※2023/02/25 更新:サントリーホール公演に行ってきました
※2023/02/23 更新:ショパンの新譜CDが届きました
※2023/01/13 更新:来日公演に合わせてショパンの最新レコーディングが先行リリース
※2022/11/20 初稿
ラファウ・ブレハッチが2023年2月に来日
ポーランド出身のピアニスト、ラファウ・ブレハッチが2023年2月に急遽来日公演をおこなうことになりました。
昨年2021年10月末に来日して、バッハ、ベートーヴェン、フランク、そしてショパンというプログラムで大阪、東京、川崎、名古屋、札幌でリサイタルをおこなったブレハッチ。私は行けなかったのですが、その直後のクリスチャン・ツィメルマンの12月4日の所沢公演に行ってバッハのパルティータとショパンのピアノ・ソナタ第3番を聴いたので、ブレハッチのも行っていれば聴き比べができたのになぁとあとになって残念に思っていました。
この冬は来日はしないかと思っていたら、急遽2023年2月に来日リサイタルを開くことが決まったそうです。
サントリーホールとミューザ川崎のみの2公演
招聘元のジャパン・アーツに情報が出ています。
【ジャパン・アーツ】ショパン国際ピアノコンクール優勝から17年 心に響く至高のピアニズム—— ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル
また、チケットぴあのページはこちら。
【チケットぴあ】ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル のチケット情報 (2023年2月)
今回の来日公演は2023年2月25日(土)の東京・サントリーホールと、2月27日(火)の川崎・ミューザ川崎の2公演のみ。急遽決まっただけに、2箇所だけの限定リサイタルとなったようです。
曲目はどちらもモーツァルトのピアノソナタ「トルコ行進曲付き」と、シマノフスキ、ドビュッシー、ショパンの作品。
- モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付」
- ショパン:4つのマズルカ Op.6
- ショパン:ノクターン ヘ短調 Op.55-1
- シマノフスキ:12の変奏曲 Op.3
休憩
- ドビュッシー:ベルガマスク組曲 (1.前奏曲 2.メヌエット 3.月の光 4.パスピエ)
- ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 Op.61「幻想ポロネーズ」
- ショパン:2つのポロネーズ イ長調・ハ短調 Op.40
- ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53「英雄」
注力する古典派に、祖国ポーランドの作曲家ショパンとシマノフスキ、そしてショパン国際コンクールで優勝する前から定評のあったドビュッシーという、ブレハッチの魅力が詰まったプログラムですね。
11月19日から一般販売開始
2公演のみということで、一般販売が開始された昨日11月19日に見てみるとC席は売り切れで、B席以上も予約で埋まりつつありました。
私は12月はこちらの記事に書いたシュターツカペレ・ベルリンとクリスティアン・ティーレマンのサントリーホール公演があり、1月はボストンに出張するのでボストン・シンフォニー・ホールでボストン交響楽団を聴いてきますが、コンサートが続くので2月は行くか迷ったのですが、久しぶりにブレハッチを聴こうと思い、2月25日のサントリーホール公演に行くことにしました。
ショパンのポロネーズは2013年に全曲を録音していて、こちらの記事でも紹介しましたが、生で聴けるのは嬉しいですね。特に「幻想ポロネーズ」は2006年の東京オペラシティでのピアノ・リサイタルで聴いて深く感銘を受けた個人的に思い入れのある1曲。また聴けるのを楽しみにしたいです。
来日公演に合わせて新譜が日本先行リリース
※2023/01/13 更新
今日、タワーレコード Classic のTwitter で嬉しいお知らせが。ラファウ・ブレハッチの新しいレコーディングが来日公演に合わせて日本先行リリースするとのこと。
2005年のショパン国際コンクールで優勝した際には、ポーランドの先輩でもあるクリスチャン・ツィメルマンが創設した最優秀ソナタ演奏賞も受賞し、副賞全て含めて完全優勝したブレハッチ。そのブレハッチによるショパンのピアノ・ソナタ第2番と第3番、さらには舟歌も含むこの新しいアルバムは2022年の9月から10月にスタジオ録音されたもの。
それが2023年の2月22日に日本で先行リリースされるんです。25日のサントリーホール、27日のミューザ川崎のリサイタル前のこのリリースは嬉しいですね。
Apple Music では3月3日に配信ですが、こちらも先行配信でノクターンOp.48-2が聴けます。有料会員は1曲まるまる、非会員でも1分30秒の試聴ができます。
【Apple Music 】ラファウ・ブレハッチ: Chopin
ノクターンを1曲聴いてみましたが、より深みを増したブレハッチの表現力に驚きました。リサイタルが楽しみになってきました。
新譜CDが届きました
※2023/02/23 追記
2月22日にリリースされたラファウ・ブレハッチの国内盤CD。来日公演に合わせて国内盤だけ先行リリースというありがたい新譜です。普段は輸入盤のCDばかり買っている私も、今回は国内盤を購入しました。
いつもはタワーレコードオンラインでCDを買っていて、1万円を超えると配送料220円が無料になるのでまとめ買いしているのですが、今月はギュンター・ヴァントのCDだけで2万円以上も買っていて、さすがに今回は他に併せ買いするのがありません。3000円だと配送料220円が掛かってしまうよな、とか、タワレコだとオーダーしてから届くまで最短でも2日掛かるので、25日のリサイタルに行くならなるべくタイムラグを小さくしておきたいよな、と思い今回はAmazonで購入しました。
配送料が無料で、夜寝る前にポチッとオーダーしたら翌日の夕方には着くというスピーディさ。本当に感謝です。
Amazonだと初回特典でメガジャケが付きました。飾る用の24cm×24cmの紙ジャケットです。下の写真の右がメガジャケ。
これ、嬉しいですね。部屋に飾って聴いています。リサイタルがいよいよ間近に迫って楽しみしかないです。
サントリーホール公演に行ってきました
※2023/02/25 追記
ラファウ・ブレハッチのサントリーホール・リサイタル(2月25日)に行ってきて、先ほど帰ってきました。本当に素晴らしいリサイタルでした。
ここからは公演の感想を書くので、もし27日のミューザ川崎のリサイタルまで楽しみにしておきたい、という方は読まないほうが良いかもです。
こちらが開演前の大ホール。スタインウェイのピアノが存在感を放っています。
かなり早めに会場入りしたので写真上では舞台裏の席が空席のように見えていますが、安心してください、開演直前にはほぼほぼ満席になっていました。
こちらが今日のパンフレット。
ブレハッチ本人の希望により、演奏順が入れ替わったプログラムになっていました。
サントリーホール・リサイタルの実際の演奏順は、
- ショパン:ノクターン ヘ短調 Op.55-1
- ショパン:4つのマズルカ Op.6
- ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 Op.61「幻想ポロネーズ」
- ショパン:ポロネーズ第3番 イ長調 Op.40-1「軍隊ポロネーズ」、第4番 ハ短調 Op.40ー2
- ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53「英雄ポロネーズ」
休憩
- ドビュッシー:ベルガマスク組曲 (1.前奏曲 2.メヌエット 3.月の光 4.パスピエ)
- モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」
- シマノフスキ:12の変奏曲 変ロ短調 Op.3
アンコール
- ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2
- ショパン:24の前奏曲 Op.28 から第7番 イ長調
という順番でした。
英雄ポロネーズを最後にしたほうが盛り上がったでしょうが、定評があるショパンを前半に固めて、後半は進化したブレハッチを聴いてほしいということなのかな、と意図だと理解しました。
まず最初のノクターンの1音目から驚きました。静まり返った湖に水滴がポツッと垂れるような、なんとも絶妙な繊細さで始まります。サントリーホールで音響が良いのもあるでしょうが、こんなに心打たれるノクターンは初めてです。しんと静まり返った聴衆が拍手のタイミングを伺っているうちに、ブレハッチは次のマズルカを弾き始めてしまいます。ポーランドの精神がこもったマズルカとポロネーズ。本場のリズムはこういうのだったのかと感動に浸っていました。楽しみにしていた「幻想ポロネーズ」では、序奏をたっぷりと溜めて、より深みを増したブレハッチの表現力に驚きました。軍隊ポロネーズでは軽やかに、そしてハ短調のポロネーズでは力強さと悲しみ。
英雄ポロネーズでは、技術的にもものすごいレベルアップしているブレハッチを感じました。2007年の東京オペラシティのリサイタルで聴いたときはテンポが少し速くて珍しくバランスを崩してミスタッチをしていたところもあったのですが、今回のサントリーホール公演では安定した技巧。左手の左回り、右回りも肉眼では追いきれない速さでした。ショパンは生演奏やレコーディングで聴いたときよりもポリフォニーが強化されて奥行きが広がっている印象を受けました。
後半はドビュッシーのベルガマスク組曲で卓越した色彩や軽やかさを披露し、モーツァルトの「トルコ行進曲付き」では速めのテンポで粒が細かい打鍵で本当に繊細で彩り豊か。シマノフスキも素晴らしかったです。
感染症対策のため、「ブラボー」は禁止とサントリーホール運営から事前アナウンスがあったので、割れんばかりの力強い拍手でブレハッチに称賛を贈りました。その聴衆の思いに応えてくれ、アンコールにはしっとりとしたショパンのワルツ第7番。アンコール2曲目を弾くかどうかブレハッチも躊躇していましたが、鳴り止まない拍手に応じて、短めの前奏曲を弾いてくれました。
急遽来日が決まって行くことにしたサントリーホール公演。ブレハッチの今を聴く最高のリサイタルでした。
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