ヴラディーミル・アシュケナージは1970年代からピアノだけでなく指揮者としての活動を広げています。1977年にフィルハーモニア管弦楽団と録音したチャイコフスキーの交響曲第5番。抗えない運命に対してアシュケナージの指揮はえぐるような悲痛さで訴えかけます。
20世紀最大の名指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーは実はブルックナーの交響曲第9番を振ってデビューを果たしています。録音は数少ないですが1944年10月にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とライヴ録音をしています。ブルックナーもフルトヴェングラーが指揮するとこんなに違うのかと驚いたものでした。
イタリア出身の名指揮者カルロ・マリア・ジュリーニはシカゴ交響楽団の首席客演指揮者も務め1970年代に名録音を遺しています。ドヴォルザークの交響曲第8番は澄み切った美しさと歌うような旋律の出し方に強固な構築を見せています。後のコンセルトヘボウ管とのアプローチの違いも面白いです。
オランダ出身の指揮者ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンはオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団との首席指揮者時代にブルックナーの交響曲全集を完成させています。交響曲第6番は真面目さとほの暗さがある演奏で、Apple Musicでも上位にランクインする人気アルバムです。
デンマークの指揮者トーマス・ダウスゴーは、ノルウェーのベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団とブルックナーの交響曲チクルスに取り組んでいます。2019年6月には交響曲第3番「ヴァーグナー」を録音。演奏頻度があまりない1873年の第1稿を採用し、好きか嫌いか分かれるモノリスの大作からむき出しの感情を引き出しています。
ゆったりとしたテンポで独特の世界観を生み出すセルジュ・チェリビダッケのブルックナー。録音嫌いで評判ほどレコーディングが遺っていませんが、1994年4月23日のポルトガル・リスボンでおこなわれた演奏会のブルックナーの交響曲第8番の録音は彼の最高の演奏の一つとして言われています。
東ドイツを代表する指揮者の一人クルト・ザンデルリングは当時は珍しくシベリウスに取り組んだ指揮者。交響曲全集はベルリン交響楽団との録音で、1970年から77年にかけてイエス・キリスト教会でのセッション録音。シンフォニックに響かせながらも初期の交響曲の英雄的な響かせ方や、後期交響曲での空気感のある侘び寂びが見事です。
絶好調の指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトが手兵のケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団とブルックナーの交響曲全集に挑んでいますが、第2弾が第4番「ロマンティック」。通常の第2槁ではなく1874年の第1稿によるもので、ギュンター・ヴァントゆかりのギュルツェニヒ管と機敏な演奏をおこなっています。
イタリア出身の名指揮者ジュゼッペ・シノーポリは、シュターツカペレ・ドレスデンとブルックナーの交響曲に取り組みました。残念ながらシノーポリの急死によって全集にはならず6つの交響曲の選集となってしまいましたが、シノーポリならではの深い解釈とドレスデンの古豪の響きがする名演に仕上がっています。
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