精緻なアンサンブルでスッキリした秀演 ブラームス交響曲全集 ヤンソンス/バイエルン放送響(2006-2012年)

ブラームス交響曲全集 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2006-12年)

このアルバムの3つのポイント

ブラームス交響曲全集 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2006-12年)
ブラームス交響曲全集 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2006-12年)
  • 全てライヴ録音によるヤンソンスとバイエルン放送響の全集
  • 円熟味ある音楽と精緻なアンサンブル
  • 交響曲第2番は絶品

ドイツのミュンヘンを本拠地にする最高峰のオーケストラ、バイエルン放送交響楽団は当時首席指揮者を務めていたマリス・ヤンソンスと2006年から2012年に掛けて、ブラームスの交響曲全集をライヴで録音しました。

第1番、第2番、第4番がバイエルン放送響の本拠地であるミュンヘンのヘラクレス・ザール、そして第3番だけがウィーンの演奏旅行のときの録音で、ウィーン・ムジークフェラインの黄金のホール(ウィーン楽友協会の大ホール)での演奏です。

以前の記事で紹介したように2007年から2012年にベートーヴェンの交響曲全集もライヴで完成させたこのコンビが、同時期にブラームスも演奏したというわけですね。

このブラームスの交響曲全集は、バイエルン放送響の自主レーベルであるBR Klassikから品番#900140でリリースされていますが、第2番と第3番のアルバム#900111と、第1番&第4番のアルバム#900112がカップリングされているだけで、別々にリリースされていたCDに簡単なカバーを付けただけで、ブックレットは2組のCDアルバムにそれぞれ入っているという、いささか手抜きな感じです。

それでは順に紹介していきます。

ブラームスの交響曲第1番はマリス・ヤンソンス得意の曲で、他にも2012年8月のザルツブルク音楽祭でのウィーンフィルとのコンサートでも演奏し、暗譜で指揮してまろやかな響きで魅了しました。このときは演奏会の前半から情熱的な指揮をしていたヤンソンスですが、ブラームスの1番でも第1楽章の冒頭のティンパニが強烈に鳴らしていました。

このバイエルン放送響との交響曲第1番は、2007年10月のヘラクレス・ザールでのライヴ録音で、ゆっくりとしたテンポで始まる第1楽章は、演奏時間が14分30秒。さすがに、ジュリーニ/ウィーンフィル(1991年)(FC2ブログの記事)の15分49秒ほど遅くはないですが、私が最近聴いた中ではかなりゆっくりとしています。

バイエルン放送響の透き通った響きがよく表れていて、旋律はすっきりとしていて重々しくはありません。冒頭のティンパニも軽やかさすら感じます。ヤンソンスらしくハーモニーの重ね方は緻密ですね。第2楽章、第3楽章も透明感ある響きで整っていて、第4楽章も丁寧に音楽が作られ、聴いていて非常に心地良いです。

交響曲第2番は2006年3月のヘラクレス・ザールでのライヴ録音で、この全集の中でも特に名演だと感じました。

ヤンソンスが磨き上げたハーモニーの重ね方が素晴らしく、柔らかい響きで優雅な第1楽章から第3楽章に対して、第4楽章はキビキビとしていて非常に良い出来です。うるさ過ぎず、しずか過ぎず、聴いていて本当に心地が良いです。

第3番だけはウィーンのムジークフェライン(黄金ホール)で演奏されたもの。

優雅で豊かな響きが心地良いですね。第3楽章はたっぷりとしたテンポでじっくり歌われますし、第4楽章は熱さがほとばしるということはないのですが、ライヴながら一定のテンポで丁寧に演奏されています。

最後の嵐が去った後の穏やかで美しいフレーズが印象的でした。

交響曲第4番は最も後の2012年2月にヘラクレス・ザールで録音されたもの。すっきりとした音楽であるが、おそらく透明感がありすぎるせいか、ブラームスらしいパッションや熱さはやや足りない印象も受けます。

なお、マリス・ヤンソンスとバイエルン放送響は最後のコンサートになった2019年11月のニューヨーク、カーネギー・ホールでもプログラム後半にこのブラームスの交響曲第4番を演奏していて、こちらの記事で紹介しましたが、白鳥の歌となったこの演奏では極限まで旋律の線を細くして、儚い美しさが引き出されていました。

それと比較するとこちらの2012年の録音は健康的な美しい音色がします。

ブラームスの音楽に求める重厚感やパッションには物足りなさを感じるところもありますが、すっきりとした響きで心地良さがあるヤンソンスとバイエルン放送響の交響曲全集。

特に第2番は私も繰り返し聴いていますが、名演だと思います。

オススメ度

評価 :3/5。

指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団
録音:2007年10月30, 31日, ヘラクレス・ザール(第1番, ライヴ)
2006年3月16, 17日, ヘラクレス・ザール(第2番, ライヴ)
2010年1月16日, ウィーン楽友協会・大ホール(第3番, ライヴ)
2012年2月6-10日, ヘラクレス・ザール(第4番, ライヴ)

【タワレコ】ブラームス: 交響曲全集


iTunesで試聴可能。交響曲第1番&4番交響曲第2番&3番

特に無し。


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