このアルバムの3つのポイント

チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1976年)
チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1976年)
  • ヘルベルト・フォン・カラヤン6度目の「悲愴」の録音
  • 壮年期のカラヤンとベルリンフィルの究極の演奏
  • 目を閉じて研ぎ澄まされたカラヤンの聴覚

交響曲第6番「悲愴」は、チャイコフスキーの最後の作品となり、初演のわずか9日後にチャイコフスキーはコレラが原因で急死してしまいました。

「悲愴」という副題はチャイコフスキー自ら付けたもので、この後の悲劇を予知したかのような意味深さがあります。

20世紀を代表する指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤンはチャイコフスキーを得意としており、「悲愴」については正規の録音だけでも7回おこなっていて、カラヤン没後にリリースされたライヴ盤を合わせるともっとあります。

今回紹介するアルバムは、1976年にカラヤンがベルリンフィルと録音した「悲愴」で、カラヤンにとって6度目となります。カラヤンはチャイコフスキーの交響曲全集を完成させましたが、その中の1枚がこの6度目の録音でした。

ちなみに7度目は最晩年の1984年にウィーンフィルと録音しました。

1970年代はカラヤン&ベルリンフィルの黄金期でもあり、鍛え上げたアンサンブルと機動力が持ち味。

70年代のカラヤンは演奏会の本番でも目を閉じて指揮をしていました。このときの映像が色々なDVDでも見られるますし、ベルリンフィルの公式YouTubeでもカラヤンの動画が見られます。

例えば、1973年12月のベルリン・フィルハーモニーでの「悲愴」の演奏会の映像はこちらです。

クライマックスでも目を開けることはありません。ずっと目を閉じて音だけに集中しています。

弊害としては、ベルリンフィルのメンバーは演奏中ほとんど指揮者(カラヤン)のほうを見ていません。

例えば同時期のレナード・バーンスタインの演奏映像を見ると、オーケストラのメンバーとアイコンタクトを取って時折笑顔を見せることもありましたが、この時代のカラヤンは目を閉じているのでメンバーとのコミュニケーションはありません。ベルリンフィルがカラヤンの「楽器」とも言われた理由はそこにあると思います。

1976年5月の「悲愴」の録音でも、目を閉じて指揮をしたと思われますが、聴いてみると驚きます。

縦のラインが揃っていて、アンサンブルが完璧なのです。シンフォニックでどのフレーズをとってもこだわりを感じます。

晩年のウィーンフィルとのゆったりとした演奏も人気がありますが、このベルリンフィルとの1976年盤はカラヤンが導き出した究極の答えがあるような気がします。

ヘルベルト・フォン・カラヤンの6度目の「悲愴」にして、ベルリンフィルとの聴覚を研ぎ澄ました究極の演奏。カラヤンが遺した録音の中で私が最も好きなアルバムの1枚です。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1976年5月, ベルリン・フィルハーモニー

iTunesで試聴可能。

特に無し。

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