指揮:カルロス・クライバー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1980年3月, ウィーン楽友協会・大ホール
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【タワレコ】ブラームス:交響曲第4番(SHM-CD)試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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