このアルバムの3つのポイント

シューマン 「子供の情景」・「クライスレリアーナ」 マルタ・アルゲリッチ(1983年)
シューマン 「子供の情景」・「クライスレリアーナ」 マルタ・アルゲリッチ(1983年)
  • アルゲリッチの「子供の情景」と「クライスレリアーナ」のアルバム
  • 鮮やかな色彩とほとばしる情熱
  • キーシンも「至高の名演奏」と絶賛

エフゲニー・キーシンは現代を代表するピアニストですが、彼の自伝で、マルタ・アルゲリッチの「クライスレリアーナ」について絶賛しています。

私見では、アルゲリッチが演奏するシューマンの「クライスレリアーナ」は、演奏芸術全体における至高の名演奏のひとつだと思う。

エフゲニー・キーシン, エフゲニー・キーシン自伝第3章「想いはめぐり」の「現代のピアニストたちとの関係」より

キーシン自体も最高峰のピアニストなのですが、その彼がここまで絶賛するアルゲリッチのクライスレリアーナ、聴いてみたくなりますよね。

キーシンがアルゲリッチのどの演奏を聴いたのかは分かりませんが、録音では、アルゲリッチの「クライスレリアーナ」はドイツ・グラモフォン1983年4月にミュンヘンで録音したものが唯一です。

今日はシューマンの「子供の情景」と「クライスレリアーナ」のアルバムを紹介したいと思います。

シューマンのピアノ曲は、大胆な音色の重なり方や詩情が特徴的。単なる演奏技術だけではなく、ロマン溢れる物語をどう語るかという表現力も要求される音楽です。

アルゲリッチの「クライスレリアーナ」は鮮明な色彩で大胆なタッチで描き、そして情熱がほとばしります。アルゲリッチは感性で演奏するピアニストだと思っていますが、その天才がこの「クライスレリアーナ」を見事に捉えています。

カップリングされている「子供の情景」は「クライスレリアーナ」の激しさと違って優しさがあります。まるでアルゲリッチが童心に帰ったかのように、純粋無垢に1曲1曲を弾き分けています。有名な「トロイメライ」ではたっぷりと余韻を持たせてしっとりと弾いているのですが、奔放なイメージのアルゲリッチがここまで詩情豊かに演奏するなんて驚きでした。

キーシンが絶賛した「クライスレリアーナ」を含むアルゲリッチによるシューマンのアルバム。聴くと確かにすごい演奏です。

オススメ度

評価 :5/5。

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
録音:1983年4月, ミュンヘン・バイエルン科学・人文学アカデミー会議ホール

iTunes及び上記のタワーレコードの商品ページから試聴可能。

特に無し。

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