シャイーとコンセルトヘボウ管の新時代、伸び伸びとしてきらびやかなシューマン交響曲全集(1988-91年)

シューマン交響曲全集 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1988-1991年)

このアルバムの3つのポイント

シューマン交響曲全集 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1988-1991年)
シューマン交響曲全集 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1988-1991年)
  • リッカルド・シャイー×コンセルトヘボウ管の新時代
  • フレッシュなシューマンの交響曲全集
  • 伸び伸びとして、きらびやかなサウンド

リッカルド・シャイーは、ベルナルト・ハイティンクの後任として1988年からオランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任しました。1953年生まれでまだ30代中盤という若さで世界トップクラスのオーケストラを任されるとはかなりの期待の表れだったでしょう。そして、この年から、シャイーはコンセルトヘボウ管とシューマンの交響曲全集のレコーディングを始めています。

シャイーのシューマンの交響曲と言えば、2006年から2007年にかけて当時、カペルマイスターを務めていたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との録音もありますよね。そちらでは珍しいマーラー編曲版のスコアを使っていました。私が初めてこの第4番の録音を聴いたとき、ゲヴァントハウス管の重厚感とシャイーが引き出す躍動感に大変驚いたものでした。それ以来、シャイーが指揮する演奏、録音には注目するようになりました。

ただ、マーラー編曲版よりもシューマンの原曲のほうが魅力的なので、シャイーが指揮した1回目のシューマンの交響曲全集では原曲で演奏されていたという情報を見てからいつか聴きたいと思うように。

リッカルド・シャイーとコンセルトヘボウ管弦楽団によるシューマンの交響曲全集は、1988年3月から1991年2月にかけての録音です。シャイーはコンセルトヘボウ管の首席指揮者に1988年に就任していますので、新時代へと進む初期の録音にシューマンの交響曲が選ばれたことに。

コンセルトヘボウ管のシューマンの交響曲全集と言えば、1981年から1984年にかけて当時の首席指揮者のベルナルト・ハイティンクとの録音があり、音楽之友社の「クラシック不滅の名盤1000」でも列挙されていて音楽評論家でも評価が高いですが、私が実際に聴いた際は録音の質がイマイチだったこともあり、正直期待外れでした。さてこのシャイーとの録音はどうなのでしょうか。順番に聴いていきたいと思います。

私は2018年11月にリリースされたCD55枚組の「リッカルド・シャイー シンフォニー・エディション」でこのシャイーとコンセルトヘボウ管のシューマンの交響曲全集を聴いていますが、このCD BOXは廃盤となってしまいました。また、シューマンの交響曲全集としてもとっくに廃盤となってしまっているので、新品のCDを入手するのは困難な状況です。

シャイーとコンセルトヘボウ管の新時代を感じさせる「春」。4つの交響曲の中でこの演奏が一番良いと思いました。第1楽章では若かりしシャイーのフレッシュさがこの曲とよく合っていて、ハツラツとした演奏です。第2楽章ではゆったりとしていて癒やしを与えてくれます。第3楽章はアーティキュレーションがスパイスのように刺激を生み出していて、第4楽章もフレッシュさが全開です。

4つの交響曲の中で、最も穏やかな第2番。ここでもテンポはゆっくりとしていて、きらびやかな音楽が雄大に流れていきます。サウンドもコンセルトヘボウ管らしくゆくよかな響きで申し分無いのですが、ただ、演奏がどこか発散してしまっている感じがして、この作品を聴くと感じる「じんわりと来る奥深さ」があまり感じられません。例えば、クラウディオ・アバドは2012年にモーツァルト管弦楽団とこの曲をライヴ録音していますが、自身初となるシューマンの交響曲の演奏で4つの中から第2番を選んだ理由として、「信じられないほど(音楽的に)豊か」だったため、と語っています。その感想はこちらのFC2ブログ記事に書いていますが、そのような深みが残念ながら、このシャイーとコンセルトヘボウ管の演奏ではありませんでした。まだシャイーが若かったというのもあるでしょう。

ゆったりとしたテンポで紡がれていきます。コンセルトヘボウ管のきらびやかなサウンドを活かしつつ、若かりしシャイーのフレッシュさも加わった演奏です。ただ、2007〜2008年のときのゲヴァントハウス管との演奏のような、深みはあまり感じられません。ハツラツとした若さがありますが、どこか杓子定規的な演奏で、それ以上深くはない、そんな感じです。

交響曲第4番は、シューマンの4つの交響曲で一つだけ短調の作品。ただ、重厚で悲壮感漂う音楽には他の作品には無いすごみがあります。シャイーとコンセルトヘボウ管の演奏では、第1番から第3番もゆったりとしたテンポを取っていましたが、この第4番では第1楽章と第3楽章がやや速めで、音の厚みと勢いが劇的な効果を生み出しています。第2楽章では一転して穏やかで心癒されます。第4楽章はしんみりとした演奏ですが、クライマックスでは一気にテンポを上げて駆け上がります。

リッカルド・シャイーとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の新たな時代を感じさせるシューマンの交響曲全集。シャイーの若かりしフレッシュさもありますが、今のような深みはまだ感じられません。ただ、コンセルトヘボウ管のきらびやかなサウンドは素晴らしいです。

オススメ度

評価 :3/5。

指揮:リッカルド・シャイー
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1988年3月(第4番), 1988年9月(第1番), 1990年4月(第3番), 1991年2月(第2番), コンセルトヘボウ

iTunesで試聴可能。

特に無し。

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