弩級のチャイコフスキー交響曲第4番他 アンドリス・ネルソンス/ゲヴァントハウス管(2019年12月ライヴ)

チャイコフスキー交響曲第4番他 アンドリス・ネルソンス/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2019年12月)

このアルバムの3つのポイント

チャイコフスキー交響曲第4番他 アンドリス・ネルソンス/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2019年12月)
チャイコフスキー交響曲第4番他 アンドリス・ネルソンス/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2019年12月)
  • ネルソンスとゲヴァントハウス管の2019年12月のライヴ
  • うっとりする「モスクワ川の夜明け」斬新なヴァインベルクのトランペット協奏曲
  • 弩級のチャイ4

私はボストンに出張するときにボストン・シンフォニー・ホールでボストン交響楽団の演奏を必ず聴いているのですが、その時にネルソンスが指揮する機会があればそちらを聴きに行くようにしています。ただ、コロナ禍で出張が当面無さそうなので、ネルソンスの映像作品でコンサートに行った気持ちになろうと考えました。

アンドリス・ネルソンスライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は2019年12月に、チャイコフスキーの交響曲第4番をメインとする演奏会を実施。その映像作品がAccentusレーベルからリリースされています。Blu-ray DiscまたはDVDの1枚での販売もしていますし、チャイコフスキーの後期交響曲3曲の演奏会のBlu-ray/DVDをセットにした3枚組もあります。私は1枚と3枚組とで値段があまり変わらなかったので、3枚組のBlu-ray Discを購入しました。

今回紹介するのは、その2019年12月のライヴ。曲目は、

  • ムソルグスキー作曲(ショスタコーヴィチ編曲):歌劇「ホヴァンシチナ」から前奏曲「モスクワ川の夜明け」
  • ヴァインベルク作曲:トランペット協奏曲変ロ長調Op.94
  • チャイコフスキー作曲:交響曲第4番ヘ短調Op.36

です。

「ホヴァンシチナ」はリムスキー=コルサコフの編曲が演奏されることが多いのですが、今回はショスタコーヴィチ編曲版です。

この「モスクワ川の夜明け」はうっとりとするような叙情的な演奏で、私としてはこの回の演奏会で一番良い演奏だと思いました。ロシア的なメランコリーとは違うのかもしれませんが、ムソルグスキーが作品に込めた詩情がゲヴァントハウス管の厚みのあるハーモニーで紡がれていきます。

続いて、近代の作曲家、ミェチスワフ・ヴァインベルクのトランペット協奏曲。ヴァインベルクはポーランド出身ですがソ連・ロシアで活躍した作曲家なので、この演奏会はロシア作品でまとまっていたのですね。ヴァインベルクは1919年12月生まれで、この2019年12月の演奏会が生誕100年に当たるアニバーサリー。ネルソンスは元トランペット奏者だけに、金管楽器への思い入れが人一倍強いですが、ヴァインベルクのトランペット協奏曲を持ってきたのもネルソンスならではのこだわりでしょう。

ソロはスウェーデン出身のトランペット奏者、ホーカン・ハーデンベルガーが務めています。エンジ色の衣装が派手で、かなり目立っています。ただ、演奏自体は見た目とは裏腹に地味な感じを受けました。質実剛健と言う感じです。作品の特徴として仕方がないところはありますが、前の「モスクワ川の夜明け」で癒やされて、この後ののチャイコフスキーの交響曲第4番でまた盛り上がるのですが、この谷間のトランペット協奏曲は聴いているほうも飽きてきます。トランペット協奏曲が一番最初に演奏していたほうが良かったと思います。

ヴァインベルクのトランペット協奏曲を演奏するホーカン・ハーデンベルガーとアンドリス・ネルソンス指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2019年12月)。(c) Accentus
ヴァインベルクのトランペット協奏曲を演奏するホーカン・ハーデンベルガーとアンドリス・ネルソンス指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2019年12月)。(c) Accentus

そして目玉はプログラム後半のチャイコフスキーの交響曲第4番。日本ではチャイ4と略されることもあります。ネルソンスとゲヴァントハウス管はチャイコフスキーの後期交響曲(第4番、第5番、第6番)を映像作品としてAccentusレーベルからリリースしていますが、第4番はその最後を飾ったもの。

この演奏は、一言で表現すれば「弩級」。第1楽章もホルンやトランペットが力強いですし、ティンパニも力強い連打で迫力があります。特に第4楽章ではドンパチドンパチと大砲が飛んでいるかのよう。チャイコフスキーの序曲「1812年」を聴いているかのような気分でした。

ゲヴァントハウス管のパワーもすごいのですが、それを引き出したネルソンスの手腕もお見事。映像なのでネルソンスの表情もよく分かるのですが、顔で苦悩を表したり、歓喜を表したりしているのがよく分かります。

チャイコフスキーっぽいかと言われると、疑問ですが…。どちらかというショスタコーヴィチっぽい演奏です。第4楽章のクライマックスではやりすぎなくらい派手に演奏しています。

チャイコフスキー交響曲第4番を指揮するアンドリス・ネルソンス。(c) Accentus
チャイコフスキー交響曲第4番を指揮するアンドリス・ネルソンス。(c) Accentus

ただ、ゲヴァントハウスの聴衆は物静かなので反応がよく分からないのです。これがボストン・シンフォニーだったらあ間違いなく「ブラボー」でほぼ全員がスタンディング・オベーションをしたでしょうに、ゲヴァントハウスのお客さんは、温かい拍手と一部のお客さんから口笛や「ワー」と歓声が上がるくらいで、スタンディング・オベーションをしているのもちらほら、だけ。盛り上がっていたとは思いますが、熱狂まではいっていないのかなという印象でした。

うっとりとする「モスクワ川の夜明け」、質実剛健なヴァインベルクのトランペット協奏曲、そして弩級のチャイ4。アンドリス・ネルソンスがゲヴァントハウス管から引き出した重厚な響きで聴く演奏会。

オススメ度

評価 :3/5。

トランペット:ホーカン・ハーデンベルガー(協奏曲)
指揮:アンドリス・ネルソンス
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
録音:2019年12月19, 20日, ゲヴァントハウス(ライヴ)

特に無し。

特に無し。

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