シューマン交響曲全集 ラファエル・クーベリック/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1963-1964年)
シューマン交響曲全集 ラファエル・クーベリック/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1963-1964年)
  • クーベリックとベルリンフィルの1960年代の遺産
  • 生き生きとした明朗さと素朴さ
  • ベルリンフィルの技巧

一時期、シューマンの交響曲に夢中になったとき、交響曲全集でどれが良いのかと疑問に思って、色々と聴いてみた。ゲオルク・ショルティ指揮ウィーンフィル、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリンフィル、レナード・バーンスタイン指揮ウィーンフィル、リッカルド・シャイー指揮ゲヴァントハウス管、ベルナルト・ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管…。シューマンの交響曲は複雑だし、詩的でもある。どの全集も聴いてみてそれぞれ感じるものはあったのだが、どうもピンと来ない。

そんな時、図書館から借りたラファエル・クーベリック指揮ベルリンフィルのシューマンの交響曲第1番の入ったCDを借りて聴いてみた。「これだ」と思った。

クーベリックは日本でもかなりファンの多い指揮者だろう。以前、NHK-FMで放送されていた「気ままにクラシック」というクラシック音楽のラジオ番組があったが、クーベリックの録音が登場する回数が多かった。

クーベリックは1963年から1964年にかけて、ドイツ・グラモフォン・レーベルの録音でベルリンフィルを指揮してシューマンの交響曲全集を完成させている。また、クーベリックは1979年にもバイエルン放送交響楽団とシューマンの交響曲全集をソニークラシカル・レーベルで再録音しており、こちらも評価が高い。

交響曲第1番は「春」という副題が付けられている。クーベリックとベルリンフィルはその春がゆったりと訪れたかのように、ややゆっくり目のテンポで演奏している。自然体というべきか、無理の無い表現でシューマンの音楽が浮き上がってくる。

この交響曲第2番は冒頭から引き込まれる。序奏の美しさに耳をずっと傾けてしまう。第1主題はゆっくりとしたテンポでじっくりと。クーベリックの特徴として作品自体の素晴らしさを最大限引き出すというところが挙げられると思うが、この交響曲を聴いているとまさにそう思う。シューマンの音楽を見事に引き出して、そして決して指揮者のエゴによって邪魔することが無い。ベルリンフィルのハーモニー、バランスも良い。

「ライン」は第1楽章から気持ちの良いほど明朗な響きで演奏される。1960年代のベルリンフィルは重厚なハーモニーが特徴だと思っていたが、こんなにも明るい音色を出すことに驚いた。第2楽章と第3楽章は牧歌的で詩情豊か。そしてすごいのは第4楽章。まるで寺院にいるかのように、崇高な音楽に取り囲まれる。第5楽章は静かな音色でささやくように始まるが、同じ旋律が2回目に繰り返されるときには生き生きとしている。

冒頭でニ短調の和音を強く鳴らし、その余韻を保ちつつ静かに旋律が始まる。うまい。ベルリンフィルの団員もハツラツとした演奏で、オーケストラから自発的な音が出ている。第2楽章のロマンスでは一転して味わい深い。ドヴォルザークの「新世界より」の第2楽章のようなノスタルジーが出ている。第3楽章のスケルツォはゆっくりとしたテンポで驚くほど几帳面。第4楽章では金管楽器が華やかに彩る。

このマンフレッド序曲は交響曲第3番と同じ時期に録音されたものだが、ゆっくりとしたテンポでスッキリとした響きで爽やかに演奏される。これも良い。

こちらはシューマンの作品でもそこまで演奏回数が多くないものだが、クーベリックとベルリンフィルは交響曲第2番と同じ時期に録音している。オペラの序曲だけに、クーベリックとベルリンフィルは実に劇的に演奏している。

ベスト盤がどれか分からなくてあれこれ聴いていたときに見つけた、クーベリックとベルリンフィルのシューマンの交響曲全集。4曲全てが良いなと思えるのは私の中では今のところこのレコーディングだけである。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:ラファエル・クーベリック
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1963年2月18日-21日(第4番), 1963年2月20-22日(第1番), 1964年2月24日-27日(第3番, マンフレッド序曲), 1964年9月8日, 9日(第2番、ゲノフェーファ序曲), ベルリン・イエス・キリスト教会

【タワレコ】シューマン: 交響曲全集、《マンフレッド》《ゲノフェーファ》序曲<タワーレコード限定>(SACDハイブリッド)

iTunesで試聴可能。

特に無し。

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