このアルバムの3つのポイント
- マリス・ヤンソンスのヴァーグナー管弦楽曲集
- 1991年8月のオスロ・フィルとの録音
- まろやかなヴァーグナー
オペラをほとんど指揮しなかったマリス・ヤンソンス。その理由は…
マリス・ヤンソンスはオペラをほとんど指揮しなかった。その理由についてはこちらの記事で紹介した。そのヤンソンスが、1991年8月にオスロ・フィルとヴァーグナーの作品を録音しているが、「マリス・ヤンソンス オスロ・フィル・レコーディングズ」のCD/DVDボックスのCD12に収録されている。また、分売でもまだ在庫がある。
余談だが、このCDジャケットには赤紫色で「W」と書いているので、早稲田カラーに見えてしまう。
オスロフィルとのヴァーグナー管弦楽曲
マリス・ヤンソンスは1979年にオスロ・フィルの首席指揮者に就任してから、このオーケストラを世界的レベルにまで高めたと言われている。1991年8月にオスロ・フィルハーモニーで録音されたこのヴァーグナー作品集の曲目は以下のとおり。
- 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
- 楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲
- 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「愛の死」
- 歌劇「タンホイザー」序曲
- 楽劇「神々のたそがれ」より 「ジークフリートの葬送行進曲」
- 楽劇「ヴァルキューレ」より「ヴァルキューレの騎行」
- 歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
- 歌劇「リエンツィ」序曲(モルト・ソステヌート・エ・マエストーソ)
- 歌劇「リエンツィ」序曲(アレグロ・エネルジコ)
以前紹介したバイエルン放送響とのヴァーグナー作品のライヴ録音と重複する作品もあるが、こちらには「トリスタンとイゾルデ」と「リエンツィ」が入っている。
まろやかなヴァーグナー
この録音でも、ヤンソンスの解釈は後のバイエルン放送響のとさほど変わっていない。全曲を通じてまろやかなサウンドで、透き通った響き。ヴァーグナーの毒々しさはあまり無く、天上の美しさへと昇華させている。
「マイスタージンガー」では、最初の和音をふわっと鳴らして、その音が下に降りないうちに次へと続けている。これからは始まるオペラの序曲というよりは、この1曲で完成された作品を聴いているような気持ちになる。それにしても何と美しいハーモニーなんだろう。
「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲も雲の上を浮かぶような軽やかさがあり、「イゾルデの愛の死」では、クライマックスではグイグイと切なさと美しさが前へ前へと進もうとする。そしてフッと緊張が解けた瞬間、イゾルデが天に昇ったことを感じられる。
「タンホイザー」序曲ではしんみりとした美しさで、タンホイザーの悲劇が予感される。行進曲風になると生き生きとして、ハーモニーの本当にまろやかなこと。
「ジークフリートの葬送行進曲」では厳かに、「ヴァルキューレの騎行」ではバランス良く。
「ローエングリン」前奏曲では澄み切った空のようなすがすがしさがあり、「リエンツィ」の2曲はさっぱりとしている。
まとめ
マリス・ヤンソンスの貴重なヴァーグナー作品の録音で、まろやかで澄み切った美しいサウンドで堪能できる。
オススメ度
指揮:マリス・ヤンソンス
オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1991年8月, オスロ・コンサート・ホール
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受賞
特に無し。
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