このアルバムの3つのポイント
- ベルナルト・ハイティンクとコンセルトヘボウ管によるブルックナー交響曲第8番の再録音
- こだわりのハース版で85分を超える長大な演奏
- まろやかなコンセルトヘボウ・サウンド
ベルナルト・ハイティンクのブルックナーの交響曲第8番
ベルナルト・ハイティンクはブルックナーを得意とした指揮者で、交響曲第8番も5回録音しています。
そのうち、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とは3回録音していて、1960年(1969年という説もあり)、1981年、2005年に録音しています。
コンセルトヘボウ管と1978年に交響曲第7番、1981年に第9番も再録音しています。
こだわりのハース版
交響曲第8番は版をどれにするかで演奏家の意思が顕れますが、多くの演奏家は第2槁(1890年版)のノーヴァク版を使っていますが、ハイティンクは第2槁(1890年版)のハース版にこだわりました。ヘルベルト・フォン・カラヤンもハース版でしたね。
第3楽章に10小節分、第1槁から移植したフレーズがあるのが大きな特徴ですね。
より雄大に
ハイティンクはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(当時はアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)とブルックナーの交響曲全集を1960年から1972年に完成させていて、交響曲第8番はその最初の録音でした。1969年の録音という説もあります。
こちらの記事にレビューを書いていますが、まだハイティンクに染まっていない、エドゥアルト・ファン・ベイヌムやオイゲン・ヨッフムが活躍していたときのコンセルトヘボウ管の響きがして、かなりエッジが効いています。ハース版を使っているのに演奏時間は第1楽章が14分03秒、第2楽章が13分39秒、第3楽章が25分24秒、第4楽章が20分46秒で、トータルで何と74分。若かりしハイティンクの勢いを感じる、早目のテンポで押し切ったシンフォニックな演奏でした。
そして1981年5月のこの再録音は、コンセルトヘボウ管のサウンドもだいぶハイティンクらしさが出ています。まろやかながら、スケールが大きいです。
演奏時間は第1楽章が16分05秒、第2楽章が16分00秒、第3楽章が29分16秒、第4楽章が23分53秒。トータルで85分あります。旧録音より11分も長くなっています。全ての楽章の演奏時間が長くなっていて、より雄大になってきました。
ただ、第2楽章のスケルツォはゆっくりして、トリオはさらに遅くなってここら辺で聴いている身としては飽きが来てしまいます。そして第3楽章もじっくりと美しさが引き出されていくのですが、29分も聴くのはちょっと辛さがあります。
第4楽章は力づくでいかずに、まろやかな響きで始まります。バランス感覚に優れたハイティンクらしく、個々の楽器の交わり方がうまいですね。
切れ味鋭かった旧録音のほうが私は好みですが、この1981年盤のほうがよりハイティンクらしい演奏にはなっているでしょう。
まとめ
1981年のベルナルト・ハイティンクとコンセルトヘボウ管のブルックナーの交響曲第8番の再録音。旧録音よりも演奏時間が11分長くなり、より雄大になった反面、切れ味鋭い演奏は鳴りを潜め、長大すぎるという欠点も出てきました。ゆっくりな演奏が好みの方には合うかもしれません。
オススメ度
指揮:ベルナルト・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1981年5月25-26日, コンセルトヘボウ
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試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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