このアルバムの3つのポイント

R.シュトラウス『アルプス交響曲』・『死と変容』 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2014年&2016年)
R.シュトラウス『アルプス交響曲』・『死と変容』 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2014年&2016年)
  • マリス・ヤンソンスが得意としたR.シュトラウス
  • 2014年と2016年のバイエルン放送響とのライヴ録音
  • 極上の官能美とまろやかさ

指揮者マリス・ヤンソンスは幅広いレパートリーを持っていましたが、中でも後期ロマン派の作品は本当に素晴らしい演奏が多いです。その中から敢えてヤンソンスが得意とした作曲家を2つ挙げるとしたら、私はショスタコーヴィチとR.シュトラウスだと考えています。もちろん、シューベルトもブルックナーもマーラーもバルトークも素晴らしいですが、ショスタコーヴィチとR.シュトラウスは抜群にうまかったと思います。

そして、そのR.シュトラウスの『アルプス交響曲』Op.64と『死と変容』Op.24の2作品をカップリングしたアルバムが、2016年12月にリリースされています。バイエルン放送響の自主レーベルのBR Klassikの#900148です。アルプス交響曲は2016年10月のガスタイクでのライヴ録音、そして死と変容は2014年2月のヘラクレス・ザールでのライヴ録音です。

ヤンソンスは2016年10月20日と21日にマーラーの交響曲第9番をライヴ録音しており、そちらもとても素晴らしい演奏でした。マーラーの交響曲第9番の名演は数多いですが、私はこのヤンソンス/バイエルン放送響盤をよく聴いています。その演奏の1週前におこなわれたのが、『アルプス交響曲』だったんですね。ちなみに、マリス・ヤンソンスのラスト・コンサートのCDに付属されていたヤンソンス&バイエルン放送響の公演情報のブックレットによると、2016年10月13日、14日、15日の演奏会では前半がベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番Op.15をルドルフ・ブッフビンダーのピアノ独奏で演奏し、後半がアルプス交響曲でした。ベートーヴェンのピアノ協奏曲についてはCD化はされていません。

また、『死と変容』の演奏会は2014年2月27日と28日におこなわれています。CDでは2月24日なども含まれていますが、演奏会は27・28日の両日だけです。こちらはオール・R.シュトラウス・プログラムで、『ドン・ファン』、『死と変容』、楽劇『ばらの騎士』によるコンサート用ワルツOp.59を演奏しています。『ドン・ファン』は#900127でリリースされていますが、『ばらの騎士』は未公開です。

2曲とも、極上とも言える官能美とまろやかなハーモニーが素晴らしいです。『アルプス交響曲』では、第1曲『夜』で暗闇の静寂の中でもぞもぞと何かがと動くような気配を感じますが、続く『日の出』では一気に明るくなってキラっと太陽の光が差し込んできたようです。バイエルン放送響の緻密なアンサンブルも見事ですが、ヤンソンスが指揮することによってよりオーケストラの高みに登っているかのようです。

『アルプス交響曲』が太陽だったら、『死と変容』は月のように目立たない作品ですが、この渋い音楽もヤンソンスとバイエルン放送響は素晴らしいアンサンブル、まろやかさで演奏しています。

R.シュトラウスの傑作2作品を、マリス・ヤンソンスとバイエルン放送響の極上の官能美とまろやかさで聴ける贅沢。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団
録音:2014年2月24-28日, ヘラクレス・ザール(死と変容, ライヴ)、
2016年10月13-15日, フィルハーモニー・ガスタイク(アルプス交響曲, ライヴ)

iTunesで試聴可能。

バイエルン放送響の公式YouTubeチャネルでアルプス交響曲の演奏を視聴可能。

特に無し。

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