- サイモン・ラトル初のベルリンフィルヨーロッパコンサート
- アテネの野外音楽堂での開放感あるライヴ
- バレンボイムのどっしりとしたピアノとラトルの躍動感ある指揮
え、こんなところでライヴ?
ベルリンフィルの5月の風物詩、ヨーロッパコンサート。2004年はギリシャのアテネで行われ、会場に選ばれたのはヘロディス・アッティコス音楽堂。西暦161年にギリシア人の貴族のヘロディス・アッティコスが、妻を偲んで建設した施設との説明がWikiにあるが、たいそう歴史のある音楽堂である。屋外の音楽堂で、まるでコロッセオかと思った。
気鋭のサー・サイモン・ラトル×ベテランのダニエル・バレンボイム
このときサー・サイモン・ラトルが初のヨーロッパコンサートデビュー。2002年からベルリンの首席指揮者を務めていたラトルだが、ヨーロッパコンサートは2002年クラウディオ・アバド(イタリア、パレルモ)、2003年がピエール・ブーレーズ(ポルトガル、リスボン)であった。満を持してという感じだろうが、ここでのラトルは映像を見る限りとても嬉しそうだ。
プログラムは前半がブラームスのピアノ協奏曲第1番で、ピアノ独奏はダニエル・バレンボイム。後半はブラームスのピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルクによる管弦楽曲版)である。
ピアノ協奏曲第1番は、ラトルとバレンボイムでどうも合っていない。ラトルの勢いのあるダイナミックな指揮でベルリンフィルからすさまじい機動力を引き出していて、さすが首席指揮者の初ヨーロッパコンサートということで気合が入っている感じがする。ただ、バレンボイムのピアノは骨太でテンポもすこしもっさりとしている。アクロバティックなラトル/ベルリンフィルのコンビに付いていけないのか付いていかないのかは分からないが、協奏というよりも異色なものが混じっている感じだ。バレンボイムの表情はさすがベテランというべきで、ものすごく余裕を感じる。指揮者やヴァイオリン奏者とアイコンタクトすることもあり、自らも指揮者として活動しているからか全体を見通しているような姿勢だ。
第3楽章のフィナーレでは録音のせいなのか、キーが1つ下がっている。最大の盛り上がりのところでシューンとトーンダウンするような感じで、これは何なんだろう。
屋外音楽堂ならではの
そして屋外音楽堂ならではとして、このコンサートには鳥の鳴き声が入ることがある。特に緩徐楽章でオーケストラが静かなところでチュンチュンと。また、名札をしている会場運営のスタッフの方が、演奏中は堂々と聴いているところも海外らしい。
後半はブラームスのピアノ四重奏曲第1番の管弦楽曲版
プログラム後半は同じくブラームスのピアノ四重奏曲第1番。アルノルト・シェーンベルクが管弦楽曲として編曲したもので、ここでもラトルはほとばしる情熱で緩急を自在に操って熱演を聴かせる。
まとめ
「こんなところで演奏するの!?」という驚きと、サイモン・ラトルのすさまじさが感じられるコンサートであった。ただ、バレンボイムとの協奏曲は「うーん」と考えさせる出来。
オススメ度
ピアノ:ダニエル・バレンボイム
指揮:サー・サイモン・ラトル
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2004年5月1日, ヘロディス・アッティコス音楽堂(ライヴ)
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【タワレコ】Europakonzert 2004 from Athens試聴
EuroArtsの公式YouTubeサイトで試聴可能。
受賞
特に無し。
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