カラヤン とベルリンフィルの黄金期の録音

ベートーヴェン交響曲第6番「田園」 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1976年)
ベートーヴェン交響曲第6番「田園」 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1976年)
  • カラヤン × ベルリンフィルの黄金コンビのベートーヴェン
  • 耳あたりの良いサウンドと機能性
  • 全集がグラミー賞受賞

ヘルベルト・フォン・カラヤン は膨大なレコーディングを行いましたが、ベートーヴェンの交響曲については、レコーディングで4回、映像を含めると6回も全集を録音しています。スナップショットを撮るように、その時々のベートーヴェンの交響曲の演奏の変遷をたどることができます。

録音が多いとどれがベストなのか分かりにくいですが、カラヤンのベートーヴェン交響曲全集の中で、1970年代のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との録音をベストに挙げる方も多いでしょう。

カラヤン の3度目、ベルリンフィルと2度目のベートーヴェン交響曲全集

カラヤンにとって3度目、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とは2度目のレコーディングとなる交響曲全集では、1975年1月から1977年3月までの期間で録音されました。この全集は米国グラミー賞を受賞しており、自国のオーケストラを贔屓しがちな米国の音楽専門家にも評価された録音です。ただ、意外にも日本のレコードアカデミー賞は受賞していません。

その70年代の全集の中でも、今回紹介するのは交響曲第6番「田園」ヘ長調 Op.68。1976年10月の録音です。

ベルリンフィルの「田園」と言えば…

ベルリンフィルによる「田園」の録音では、1954年のオイゲン・ヨッフム指揮による演奏をこちらの記事で紹介していますが、古き良きベルリンフィルの重厚感ある演奏で、とてもシンフォニックなハーモニーが特徴的でした。第4楽章なんかも大きなうねりとなって音楽が流れていましたね。

カラヤン の1976年の録音では…

さて、このカラヤンとベルリンフィルによる「田園」の録音ですが、冒頭から耳へのあたりが非常に良いです。カラヤンの演奏の特徴なのですが、とても耳に馴染むというか聴きやすいんですよね。研ぎ澄まされたハーモニーへのこだわりを感じます。第1楽章は「田園に着いて起こる、晴れ晴れとした気分への目覚め」という標題が付いていますが、カラヤンとベルリンフィルはスピード感のある演奏で、まるで別荘地に来て涼しい中ドライブを楽しんでいるかのような颯爽とした感じがします。

第2楽章でもまろやかにハーモニーが一つに溶け合っています。ここでは木管の穏やかな演奏と、弦の美しい響きが見事です。

第3楽章は主部でクラリネットの音色がはっきりと強調されているのが他の演奏では聴けない珍しいポイント。同じ曲でも演奏家によって新しい気付きがあるというのはこういうことですね。

第4楽章の嵐は聴きどころです。静まり返った中でジグザグと演奏される旋律の上に、トレモロで不安を掻き立てるのですが、特に稲妻が落ちる直前のトレモロでは、ベルリンフィルがゾクゾクするような怖さを表現しています。ティンパニも叩きつけるような強さで嵐のすさまじさを物語っています。ピッコロが高音で絶妙に不安を煽っています。

そして徐々に静かになっていき、嵐は収まったようです。

嵐が過ぎて再び活気が戻ってくる第5楽章。ここではカラヤンの研ぎ澄まされた美しさが特徴的で、あのアダージョ・カラヤンで魅了したようなため息がでるほどの美しさが全開です。オイゲン・ヨッフムとの1954年の「田園」の録音ではゴツゴツした武骨な感じでしたが、ここでは角が取れて柔らかいハーモニーに変わっています。

まろやかで研ぎ澄まされたハーモニーで聴ける「田園」。カラヤンのこだわりを感じます。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1976年10月, ベルリン・フィルハーモニー

iTunesで試聴可能。

この録音を含むベートーヴェン交響曲全集が1978年の米国グラミー賞「BEST CLASSICAL ORCHESTRAL PERFORMANCE」を受賞。

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