オペラで活躍する指揮者クリスティアン・ティーレマン
クリスティアン・ティーレマンは、ドイツを代表する指揮者の一人で、現在はバイロイト音楽祭の芸術監督、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務め、オペラを中心に活躍する指揮者です。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を度々指揮して、ニューイヤーコンサートにも2019年に登壇していますが、ティーレマンと言えばやっぱりバイロイト音楽祭でのヴァーグナーの上演や、シュターツカペレ・ドレスデンとのオペラのほうを思い浮かべる方も多いでしょう。
一昔前だったらカール・ベーム、ヘルベルト・フォン・カラヤン、レナード・バーンスタイン、サー・ゲオルグ・ショルティ、カルロス・クライバーなど当時を代表する指揮者がオペラも指揮するのが当たり前だったと思いますが、最近はコンサートをメインに活躍する指揮者のほうが増えてきた印象です。
重厚な音楽作りが持ち味
以前の記事「指揮者やオーケストラでどう違うの?」で紹介しましたが、ティーレマンの持ち味は重厚さ。バイロイト祝祭管やシュターツカペレ・ドレスデンとのヴァーグナーの楽劇でも重厚な響きを引き出していますが、往年の名指揮者のスタイルを彷彿とさせるようなティーレマンの指揮を好む方もいるでしょう。私もオペラの映像作品ではティーレマンの演奏をよく買っています。
がっしりとした体格でいかにも堅そうなスタイルの指揮者という印象ですが、髪の毛が猫っ毛なのがギャップがあるんですよね。
現在は、ブルックナーに力を入れているティーレマン。シュターツカペレ・ドレスデンを指揮して2012年から2019年に交響曲全集を映像作品で完成させC Majorレーベルからリリースされていますが、さらに2024年のブルックナー生誕200年のアニバーサリーに向けて、ウィーンフィルとのブルックナーの交響曲全集録音の企画がソニーレーベルでおこなわれています。
ティーレマンがバイエルン放送響にデビュー
そんなドイツを代表する指揮者のティーレマンが、意外にも先週ミュンヘンを本拠地とする名門オーケストラ、バイエルン放送交響楽団に2021年4月16日に指揮デビューしました。先日の記事でその3週前の3月26日にミルガ・グラジニーテ=ティーラがバイエルン放送響に指揮デビューをしたばかりでしたが、ついに巨匠ティーレマンもデビューとなりました。
ミュンヘンのフィルハーモニー・ガスタイクでおこなわれた演奏会は無観客での公演となり、バイエルン放送響の公式HPで無料でその演奏を全て視聴することができます。この日のプログラムは、
- R.シュトラウス作曲:ウィーン・フィルハーモニーのためのファンファーレ AV109
- R.シュトラウス作曲:管楽器のためのソナチネ第1番 AV135
- シューマン作曲:序曲、スケルツォとフィナーレ Op. 52
と、ティーレマンが得意とするドイツのロマン派、後期ロマン派の作品です。
バイエルン放送響の透明感ある響きを尊重したティーレマン
バイエルン放送響の持ち味の透明感ある響きとティーレマンの特徴の重厚さがどう掛け合わさるのかと思って聴いていました。詳細はバイエルン放送響の公式HPの動画をご覧いただければと思いますが、ティーレマンはバイエルン放送響の持ち味を活かした指揮をおこなっていました。R.シュトラウスの2作品(ウィーンフィルのためのファンファーレと管楽器のためのソナチネ第1番)では、演奏者のための椅子がなく、皆が立って演奏していました。
シューマンの序曲、スケルツォとフィナーレでも、緻密なアンサンブルを聴かせてくれました。バイエルン放送響らしい本当に美しいハーモニーです。
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