久しぶりの記事投稿
昨年の12月17日に記事を書いてから久しぶりの投稿になります。
年末年始は2週間以上休みを取っていたので、時間はたくさんありました。この間にこれまで聴いていなかった演奏家の録音を聴いてみたり、録音だけでしか聴いていなかった演奏家の演奏会・リハーサルやドキュメンタリーの映像を見たり、ポケットスコアを買って交響曲のスコアを読み込んだり、月刊誌やムック本でプロの批評家が書いたものやインタビュー記事を読んだり、などクラシック音楽については精力的に活動していたのですが、「インプット」が多くてもなぜか「アウトプット」が出てこない、記事を書こうと思っても下書き止まりで終わってしまう、いわゆる「スランプ」を迎えていました。
ブログが更新されていなくても毎日見に来てくださる方もいるので、本当に感謝です。
さて、今日は書籍の紹介をします。
光文社新書からの書籍「日本のクラシック音楽は歪んでいる」
2024年1月に出版された、森本 恭正著の「日本のクラシック音楽は歪んでいる〜12の批判的考察」(光文社新書)。
【光文社新書】日本のクラシック音楽は歪んでいる
新聞広告にも出ていましたし、Amazon でも賛否両論で否のほうが多くて評価は高くないですがレビュー数も11とこのジャンルにしては賑わっています。
日本のクラシック音楽の通説を著者の視点から検証をおこなうというもの。
評論家への批判
その中でも吉田 秀和 氏への批判が痛烈で、
LPやCDで膨大な数のクラシック音楽を聴き、その経験を基にあたかもクラシック音楽を深く理解しているかのような錯覚に陥り、その後評論を始めた音楽評論家は多い、というよりほとんどがその類ではないだろうか。
森本恭正, 「日本のクラシック音楽は歪んでいる」批判7 誰もが吉田秀和を讃えている
(中略)
いきおいそうした評論家の書く文書には浅薄さがつきまとう。譜面を読んでいないか、読んだとしても正確に読めていないので、独りよがりな、誤謬に満ちた「感想」が頻発するのだ。
とバッサリ。ただ、この文章は私のようなアマチュアの人に対しても教訓となる文章だと思いました。
こちらの記事で紹介したクリスティアン・ティーレマンがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と録音したベートーヴェンの交響曲全集(2008~10年)の映像作品でドイツを代表する音楽評論家のヨアヒム・カイザーとの対談をしていたのですが、その際にカイザーが1942年にヴィルヘルム・フルトヴェングラーとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が指揮した録音では第九の第1楽章の再現部で「長調の雰囲気をティンパニーを荒れ狂わせることで完全に壊しているのです。ほとんど恐慌的瞬間といってよい。交響曲はそこで、長調であるにもかかわらず、底知れぬ深淵に達するのです。」と発言していて、スコアを熟知した上で評論をおこなっているのが感じられました。
こうした質の高い評論をおこなうには、色んな演奏を聴くだけでなく原典である作品にも精通していないといけないのだなと気を引き締めました。
この書籍をオススメしたいというわけではなく、こうした様々な視点を取り入れるのもクラシック音楽をより深く知るには良いと思い紹介しました。
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